「次は王道の音楽で挑みたい」 たなかが“ぼくりり辞職後”初のライブで魅せた真価

12月26日(木)10時1分 しらべぇ

前職:ぼくのりりっくのぼうよみ(アーティスト)、現職:たなか(無職)。

2015年のメジャーデビュー以降、数々の名曲を産み落としてきた彼だが、2019年1月の『葬式』と題したライブで、ぼくりりを辞職。活動に終止符を打った。

現在は「たなか」名義で活動をしているわけだが…実際のところ「今って何をしているの?」という意見も少なくない。そんな中、突然ぼくりり辞職後初となるライブ『birthplace vol.1』を12月3日に開催。これは音楽活動再開の兆しなのだろうか…。


■「最近って何してるの?」

ぼくりり時代からアーティスト、俳優、作家など多岐に渡る活動をしていた「たなか」。インタビューの少し前には、『アドテック東京』というイベントに講演者として登壇していた。

———とうとう、カンファレンスにまで出るようになったのですね。

たなか:なぜなんでしょう…そこでは「動画で人気者になるためには」って話をしたんですけど、僕のYouTubeって終わってるんですよね(笑)。インスタのストーリーかよって感じなので。


———確かに…(笑)。にしても、最近の活動はどうなってるのでしょうか?

たなか:そうですね、自分でもよく分からない部分もあって(笑)。でも、根底には「自分の体で小説を書きたい」って想いがあります。


「ぼくりり」の最後は「才能に溢れた若者が世間の声に飲まれて、没落していく」っていうストーリーだった。で、その死んでしまった「ぼくりり」の灰の中から「たなか」って存在が出てきて、今は幸せそうに暮らしている。


「ぼくりり」を辞めて「たなか」になっても楽しそうにしている。その姿を通して「キャリアを捨てたり、学校を辞めたり、積み上げてきたもの全部を壊しても幸せに暮らせるよ」っていうのをみんなに伝えたい、とか思ってます。


———そんな意図があったのですね! では、ネタ的によく「無職」とおっしゃってますが、ちゃんとした肩書を付けたほうがよさそうです。

たなか:なにがいいんでしょうね……少し前に肩書を考えたんですけど、中二病過ぎたのがあって。それが「自由の擬人化」だったんですけど。言ってて恥ずかしすぎて、すぐ辞めました(笑)。


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■趣味さえも仕事に繋がる

本人も「ツイッターが大好き」と公言しているように、そこは彼の主戦場。実際様々な投稿がなされているが、中でもよく目にするのは「ボルダリング」の話だ。あれは趣味なのか、はたまた何かのトレーニングの一環なのだろうか。

たなか:完璧に趣味ですね! 初めは誘われて行ったんですけど、僕だけ異様にハマってしまって…今はメッチャやってます。週4、5くらいで…じつはこの後も行きます(笑)。


ボルダリングの魅力を語った動画がちょいバズりしたんですけど、「非常に気軽にできる」「達成感を味わうことができる」「人前でたくさん失敗できる」っていうのが楽しめるポイントかな。


でも、たまたま撮影された動画を広告代理店の方が見てくださって、「GoogleのCMに起用される」っていう大変光栄に思う展開もあったんです。


———「ぼくりり」時代もそうですが、すべてが流れに乗るというか、何か持ってますよね。話が変わりますが、最近公開されたユーチューバーの「はなお」さんとのコラボ動画も、多くの視聴者が「持ってる」と感じる展開でした。

たなか:ね、あれ面白かったですよね(笑)。普通にめちゃめちゃ焦って…隣りにいたすん君がめちゃめちゃ声デケェし、逆に僕の声は着ぐるみに吸音されるし「終わったな…」みたいな。


でも、すごく楽しかった。何故かユーチューバーの友人が多いので、機会があればこういったコラボもやっていけたらなって思ってます!

■「音楽の仕事は向いてるな」

「めちゃめちゃ下手な状態から、ちゃんと発信していく」。これが「たなか」のポリシーであり、新しいジャンルにも挑戦し続けていた理由。しかし、音楽に関わる取り組みも多く、最近では香取慎吾のニューシングル『Prologue』の「歌詞・メロディ・コーラス」で参加した。


———参画の経緯はなんだったのでしょう?

