きつねうどん発祥の店『うさみ亭マツバヤ』(大阪)で「元祖きつねうどん」を食べてきた!

2021年12月11日(土)10時51分 食楽web


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 食の街である大阪。たこ焼きやお好み焼きなどソース味のグルメが有名ですが、もっと昔から存在し、今でも当たり前のように愛されているのが「うどん」です。

 大阪だけでなく全国的なうどんの定番メニューといえば、油揚げが乗った「きつねうどん」ですよね。

 そのきつねうどん、実は大阪にある『うさみ亭マツバヤ』が発祥の地らしいのです。1893(明治26)年創業で、120年以上の歴史ある老舗のうどん屋さん。お店の前に立つと「元祖きつねうどん」の看板とダシのいい香りが漂ってきます。老舗の雰囲気に圧倒されて、しばしお店に入るまで緊張しましたが、入ってみると威圧感のようなものは感じられません。いわゆる町のうどん屋らしい、常連客もくつろぐ居心地の良さがありました。

いよいよ、元祖「きつねうどん」を実食!


きつねうどん600円

 テーブルについて早速、お目当ての「きつねうどん」を注文しました。店内の様子を見渡したところで、あっという間に到着。はやっ!

 お店の外でも香ったダシのいい香りを浴びて、思わず笑みがこぼれます。うどんは全体的にふっくら丸々としたフォルム。これは筆者が関西人だから感じるのか、なんだかとっても愛らしい雰囲気。それでいて、油揚げはカットされていない堂々としたボリュームで鎮座しています。

 では、いただきます。つゆはダシの香りが強いものの、キリっとして少し辛め。大阪ではまろやかなダシが多い中、少しシャープな印象です。色もちょっと濃いめですよね。

 うどんの麺はコシがあるけど柔らかく、つるんとしていて、もちもちの優しい食感です。

 重量感のあるお揚げは一口噛むと、中から甘い煮汁がジュワーッと染み出してきて至福。辛口のうどん出汁と対照的にかなり甘口なのがいい。つゆとお揚げの味はなんとなく似た感じになるケースが多いなか、こちらではそれぞれ味のベクトルが違っていて、1杯の中で味の広がりを感じます。

 ちなみに、きつねうどんは栄養とボリュームがあるという理由から、「付け合わせとして“いなり寿司用の油揚げ”を別皿で提供し始めた」のがきっかけだそう。

 そのうち、油揚げをうどんの中に入れて食べる客が増えたことから、現在のきつねうどんのスタイルが確立されました。安くて美味しい食べ物が大好きで、せっかちな大阪の商人らしいエピソードですよね。

もう一つの絶品メニュー「おじやうどん」もすごく気になる!


大阪おじやうどん1050円

 きつねうどんと並んで、『うさみ亭マツバヤ』の看板メニューといえば「おじやうどん」です。四角い鉄鍋に入った“なべ焼きうどん”なのですが、更なる特徴として、うどんと一緒にごはんが入っているんですね。

「おじやうどん」の原型は、食料が手に入りづらい戦時中に誕生したメニュー。ごはんとうどんのそれぞれを半分ずつ使って満腹感が得られるように誕生し、終戦後もファンからの要望で復活したそうです。

 そんな「おじやうどん」、今はいろんな具材が入っていて豪華! うどんはじっくり煮込まれているのに、コシとつるんとした喉ごしがしっかり残っています。

 具材には香ばしい穴子、プリプリのむき海老、ジューシーな鶏肉、歯ごたえのいいかまぼこ、すり身の入った伊達巻風の卵焼き、それに肉厚でジューシーな干ししいたけの煮物など盛りだくさん! 美味しいのはもちろん、見た目にも四角い鍋を彩っています。

 一番気になるのは、ごはん。うどんの下に入っていると思っていましたが、実際には鍋の手前側がうどんで、奥がごはんときれいに住み分けされています。

 出汁をたっぷりと吸ったごはんは、やっぱり美味しい! 同じ出汁の中に入っていても、うどんよりもグッと旨みが染み込み、しみじみとした美味しさが感じられます。食糧難という背景で誕生した料理ではあるものの、ファンがついたというのも納得ですね。

 商人の街らしくスピーディーで合理的でありながら、味のレベルも高い大阪名物グルメのひとつです。

(撮影・文◎けいたろう)

●DATA

うさみ亭マツバヤ

住:大阪府大阪市中央区南船場3-8-1
TEL:06-6251-3339
営:月〜木11:00〜19:00、金・土11:00〜19:30
休:日曜・祝日

●著者プロフィール

けいたろう
旅するグルメライター。大阪と京都をむすぶ京阪電車の沿線在住で、複数の旅行情報サイトにて旅とグルメのガイド記事を執筆。気になるグルメ情報があるとB級グルメも高級店も穴場のお店も有名行列店でも、とにかく幅広く取材!食楽webでは関西グルメ情報を中心に紹介しています。

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