「見知らぬ幼い男の子に、列車の窓から手を振り返した。するとその子の母親が、私に向かって...」（千葉県・60代男性）

シリーズ読者投稿〜自慢になってすみません〜　投稿者：Iさん（千葉県・60代男性）

Iさんが乗っていた特急の窓から外を見ると、幼い男の子が手を振っていた。

元気いっぱいな様子だったが、次第に......。

＜Iさんの体験談＞

ある年の5月31日、5年ぶりに訪ねた故郷から戻るため、私は北海道で在来線特急に乗車しました。

車窓から内浦湾(別称、噴火湾)の海辺、昭和新山、有珠山を眺めていると、やがて洞爺駅に到着。

洞爺湖温泉への入口駅で昔は虻田(あぶた)駅と言われていたと記憶しています。

何気なく外をみると、駅の外に乳児をベビーカーに乗せた若いお母さんと、3歳ぐらいの男の子を見つけました。

男の子は元気いっぱいだったけど...

男の子は発車ベルが鳴ると同時に、列車に向かって元気に手を振り始めます。

でも、なぜかその振りが次第に弱くなってきました。

当時、列車内はガラガラ。「振り返す乗客がいないのでは......？」。

そう思った私は、思わず男の子に手を振り返していました。

すると、今にも振りが止まりそうだった男の子の手の振りは私にめがけたものになり、再び勢いを増してきたのです。

そして、驚くべきことにお母さんも一緒に手を振ってくれました。

私も負けずに今度は両手で。親子と交わす手振りは、彼らが視界から消えるまで続きました。

何気ない一瞬だったけど...

まさかお母さんまで一緒に手を振ってくれるとは思ってもいませんでした。

私の振り返しで男の子が喜んだお礼の手の振りだったのではと考えています。

それは何気ない一瞬の光景ですが、私はこれこそが日本の列車旅の醍醐味だと、ほのぼのとした気持ちになったのです。

私は改めて在来線の旅の良さをしみじみ感じながら、お子さんが健やかに育つよう願いました。

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