スタバもマックもほぼ2倍、一風堂は3000円超え? 金銭感覚も狂う米ニューヨークの別世界ぶり

2024年12月17日(火)21時25分 All About

日本人旅行者がいない? もはや日本とは別世界? 物価高騰が報じられるアメリカ・ニューヨークを10年ぶりに訪問した旅行ジャーナリストが、2024年12月時点のその別世界ぶりをリポートする。

2024年12月、アメリカ・ニューヨークを訪れる機会があった。ニューヨークは約10年ぶり、アメリカは約2年ぶりの筆者。特にコロナ禍後、円安がどんどん進み、現地の物価も軒並み高騰しているとニュースでことあるごとに報じられ、戦々恐々と身構えながらの渡米となった。
現地で目の当たりにした物価高とともに日本人がニューヨークを旅するとどんな驚きに遭遇するのか、またホテルの相場やアジア人差別の有無などもリポートする。

「スタバ」も「ビッグマック」も日本の2倍

まず現地の物価は、日本人にとって想像をはるかに超えるほど高かった。2024年12月現在、1ドル150円前後。朝食に、コーヒーとベーグルをテイクアウトするだけでも10ドル(約1500円)を軽く超える。

スタバの定番「ラテ」は約2倍

アメリカが本場のスターバックスでは、定番「スターバックス ラテ」のグランデサイズが5.9ドル(約900円)で、さらに税金(ニューヨーク市の税率は8.875%)が加算される。日本の「スターバックス ラテ」は540円(グランデサイズ、税込 ※店内飲食の場合)なので、税込価格は2倍ほどする。

ビッグマック価格は?

マクドナルドはどうか。「ビッグマック」価格は6.29ドル(約960円)で、日本の単品価格480円〜と比較してみれば、これもほぼ2倍。ニューヨークに6店舗(うち1店舗はピックアップ専門店)を展開する一風堂の看板ラーメンの1つ「白丸元味」は日本国内では850円で食べられるが、ニューヨークでは20ドル(約3100円)に加えて税金とチップが必要だ。

ミネラルウォーターは比較的お手頃?

海外では日本以上に必須となるミネラルウォーターは、市中のドラッグストアで500mlサイズが1.59ドル(約250円)だったが、空港では4ドル(約600円)で販売されていた。
アメリカに限らず、空港は市中より軒並み高値だが、羽田空港の搭乗ゲート前にあった自動販売機で「いろはす」が140円だったのだから、日本の物価が空港でもいかに安いかを思い知らされた。

地下鉄・バスも円安で割高感

一方で交通費は地下鉄・バスが1回2.90ドル(約450円)で、基本的に一律料金。初回利用から7日以内に支払い料金が34ドル(約5200円)に達すると、それ以上は無料になるシステムもある。とはいえ、短距離だと割高感があった。

「世界で最もホテルが高い都市」ながらコスパ的には微妙

ニューヨーク中心部にある一般的なホテルは軒並み高い。イギリス・ロンドンと並んで「世界一高い」とはよく言われるが、特に今回訪れた12月はホリデーシーズン。ニューヨークの街が最も華やかに彩られると同時に、世界中から観光客も多く訪れるため、年間を通じて最高値に近かった。

中心部は3つ星でも週末10万円超え

例えば、グランドセントラル駅そばのハイアット・グランド・セントラル・ニューヨークの場合、1室あたりの金額が12月は平日6万円台、週末ともなると10万円台。なお、1月に入ると旅行の閑散期で3万円台まで下がる。

高い割に設備の充実度は低め

ホテルの設備は、日本人からするとかなり高いわりに充実しているとは言い難い。4つ星ホテルでも客室に湯沸かしポットやコーヒーはなく、歯ブラシも当然ない。冷蔵庫の中身も空で、ミネラルウォーターもない。そしてベッドのシーツには、よく見ると穴が開いていた。
また、ホテルに2基あったエレベーターの片方が故障中なのかずっと動かず、1基のみの稼働では待ってもなかなか来ないか、やっと来ても乗れないことが続いた。結局、泊まっていた3階から1階まで重いスーツケースを持って階段で昇降する羽目になり、週末だったので修理業者が手配できないのか、週明けまでそのままだった。

