宮崎県小林市「シムシティ課」が東京出張! 「まちづくりのプロ」が学生にアドバイス
2018年12月12日(水)16時0分 Jタウンネット
まちづくりゲームの金字塔、「シムシティ ビルドイット」とコラボしたユニークな取り組みとして「シムシティ課」を発足させた宮崎県小林市は、市の職員と県立小林秀峰高校の生徒が共同でゲームを通じて、実際の小林市のまちづくりを考えるワークショップを進めている。
12月14日には小林市で市長をはじめ、市職員や、市民たちに対して活動報告会をおこなう予定だがそれを前に、小林秀峰高校の生徒2人が上京。12月11日には デベロッパーとして豊富なノウハウを持ち、まちづくりのプロともいえる、三菱地所の社員とプレゼンテーションと意見交換を行った。
シムシティ課 ワークショップの成果をプレゼン
小林市は宮崎県南部の人口約4万5000人余りの市で、自然の中でも「蛇口から天然水が飲める」とも比喩されるほど豊かな水資源が売りである。
9月下旬に始まったワークショップでは、職員と小林秀峰高校の生徒31人で「理想の小林市」を想定してバーチャルなまちづくりを進めるのと並行し、文房具などのグッズも制作。学生あるいは市職員の目線にとらわれず、高齢者、外国人、東京の女子高生や地元に住む新婚夫婦などさまざまな階層を想定し、「どんなものが小林市にあったらいいか」をシムシティ上で反映させてきた。
シムシティ課ではいくつかの班に分かれて実践を進めてきたが、この日は池田瑠奈さんと稲田萌乃さんが代表して班のワーキング成果のプレゼンテーションを行った。
池田さんと稲田さんの班は、「富裕層の中国人」の立場で、小林市の理想の姿として「都会と田舎が共存する街」というテーマを設定。ゲーム上でバーチャルな小林市のまちを制作した。自然豊かなエリアには公園やキャンプ場を設け、市街地には高校生が想像する都会らしい超高層ビルやスタジアムを建てた。
「今の小林市にないもの、あったらいいなと思うもの」をコンセプトにつくったバーチャルな小林市を披露し、これをもとに三菱地所の社員とディスカッションを行った。
都市と地方双方の実情に通じた三菱地所からは、
「都会はテクノロジーや流行の最先端で、地方にはいつ行っても変わらない安心感がある。外から見た今の小林市の魅力についても考えてみては」「この土地には誰が住んでいてどんな生活をしているか、もっと想像力を働かせると自由な発想ができる」
といったアドバイスもあった。
学生の皆さんはずっと宮崎に住んでいるためか、やはり「地元にないもの」を求める傾向にあるようだ。一方で他の地域、国から向けられる視線は違ってくる。旅行者、移住を考える現役世代、地元に住んで働く外国人など様々なバックグラウンドを持つ人が小林市に興味を持つ。ゲームでまちづくり体験を重ねることで、複数のファクターの視点を学べるのが「シムシティ課」のワークショップの特徴だ。
ディスカッションの後、池田さんと稲田さんは丸の内の街を実際に歩いて見学。東京には今回を含めて数えるほどしか来たことがないという2人、デベロッパーが100年にわたりまちづくりを進めてきた丸の内の高層ビル街や、その開発コンセプトに興味津々の様子だった。
この日のプレゼンテーションとディスカッションの結果を含めて、12月14日の報告会で小林市の将来構想をプレゼンテーションする予定。様々な角度から考え抜いたアイデアが今後、どのように活かされていくのだろうか。小林市のユニークなチャレンジは続く。