がんにピンポイント照射、副作用少ない「トモセラピー」とは

12月19日(火)7時0分 NEWSポストセブン

トモセラピーは副作用も少ない

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 前立腺がんは、進行度により、初期のI期から転移のあるIV期に分けられる。人間ドックなどで腫瘍マーカーであるPSA値の検査が導入されたことで、ごく初期の前立腺がんの発見も可能となった。


 前立腺がんの治療は、主に手術と放射線、ホルモン療法があり、進行や状態によって治療法を選択する。がんが前立腺内に留まっている場合は、手術や放射線治療が選択されるが、前立腺からリンパ節に転移している場合、手術の適用にはならず、ホルモン治療と放射線治療が行なわれる。


 近年、正常細胞に対する影響が少ないとして注目されているのが、放射線トモセラピー治療だ。JCHO東京新宿メディカルセンター放射線治療科の黒崎弘正部長に話を聞いた。


「トモセラピーは、がんに対してピンポイントに放射線照射ができる強度変調放射線治療(IMRT)の専用機としてアメリカで開発されました。CTと放射線照射器を一体化させ、照射直前に3次元3DのCT画像撮影を行ない、前立腺や近くの直腸、膀胱の位置関係を確認しながら、がんだけに大量に放射線を当てることができます。結果、正常細胞には極力照射せずに治療を行なえます」


 前立腺の位置は、周囲にある直腸のガス、膀胱内の尿の量によって微妙に変わる。その点、トモセラピーは従来の放射線照射装置とは違い、一体化されたCTで3次元3D撮影が同時に行なえるので、位置を補正しながら照射することができる。また放射線を360度らせん状に照射することで、放射線をがんだけに集中することが可能となり、がんの部分だけをくり抜くような照射もできるようになった。


 通常、治療は外来で76グレイ(照射量の単位)の放射線を月曜日から金曜日まで8週間、合計38回を連続で照射する。1回にかかる時間は、CTによる位置合わせも含めて約20分で終了する。


 現在、前立腺がんの放射線治療は陽子線や重粒子線が効果を上げている。がんが前立腺内にとどまっている場合、これらの治療が可能だが、周囲のリンパ節に転移している場合は治療の適用ではない。


「従来の放射線治療だと軽度の直腸炎や膀胱炎などの合併症が起こることもありました。しかし、放射線トモセラピー治療を用いれば、合併症や近年問題になっている治療による尿漏れや尿失禁、EDなどの後遺症も少なく、手術と同等の治療効果を得られるようになっています」(黒部長)


 JCHO東京新宿メディカルセンターでは、泌尿器科と放射線治療科が緊密に連携をとり、患者にとって最適な治療の選択肢を提供している。


 前立腺がんに対する放射線トモセラピー治療は保険適用になっており、患者のQOL(生活の質の向上)に配慮した低侵襲な治療として期待が大きい。


●取材・構成/岩城レイ子


※週刊ポスト2017年12月22日号

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