上司への嫌がらせで「警察官が保存データ5,200件を削除」…どんな罪に問われる?

12月13日(火)16時50分 シェアしたくなる法律相談所

*画像はイメージです:https://pixta.jp/


兵庫県警西宮署の男性巡査部長が、嫌がらせのために、上司が作成した業務報告書などのデータ5,200件を消去し、警察署の業務を妨害したとして、12月8日に「公電磁的記録毀棄」と「偽計業務妨害」の疑いで書類送検されたとのことです。


あまり聞きなれない罪状ですが、これら2つの罪はどのようなものでしょうか。解説していきたいと思います。


 


■「公電磁的記録毀棄」とは何か

公電磁的記録毀棄とは、公務所の用に供する電磁的記録を毀棄した場合に成立する罪であり、法定刑は3月以上7年以下の懲役となっています。


警察署はまさに公務所であり(他には市役所や裁判所など)、ここで使われることが予定されていた電子データ、つまり電磁的記録が毀棄(役に立たないよう)されたわけなので、この罪が成立することは明らかです。


毀棄がされた時点で罪は既遂となるため、報道によると後日ほぼ全てが復元できたということですが、これによって罪の成立に影響はありません。


なお、本件の動機は「嫌がらせのため」ということであり、故意があることは明らかなようですが、間違って消してしまったというケース、つまり過失による場合は、この罪は成立しません。


 


■なぜ「公務執行妨害」じゃなくて「偽計業務妨害」が成立?

本件では、他にも偽計業務妨害の疑いがかけられています。公務員に関するものである以上、「公務執行妨害が問題になるのでは?」と考える方もいるかもしれません。


しかし、公務執行妨害は、公務の執行にあたって「暴行又は脅迫」を加えることが必要不可欠とされています。本件では、このような方法が用いられているわけではないため、公務執行妨害が成立する余地はありません。


そして、業務妨害罪は公務員であっても成立するとされているため、本件では業務妨害罪が問題となります。


ところで、業務妨害罪には偽計業務妨害罪と威力業務妨害罪がありますが、両者の区別はもっぱら妨害の手段が公然とされているか否かによって区別されているとされます。公然とされている場合が威力、そうでない場合が「偽計」です。


本件では、データの削除という形で公然とされているわけではないため、偽計業務妨害罪として扱われていると思われます。


 


*著者:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)


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