前代未聞の異例な事件。患者2名の肝臓にイニシャルを刻んだ高名な外科医(イギリス)

12月26日(火)22時30分 カラパイア

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 その外科医は、移植手術を行っている際、患者2名の肝臓にイニシャルを刻んだことを認めた。

 イギリス・バーミンガムの裁判所で実施された公判で、サイモン・ブラムホール(53歳)は2013年の2月9日と8月21日に患者の身体に傷をつけたことを認めつつ、その上で、身体に実質的な被害が及ぶような暴行は行なっていないと無罪を主張した。

【アルゴンビームで臓器にイニシャルを刻んだ医師】

 肝臓、脾臓、膵臓の専門医として有名だったサイモン・ブラムホールは、肝臓の出血を止めたり、術野を確保したりするために用いられるアルゴンビームコアギュレーターを使用して、患者の内臓に自分のイニシャルを刻んだという。

 アルゴンビームコアギュレーターは、伝導性のアルゴンガスを噴射しながら、広汎かつ微細な血管の止血を行う機器である。基本的には電気メスと同様の単極電気凝固装置であるが、組織に接触しない、焼痂層(しょうかそう)が浅く深部に至らないなどの特徴から、脆弱でデリケートな組織に使用される。

 イニシャル自体は内臓機能を損なうものではなく、通常は自然に消えると考えられている。

 アルゴンビームコアギュレーターの仕組み

The principle of the argon plasma coagulation


【同僚が手術に立ち会いイニシャルを発見】

 12年間、バーミンガムのクイーン・エリザベス病院の顧問外科医として働いていたブラムホールは、男性患者と女性患者2人の肝臓移植手術を行った際、自分のイニシャルを刻んだ。

 その後、女性患者のフォローアップ手術を行った同僚がこれに気が付いた。イニシャルはまだ消えていなかったのだ。これが報告され、ブラムホールは停職処分を受け、2014年に辞任した。

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【前例のない異常で複雑な事件】

 12月13日、ピンクのシャツとダークスーツ姿のブラムホール容疑者は法廷の後ろに座ると、名前の確認に応じ、自身が術中の行為を理解していたことを判事に認めた。彼には無条件保釈が与えられており、判決は2018年1月12日に下される予定だ。

 検察官のトニー・バデノック氏は法廷で、「極めて異常で、複雑な事件」と主張。刑法上の判例がないことを述べた。

 「有罪の申し立ては、彼の行為が単なる倫理上の問題であるのみならず、刑法上も違法であることを認めるものだ。それはブラムホール医師が患者の肝臓にイニシャルを刻んだことが、孤立した事件ではなく、2回に渡り反復して行われており、多少の技術と集中力が必要であった事実を反映している。」

「麻酔下にある患者に対する意図的の不法な力の行使。患者の肝臓に印を残すという彼の行為は、故意かつ意識的な行為である」とバデノック氏は結論を下している。
 
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 ポール・ファラー判事は被害者の影響評価書と未決報告書の作成を命じ、事件について「被害は肝臓の表面に生じたもの」で、患者は感情的損害を受けていないと述べた。

 また検察局のエリザベス・リード氏は、ブラムホール容疑者の行為について、患者が彼に寄せた信頼の乱用であると発言した。


【医師を擁護する声も】

 ブラムホールは、2010年にバーミンガム空港で事故を起こした飛行機から回収された肝臓で移植手術を行い、マスコミから注目された人物だ。

 ブラムホール停職のニュースに関して、すぐに復職させるべきと彼を擁護する意見もあった。「移植肝臓にイニシャルを刻んだからといって、そんなに悪いことだろうか? 自分はそうされても気にしない。彼は命の恩人だ」と患者の1人は述べている。

References:birminghammail / theguardianなど/ translated by hiroching / edited by parumo

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