40年前にすでにあった《家事代行》。「頑張りきれてない気がするんです」つきまとう罪悪感と劣等感。雑誌記事に見る《家事代行》と主婦の心
2024年12月8日(日)12時29分 婦人公論.jp
(写真:stock.adobe.com)
創刊以来、《女性の生き方研究》を積み重ねてきた『婦人公論』。この連載では、読者のみなさんへのアンケートを通して、今を生きる女性たちの本音にせまります。今回は、家事に関するアンケート。
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使ってみたい外注サービスは?家事アンケートよりつづく
家事の分業化の時代
今回のアンケートで、使ってみたいサービスに挙げられていた「家事代行サービス」。『婦人公論』では、何度もその内情を探ってきました。
初出は1983年6月号の記事「主婦代行業のお値段」。ベビーシッター2250円、食材の宅配サービス1150円、フスマの張替え6000円から、夫の愛人問題の解決5万円という変わり種まで……。40年前にはすでにさまざまな「代行業」が存在したようです。
依頼者は主婦、しかも専業主婦が大きな割合を占めていました。その状況は当時の社会でどう受け止められていたのでしょうか。
家事代行サービスを始めた、ある女性社長は、男性記者に「おたくが繁盛するのは、主婦が家事、掃除をサボっているんでしょう」と言われ、反論します。
〈「女性のライフスタイルの変化に合わせて、家事のスタイルも変わりつつあるのですッ(略)部屋の汚れも油が加わり、素人では手入れが大変になっていますし。複雑でやっかいな場所を、主婦の仕事から切り離し、専門家に任せる。つまり、家事の分業化の時代なのですッ」〉(「掃除代行業一年間の決算」88年2月号)
この女性は、ドイツ流の掃除術を広めたフラオグルッペ社長の沖幸子さん。時代の波を読み、新しい暮らし方を提唱する起業家ならではの強い思いが感じられます。
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罪悪感というより劣等感
時代はさらにくだり、2000年。「家事代行サービスを頼んでみたら」(3月7日号)というルポには、〈苦手なことは専門家に頼むのが一番と、最近の専業主婦は割り切っているらしい〉という一文が。
対して、19年10月23日号のルポ「ラクすることに罪悪感がつきまとうのはなぜ?」では、利用者がその心情を吐露しています。
〈何度も肯定しようとするけれど、やっぱりお金で家事を買っているという気持ちは消えない。罪悪感というより劣等感でしょうか。《頑張りきれてない》気がするんです。(略)もはや自分との闘いですね(笑)〉。
料金を高いとみるか、安いとみるか。家事代行を効率化とみるか、贅沢とみるか。40年以上が経過しても、主婦たちの心の中では、綱引きが終わらないようです。
>>参考記事:ルポ・ラクすることに罪悪感がつきまとうのはなぜ?
次回は「生活がラクになった〈お助けグッズ〉を教えてください」の回答をご紹介します
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