カルディの食材だけで作れる! プロが教える本格スリランカ料理【1】「エビのホディー」
2019年12月16日(月)10時50分 食楽web
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スリランカ料理や南インド料理が空前のブームです。東京や大阪などに専門店が続々と登場し、ますます注目が集まる中、本格的なカレーを家でも作りたいという人も増えています。
そこで今回は、東京・白山でスリランカ料理教室を主宰し、最近、スリランカやインド料理のスパイス料理専門店『ヤムヤム・カデー』をオープンした古積由美子(こづみ ゆみこ)先生に、初心者でも簡単にできるスリランカ料理の作り方を教えてもらうことにしました。
「興味はあるけど、スパイスをあれこれ揃えるのが面倒なんだよな」というものぐさな読者のために、すべてのスパイスはおなじみの輸入スーパー『カルディ』で手に入るもの限定で教えてもらいました。

古積由美子さん/都内インドスパイス料理教室にて11年間講師を務め、2016年独立。本場スリランカの家庭料理を学び、現在はスリランカ料理を中心に、インド、スパイス&ハーブ料理教室、言語と食のイベント、出張料理教室などを開催しつつ、東京文京区白山のスリランカ料理店『ヤムヤム・カデー』でオーナーシェフを務める
スリランカ・プレートは、ごはんを載せたお皿に、メインのカレーと副菜を数種類盛って、ご飯とおかずを少しずつ混ぜながら食べます。南インドのミールスのようなイメージです。一般的にカレーは1〜2種類、副菜の数は3〜4種類。スリランカ料理の特徴を古積先生に聞くと、以下のようなポイントを教えてくれました。
・米が主食の国なのでカレーや副菜はライスと食べる
・カレーはサラサラ系であっさりした汁状のものが多い
・スリランカ特有のスパイスやリーフ(カラピンチャやランぺなど)を多用する
・海に囲まれた島国なのでシーフード系の料理が多い
・ココナッツ食材を多用する
・豆や野菜を使った副菜を複数作り、カレーとライスと混ぜながら食べる
・アーユルヴェーダ(インド大陸の伝統的医学)の思想が根付いており、食材の組み合わせはそれに基づくことが多い
スリランカのカレーや副菜を作る工程は非常に簡単&シンプル。例えば、カレーでおなじみの玉ねぎを入れる場合でも、炒めずスープにドボンでOKです。「そんな簡単な調理法でホントに美味しいカレーができるの?」という声が聞こえてきそうですが、実際に先生が作り上げるカレーは絶品。これまでカレーを作るたびに必死こいて玉ねぎを炒めていた苦労は何だったのか、と呆然とするほど美味しいです。
「エビのホディー」の作り方

というわけで、今回は、ココナッツミルクを使用した「エビのホディー」を作ります。“ホディー”とは「汁」を指します。直訳すると“エビ汁”ですが、エビの旨味をココナッツミルクで優しく包み込んだカレーです。セイロンシナモンを使用するのが古積流です。先生によると「エビとセイロンシナモンの相性が良いと思うので使用していますが、エビには必ずセイロンシナモンを合わせる、というわけではないのでご注意を」とのこと。
エビのホディーに使用する材料。皿に載っているのは、エビ、トマト、玉ネギのスライス、潰したニンニク、ココナッツミルクパウダー。葉は、ランぺとカラピンチャというスリランカのカレーリーフですが、入手が難しいので使用しなくてOK。左のスパイス類は、下から塩、セイロンシナモン、カイエンペッパー、コリアンダーパウダー、ターメリック、クミンパウダー
材料(4人分)
・エビ……12尾
・玉ねぎ……30g(約1/6個をスライス)
・トマト……1/4個(刻んでおく)
・ココナッツミルク(ココナッツパウダー大さじ4をお湯400ccで溶く)
・塩……小さじ1
・カラピンチャ……6枚(なくてもOK)
・ランぺ……3cm(なくてもOK)
●ミックススパイス ※混ぜ合わせておく
・セイロンシナモン……ほぐして2つまみ
・カイエンペッパー……小さじ 1/3
・コリアンダーパウダー……小さじ 2/3
・ターメリック……小さじ 1/5
・クミンパウダー……小さじ1/3
作り方
1.エビは背中に切り目を入れて、背ワタと尾の尖ったところを取って、水でよく洗う。
2.鍋にエビ以外の材料と、ミックススパイスをすべて入れて中火にかける。
3.沸騰して玉ねぎに火を通し、エビを入れて色が変わったら出来上がり。
煮ているとアクが出てきますが、スリランカには「アク」という概念がないので、取る必要はありません
エビを最後に入れるのは、魚介のエキスが出汁代わりになるからです。やってみると拍子抜けするくらい簡単です。油を使って炒める必要もなく、使用するスパイスもびっくりするくらい少ない。鍋に食材を入れて煮込むだけですが、ココナッツミルクのコクと、エビから出る出汁で、旨味が深く、スパイスのほのかな香りで、ごはんが止まらないカレーなのです。
スリランカ・プレートに欠かせない食材

まずはスパイス。スリランカでは、各家庭でスリランカのスパイスを使ってオリジナルのミックススパイスを作っている場合が多いのですが、冒頭でお伝えした通り、今回はカルディで購入できるスパイスを準備しました。
カルディで購入したシナモンスティック、カエンペッパーパウダー(またはチリパウダー)、コリアンダーパウダー、ターメリックパウダー、クミンパウダー
スリランカでは、生のココナッツを多用しますが、日本では手に入りにくいので、ストックしやすいココナッツファイン、ココナッツパウダー、ココナッツオイルの3つを準備します。
左がココナッツパウダー、右がココナッツファイン。これらもカルディで売っています
主食になるお米は、インドのお米「バスマティライス」を購入しておくとより本格的なスリランカカレーになります。ちなみに、古積さんのレストランでは、日本米とバスマティライスを半々にして炊くそうです。
古積先生によると、その理由は「バスマティライスはパラパラとしていて汁を吸いやすく、スリランカのサラサラしたカレーには非常によく合うのですが、日本人の舌には慣れ親しんだもっちり甘みのあるお米が美味しいと感じやすい。そこで両方の良さを味わえるように」しているからだそうです。
このほか、ダールなどに使用するレンズ豆もストックしておくと便利です。
インド産のレンズ豆
次回は、このエビのホディーに合う副菜の「ニンジンのカレー」と「レンコンのテルダーラ」の2種をご紹介します。お楽しみに!
(撮影・文◎土原亜子)