たなか:そもそも、「ぼくりり」だったときに香取さんと草彅さんのユニットに1曲提供したことがあって。そのときから温めていた楽曲なんです。僕と感覚が近しいと言うのはあまりにもおこがましいのですが、新しい地図のストーリーと合っている楽曲なんじゃないかな、とは思います。


実際に聞いてみると、確かに歌詞やメロディの運び方が彼ならでは。何ならサビの歌い方はまさしくそれだ。

たなか:ありがとうございます(笑)。確かに、仮歌を僕が歌ってそれを聞いて練習されていたので、少し影響はしているのかも?


———でもどうでしょう、やはり音楽関連の仕事は楽しいですか?

たなか:やっぱり普通に楽しいですね! あと、普通に向いてるなとは思います(笑)。


■「ぼくりりは撤退戦だった」

先述にもあるように、「ぼくりり」の辞職が今年の1月末の出来事であるため、もう少しで1年が経つことになる。やはり感慨深かったりするのだろうか。

たなか:いやぁ、ほんとあっという間ですねぇ。当時は「ぼくりり」と僕自身が一体化していて、ベン図でいうとほぼ重なっているみたいな。でも今はしっかり切り離されました。だから、今は昔連載していた漫画を読むみたいな気持ちで、「ぼくりり」のことを見ています。


———過去には「ぼくりりは失敗」「音楽と人格を切り離したかった」などとおっしゃってましたが、今振り返るとどう感じますか。

たなか:そうですね。思うと「ぼくりり」は「撤退戦」みたいな意味合いだったんです。よくわからず戦場に乗り出してみて、最初は調子良さそうだったけど、徐々にボロボロになって、精神に不調をきたすところまできてしまった。


このままじゃいけないって思って、没落して「葬式」って形のライブをしたんです。結果としては上手く切り離せたし、生き延びた。そして、次の準備を整えられたなって自分では感じてて。


これらの活動は一生自分を支えてくれると自負してます! あと、それで得た知見を活かして次は王道でいきたいなとも思ってて…音楽的な意味で。


———音楽的な意味…ていうことはまさか音楽活動の再開でしょうか!?

たなか:えっと、いずれ「たなか」も終わるんですけど、そこから「真剣に音楽を頑張るぞ」って日が来るって感じです。


もともと「弱者の生存戦略」とか「抜け道」を探すのが好きなんですけど、意外と自分の音楽ってそういう類のものではないかなって。次は直球の王道みたいな音楽で挑みたいし、それで勝てるはずだって確信もあるので。


でも、みなさんも「いずれ音楽やる」って勘付いてたんじゃないかな。なんなら、「早く音楽やれよ」みたいなね(笑)。

■ファンへのサプライズも

度々話に出てきた「葬式」というラストライブ。「ぼくりり」辞職後の四十九日にあたるタイミングにYouTube上に公開され、現在も残っている。

たなか:これに関しては一生消さないつもりです。あれがYouTube上に残っていることが、非常に心の支えになっていて、「何かをちゃんとやりきりました」って証明になっていると思うんです。


———あと一ヶ月程度である意味一周忌になるわけですけど、「ぼくりりのファン」へのサプライズなどはあったりしますか。

たなか:じつは、なんらかやりたいなって思ってて。それこそ今日シャワー浴びているときに、これやろうかな? って考えたものがあるので…仕込んでおきますね(笑)。


———楽しみです。にしても、本当に常に動いているというか、絶えず活動していてすごい…。

たなか:いやいや! でも、最近発見したことがあって、人間多少つらかったり忙しかったりするほうが楽しい。昔から「仕事してる感」みたいのが好きで、「クライアントからの要求が大変でさぁ」って言いたいみたいな。


なので、今後もガンガン仕事していきますよ! 破天荒そうに見えて、コンプラめちゃくちゃ守るので…何卒(笑)。


■「リハからすでに最高」

話は冒頭に戻るが、彼のアーティストとしての復帰ライブとなる『birthplace vol.1』が12月3日に開催された。

———自身が主体となる音楽活動は「ぼくりり」の葬式ライブ以降初になるのでは?

