OECD国際成人力調査、日本の成人スキルが高評価
2024年12月11日(水)14時15分 リセマム
3分野の上位10か国・地域
この調査には31か国・地域から約16万人が参加し、日本からは5,165人が参加した。調査は、16歳から65歳の成人を対象に、社会生活で求められるスキルを測定し、スキルと年齢、学歴、所得などの社会経済的背景との関連を調べるものである。調査の目的は、各国の成人が持つスキルを国際的に比較し、社会経済的背景がスキルに与える影響を明らかにすることにある。調査は、対象者の自宅などで対面方式で行われ、前回のコンピュータおよび紙使用による調査からタブレット使用の調査に移行した。また、日本語による調査ができない対象者には、簡易な「ドアステップ・インタビュー」を別途実施した。
第2回調査では、「読解力」「数的思考力」「状況の変化に応じた問題解決能力」の3分野のスキルが測定された。これらのスキルは、それぞれ異なる段階で評価され、「読解力」と「数的思考力」は6段階、「状況の変化に応じた問題解決能力」は5段階で評価された。
日本の成人の調査結果によれば、「読解力」の平均得点は289点で参加国中第2位、「数的思考力」は291点で同じく第2位であった。「状況の変化に応じた問題解決能力」では276点で第1位相当となり、いずれもOECD平均を上回る結果となった。特に、低い習熟度(レベル1以下)の割合が参加国中でもっとも少なく、高い習熟度(レベル4以上)の割合は参加国中第2位であった。
また、16歳から24歳の平均得点については、「数的思考力」で参加国中第1位、「読解力」および「状況の変化に応じた問題解決能力」で第2位となった。これらの結果は、日本の成人が世界トップレベルの習熟度を持つことを示している。
調査結果からは、学歴が高いほど習熟度が高いことがわかる。日本では、高等教育修了の成人の読解力は後期中等教育修了の成人より34点高く、OECD平均の33点を上回った。さらに、勤務経験や個人特性(年齢・性別など)が賃金に影響を与えることも示された。
この10年間で、日本の成人のスキルに大きな変化は見られなかったが、読解力と数的思考力で習熟度上位と下位の差が拡大した。読解力は高い習熟度の割合が横ばいであったが、低い習熟度の割合が増加した。一方、数的思考力は低い習熟度の割合が横ばいであったが、高い習熟度の割合が増加した。
調査結果は、日本の教育政策や社会経済的背景が成人のスキルに与える影響を理解するための重要な手がかりとなる。今後も、国際的な視点から成人のスキルを評価し、教育や労働市場の改善に役立てることが期待される。