登校時間を選択できる自由があるだけで睡眠不足は解消される。ドイツの高校生を対象に行われた研究実験

12月25日(水)9時0分 カラパイア

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 多感な高校時代は、勉強にせよ遊びにせよ、つい熱中してしまって、気がついたらこんな時間なんてことはよくあるものだ。

 夜更かしをした次の日の朝、けたたましく鳴る目覚ましによって無理やり夢の国から追い出される。大慌てで身支度して、眠い目を擦りながら学校へ向かう。睡眠不足の学生の出来上がりだ。

 今回ドイツの高校生を対象に実験したのは、1限目の授業に出席しなくてもいい権利を与えることだ。その結果、権利を使用するしないにかかわらず、登校時間を選択できる自由があるだけで睡眠不足は解消されることがわかった。
・世界的に問題となっている学生の睡眠不足

 学生の睡眠不足は世界的に問題となっている。それはもはや個人の生活習慣の問題を超えて、公衆衛生上の問題と認識されている。

 慢性的な睡眠不足は、授業中の集中力を奪うだけでなく、通学路で事故に遭う危険性を高める。さらにうつ病、肥満、糖尿病などのリスクも上がる。

 こうしたことを鑑みれば、学校の始業時間を遅くしろという声が大きくなったのもうなずけるだろう。

 だが、仮に始業時間をズラしたとして、本当に良い結果が得られるのだろうか? 本当に学生の睡眠不足が解消されて、成績が向上するのだろうか?

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Kerstin Herrmann from Pixabay

・1限目を出ても出なくてもいい権利を高校生に与える実験

 ドイツ、ミュンヘン大学の研究グループは、ある高校で学生に1限目の授業に出席しなくてもいい権利を認めるという実験を行ってみた。

 高校生たちは普段通りに登校しても構わないし、1時間遅れて登校しても構わない。どちらの時間に登校するのか、その日その日で自由に決めさせてみたのだ。

 実験開始前の3週間と開始後の6週間の期間、高校生に毎日睡眠の日記をつけてもらい、さらに半数の学生には客観的な睡眠時間データを得るためのモニターも着用してもらった。

 睡眠時間にくわえてさらに、全体的な満足感や授業の集中力などの評価も行われた。

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AntonioGuillem/iStock

・真面目なドイツの高校生、その結果は?

 研究グループにとって意外だったのは、遅刻する権利を認めたというのに、ドイツの高校生たちはこれまで通りに登校することが多かったということだ。平均すると、遅れて登校してくるのは1週間に2回程度でしかなかったのだ。

 だが、権利を使用し、遅れて登校してきた日は、学年や性別、遅れてくる頻度にかかわらず、普段より睡眠時間が1時間長かったことがわかった。つまり、遅れてきた学生のほぼ全員が1時間遅れ登校の恩恵を受けていたということだ。

 ただし、登校時間が固定されていたときと比べて、毎日の全体的な睡眠時間に有意な増加があったわけでもなかった。

 だがそれでも登校時間を選択できる自由は、学生にかなり好評だったようだ。起きなきゃいけないというプレッシャーから解放されたようで、その権利を使用するしないにかかわらず、圧倒的多数が寝不足が解消され、授業に集中しやすくなったと回答しているのだ。
 
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・登校時間を選択できる自由があるだけで睡眠不足は解消される

 「おそらく朝起きたときに登校時間を自分で決められるというその事実だけで、睡眠不足のサイクルを破り、心理的負担を軽くするには十分なのでしょう」と研究グループの1人は述べている。

 ただ、せっかくの柔軟なシステムが有名無実化してしまっては何の意味もない。学生たちにその権利を行使するよう積極的にうながすのも大切であるとのことだ。

 なお、研究対象となった学校では「ドルトン・プラン」という指導法を採用しており、そのために今回の研究が可能になったそうだ。

 このプランは、生徒それぞれが教師と学習計画を話し合い、それにしたがって学習を進めていくもので、個々の学力や適性に応じた柔軟な学習設計を行うことができる。同校ではドルトン・プランを採用したことで、2013年に表彰もされているそうだ。

 この研究は『Sleep』(12月16日付)に掲載された。

 ただ登校時間を遅くするだけじゃなく、1時間の遅刻を認めるというやり方も面白い。今回の実験は高校生が対象だが、中学生や小学生だとどうなるんだろう?日本でやったらどんな結果が得られるんだろう?ただしどこの高校で実験するかでも違いがでそうな気がするけどどうだろう?

References:“We’ll be in later” - LMU Munich/ written by hiroching / edited by parumo

カラパイア

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