たなか:はい、初めてですね! ちゃんとリハとかもして「歌います!」っていうのも相当久しぶりになるのかな? いやぁ、めっちゃ楽しみ。運営含めて友人たちとやっているので、難しいところもありますが…。


———倍率が13.75倍だったらしいけどやばいですね…。ファンがどれだけ待ち望んでいたかが数値でもあらわれてる。

たなか:チケットのサイトが通信繋がらないと犬の画像が出るっぽいんですけど、みんな犬のページのスクショを上げてて「ほんとすみません…」って感じでした(笑)。


———今回は「ぼくりり」の楽曲はなしで全曲アニソンのカバー。斬新な試みだけど、プレイリストはどうチョイスしたのでしょうか?

たなか:バンドメンバーにnitoさんとwatariさんを迎えているんですけど、自分たちが聞いてきたアニソンをアコースティックな感じでカバーしていく感じですね。


本当に好きな曲で、これを聞いて育ってきたみたいな意味から「birthplace(帰る場所)」。例えば『only my railgun』とかは、当時のニコニコの文化を象徴するような曲だったりして…聞くだけでその時の空気感思い出しちゃう。


リハからすでに最高なんです…nitoさんが言ってたんですけど、文化祭っぽくて楽しいんです…!


———nitoさんとwatariさんとの文化祭…豪華すぎる。確かアッパーなノれる楽曲から、しっとりと聞かせる楽曲までチョイスされてますが、どの曲が化けそうですか。

たなか:『ACCA13区監察課』というアニメの「Shadow and Truth」って曲は、ジャンルで言うとネオソウルなんですけど、めちゃめちゃ歌い上げる感じに仕上がっているので、期待していただいてもいいのかな?(笑)。やばい…早くライブしたくなってきた!

■ライブは大盛況、その結果…

ギターとドラムにボーカルというシンプルな編成で、振り幅のあるアニソン達をアコースティックかつ「ダーク」にカバーしていく本ライブ。当日は平日にもかかわらず、大勢の観客が押し寄せ、フロアのキャパの限界ギリギリの超満員となった。

そんな中、軽やかなスネアと優しいタッピングのイントロから始まった1曲目は、『涼宮ハルヒの憂鬱』の劇中歌「God knows…」。テンポを落としたしっとりとしたアレンジで観客を魅了し、続く『PSYCHO-PASS』のエンディング「名前のない怪物」では一変、激情的なアンサンブルで会場の温度を上げた。

思い出深い楽曲のカバーを次々と披露し「ライブが久しぶりすぎて、すごい面白いですね。新鮮で楽しい!」とたなかが言う。中でも、最も彼の感情が込められているように見えたのは、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の主題歌「桜流し」だ。

7弦で織りなすnitoの繊細なギターの音色に「開いたばかりの花が散るのを『今年も早いね』と…」とたなかの歌声が交じる、そして後半にかけてwatariが加わり力強く畳み掛ける演出に観客は心を奪われる。

最後のアンコールには、彼のラップの技工が光った『ACCA13区監察課』の「Shadow and Truth」などが披露され、惜しまれつつ「vol.1」は閉幕となった。

なお、インタビュー時には「vol.2.3と続いていく?」の質問に対し、以下のように答えていた。

たなか:全然やりたいですよね。今、追加公演の箱を探しているんですけど、これ以上のキャパになると文化祭のノリで1ヶ月後にやろうぜっていうのは難しくて…(笑)。


あと、いつかはボカロ系のライブもやってみたいとかも思ってて。でも、最近のものじゃなくてほんとに10年前とかそこらの楽曲をね!


しかし、すでに1月4日には今回より一回り大きい『下北沢GARDEN』での追加公演『birthplace vol.1.5』の開催が決定。残念ながらチケットの一般発売は終了してしまったものの、今後新たな発表も控えているので、期待してほしい。


■「将来的には音楽一本で」

たなか

「やはり彼は音楽のシーンに居るべきだ」と思わざるを得ないライブを披露した「たなか」。最後の質問「今抱いている目標は?」の答えは、多くのファンにとって待ち望んでいた回答なのではないだろうか。

たなか:直近の目標は最初に「たなか」の存在意義って話でもあった「幸せに暮らし続ける」ってことですね。あとは、今様々な活動をしているんですけど、将来的には音楽一本に絞ってまっすぐ投げ込むっていうのをやっていきたい、うん。


その覚悟がいつ決まるのかっていうね(笑)。


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(撮影・文/しらべぇ編集部・木根 大心 取材協力/たなか



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