ニューヨーク「トイレ」事情、きれいなトイレに行列

旅行者にとって、海外での心配ごとの1つがトイレだろう。ニューヨークの場合、公衆トイレが少ないか、もしあっても治安を考えると利用すべきでない。
カフェやレストランを利用する時にトイレも必ず行っておくか、ショッピングモールなどのトイレをよく使った。
新しいショッピングモールはトイレもきれいな方で、どの階のトイレも軒並み長い列ができていた。スターバックスでは「リザーブ ロースタリー」など大きめの店舗は地下にトイレがあったが、通常店舗にはトイレがなかった。旅行客が市中で気軽に使えるトイレの絶対数が少ないため、まだ清潔感あるトイレに人気が集中していた印象だ。
また、トイレットペーパーは基本備え付けてあるが、温水洗浄便座は当然ながら皆無。日本から持参した携帯用おしり拭きは、意外なほど重宝した。

コロナ禍に急増したアジア系差別の現在

コロナ禍を機に、アメリカではアジア系の人々に対する暴力や傷害事件の急増が、事あるごとにニュースになったのはまだ記憶に新しい。ニューヨーク市では一時期、「Stop Asian Hate」という差別撲滅キャンペーンが行われていた。

日本人旅行者はほぼいない

今回、10年ぶりにニューヨークを訪れたが、筆者が「差別を受けた」と感じたことは一度もなかった。もちろん、ただ運がよかっただけかもしれないが、スーツケースを持って階段を上ろうとすると後ろから手伝ってくれたり、建物に入ろうとすればドアを開けてくれて、カフェの注文ではどこでも丁寧な接客を受けた。
日本人旅行者は以前にも増して非常に少ない一方で、他のアジア系、韓国人や中国人などの旅行客は多く、主な観光スポットでも目立っていた。しかも、大きな声で走り回り、差別を受けたとしてもはね返さんばかりの気勢すら感じた。

入国審査が厳しい昨今

ちなみに、アメリカ入国時、入国審査官は丁寧に対応してくれたものの、今回の滞在に関し、以前の渡米時よりかなり細かい質問を受けた。近ごろ日本人女性の入国トラブルもよく聞かれ、何を質問されてもある程度準備してきた一方、英語がある程度できないと厳しいかもしれないとも感じた。
直前に入国審査を受けていた若い中国人女性は、スマートフォンの翻訳アプリを堂々と使っていた。

ニューヨークが高い? それとも日本が安すぎる?

ニューヨークの物価は、10年前ですら他都市より高かった。だが今、円安に加えて現地の物価も軒並み上がり、一方で日本の物価は値上げが相次いでいるとはいえ微々たるもので、ニューヨークに比べるとまだまだ安い。
ニューヨークであらゆるものが異常に高く感じるのは、給与が上昇し続けるアメリカに比べ、平均賃金が長年ずっと上がらない日本の事情も少なからずある。
今現在、日本からニューヨークへ旅行するのは旅行にかかる費用を考えれば、休暇時期が限定される日本人にとっては正直かなり厳しいものがある。航空運賃も燃油サーチャージが高止まりし、特に繁忙期はなかなか下がらない。
それでも、ニューヨークが世界のあらゆるジャンルで最先端を行き、常に進化し続ける魅力的な街であることは昔も今も変わりない。
この記事の筆者:シカマ アキ
大阪市出身。関西学院大学社会学部卒業後、読売新聞の記者として約7年、さまざまな取材活動に携わる。その後、国内外で雑誌やWebなど向けに取材、執筆、撮影。主なジャンルは、旅行、飛行機・空港、お土産、グルメなど。ニコンカレッジ講師をはじめ、空港や旅行会社などでのセミナーで講演活動も行う。(文:シカマ アキ)

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