逆に1億1000万円支払らうことで実験台になれる、20歳若返らせるための遺伝子療法の治験(アメリカ)

12月26日(木)20時30分 カラパイア

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 誰だっていつまでも若くありたい。そんな願いが不老長寿技術の発展へとつながっていく。今回紹介するのは参加費用100万ドル(約1億1000万円)のアンチエイジング治療だ。

 「リベラ・ジーン・セラピュティクス(Libella Gene Therapeutics)」というスタートアップ企業では、20歳も若返らせると謳われる遺伝子療法の治験を予定しているという。

 これは人体を対象にした最初の治験で、アメリカ当局の規制を迂回するために南米コロンビアで実施される。さらに参加するためには1億1000万円相当のお金を支払わなければならないなど、結構ハードルが高い。

 富裕層のセレブたちは危ない橋を渡り、大金を払っても実験台になりたいと願うほど、この遺伝子療法はすごいものなのだろうか?
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Darwin Laganzon from Pixabay

・人の寿命を定めるテロメアを修復

 染色体の末端にはテロメアというキャップのようなものが付いている。このテロメアは歳を取るほどに短くなってゆき、これが失くなると染色体が不安定になってしまう。テロメアが寿命を定めると言われるのはそのためだ。

 本療法では、ウイルスを使って「TERT」というテロメラーゼ酵素をコードした遺伝子を細胞に届け、テロメアを再建する。

 マウスの実験では、見事テロメアが長くなり、それによって加齢が遅くなり、健康寿命も延びたことが確認された。そこで今度は人体で実験というわけだ。

 専門家がMIT Tech Reviewに語ったところによると、がん細胞を作り出す恐れがあるなど、治験はかなりリスクが高いものであるようだ。

 ついでにリベラ社には、以前同様の発表をしておきながら結局何も実施しなかった前科があるために、本当に治験が行われるのかどうか定かではない。


・今後ますます盛んになるだろうアンチエイジング治療

 しかしいずれにせよ、今後アンチエイジング治療がますます盛んになる可能性は高い。いくつもの研究が、加齢は防止できるものであり、そのための方法もいろいろあるらしいことを示しているからだ。

 2017年、ある研究では、薬によってゲノム制御を担う化学的マーカーを再プログラムすることで、マウスの寿命を30パーセント延長させることに成功。さらに2018年、老化細胞を殺す薬でマウスの寿命を36パーセント延ばすことに成功した研究も発表された。

 また著名な遺伝学者であるジョージ・チャーチは、犬の寿命を延ばす遺伝子治療を請け負うスタートアップまで立ち上げ、人間の寿命を延ばすことを最終目標として掲げている。

 そのチャーチの研究グループはつい最近も、動物実験ではあるが、遺伝子治療で加齢に関連する3つの病気の治療につながりそうな有望な結果を残している。

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・すでに行われていたアンチエイジング治療

 なお、世界初のアンチエイジング治療はすでに行われたようだ。バイオヴィーヴァ(BioViva)社のエリザベス・パリッシュCEOが、2015年に自ら遺伝子治療を受け、テロメアを延ばすことに成功したと述べているからだ。「20歳も若返った」とは本人の弁である。

 カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究グループは、今年初めに人体に投薬することで、人間の生物学上の寿命を示すエピジェネティク・マーカーをリセットすることに成功した発表。このときの実験参加者には、免疫系が若返ったらしき兆候も窺えたそうだ。

 他にも米国食品医薬品局が、アンチエイジングとして若者から血漿を集め注射することを止めるよう人々に警告した事件も起きている。

 これはマウスの実験で若返り効果があったと主張する研究結果の影響なのだが、専門家は人体で試すには時期尚早であると警鐘を鳴らしている。



・現段階では危険性をはらんでいる

 不老長寿、あるいは不老不死は古代からの人々の夢だ。リスクを負ってでも試したいという人もいるだろうし、企業にとっても魅力的なビジネスだ。

 だが今の段階では重篤な副作用が出る可能性があることをくれぐれも忘れないでほしい。

References:technologyreview/ singularityhub/ written by hiroching / edited by parumo

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