2018年が古生物学にとって豊作の年だった5つの理由

12月29日(土)20時30分 カラパイア

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 古生物学業界にとっての2018年はイベント盛りだくさんの年だった。すばらしい化石が発見されたり、爬虫類の祖先について新しい知見が得られたり、人類史を書き換えるような議論も巻き起こった。

 ここで紹介するのは、南アフリカ、ウィットウォータース大学のジュリアン・ブノワ氏が挙げた2018年の重大イベントトップ5とその説明だ。
・1. 発見された700万年前の大腿骨の謎

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image credit:Alain Beauvilain

 1月、古生物人類学者のロベルト・マッキアレッリが、人類の進化の証拠とされた重要な品についてまったくの誤解であると主張した。2001年にチャド北部で発掘された大腿骨である。

 大腿骨は「サヘラントロプス・チャデンシス」という700万年前の最古の人類のものであると考えられているものだ。
 
 しかしマッキアレッリは、大腿骨は4足歩行をする類人猿のもので、2足歩行のヒトのものではないと論じた。

 これは非常に重要な違いだ。サヘラントロプスが発見される以前、人類はアフリカ東部で発祥したと考えられてきたのだが、サヘラントロプスはアフリカ西部で暮らしていた人類の系譜に連なっている。

 仮に大腿骨がヒトのものではないことが明らかになれば、またもや人類の進化史は覆ることになる。


・2. 人類発祥の地の謎

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image credit:Wikimedia Commons

 ホモ・サピエンスの起源は、30万年前のアフリカで暮らしていた単一の共通祖先である。10万〜8万年前にこのアフリカから旅立ち、世界中へ広がり始めた。

 人類発祥の地がアフリカであることは、遺伝子解析や化石の証拠によって何度も何度も示されてきた。

 しかし、いわゆる多地域モデルという仮説はしぶとく生き残った。この仮説は、現代のヒトは単一の地域で生まれたのではなく、ヒトになる前の種それぞれから別個に進化したのだと説明する。

 たとえばアジア人ならホモ・エレクトス、ヨーロッパ人ならネアンデルタール人、アフリカ人ならホモ・ハイデルベルゲンシスといった具合だ。

 この仮説の支持者は、現代アジア人とホモ・エレクトスがシャベルのような特徴的な門歯を持つことを指摘する。これがホモ・エレクトスがアジア人の祖先である証拠だという。

 だが4月にこの仮説に止めが刺された。遺伝子解析によって、特徴的な門歯は寒い環境に適応したことのたんなる副産物であることが明らかにされたのだ。

 シャベル型門歯を作り出す遺伝子は、偶然にも汗腺を減らし、母乳に含まれる脂肪を増やす役割も担っていた。この2つの特徴は、氷河期を生き延びるには重要なことだった。
 
 こうした遺伝的な関連性ゆえに、現代アジア人とホモ・エレクトスは寒い気候に適応するのと並行して、同じような歯の特徴を進化させてきた。

 すなわちシャベル型門歯は、アジアで暮らすホモ・サピエンスがホモ・エレクトスから受け継いだわけではないことがはっきりしたのだ。


・3. 恐竜の巨大化の謎


Ledumahadi Mafube - New Jurassic Giant of South Africa


 大昔のアフリカ大陸に巨大な恐竜が存在したことは以前より知られている。

 エジプトで発見されたパラリティタンは体重が60トンもある。タンザニアのギラファティタンはこれまで発見された恐竜としては最高の高さを誇り、やはりタンザニアのトルニエリアは最長の恐竜だ。

 ニジェールと北アフリカで発見された肉食のスピノサウルスは、親戚である恐竜界のカリスマ、ティラノサウルス・レックスよりも大きい。

 それでは恐竜の巨大化が最初に起きた時代と場所はどこだろうか?

 この疑問に新しい光を照らすのが、南アフリカで発見されたLedumahadi mafubeだ。2億年前に生きていたこの恐竜の体重はおよそ12トン——10トンの壁を突破した最古の恐竜である。

 これ以降の恐竜はもっと大きいが、当時のLedumahadi mafube(現地の言葉で「夜明けの巨大な雷鳴」の意)は小さな恐竜の中でひときわ大きな体を誇示していたことだろう。


・4. 哺乳類型爬虫類の謎

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image credit:Eva Hoffman / The University of Texas at Austin

 哺乳類には意外な祖先がいる——「キノドン類」という哺乳類のような爬虫類だ。

 今日、哺乳類と爬虫類の最大の違いの1つは生殖にある。ほとんどの爬虫類は卵を産み、子育てはしない。しかし哺乳類の場合、赤ちゃんを出産し、子育てを行う。

 この点について、キノドン類が哺乳類と爬虫類のどちらに近かったのかは不明であった。

 しかし1億9000万年前のキノドン類の化石を研究した結果、そこに38匹の赤ちゃんの骨が残されていることが明らかになった。

 赤ちゃんは巨大な鶏のヒナくらいの大きさで、哺乳類では例のない大きさだが、卵を産む爬虫類には似たようなものがある。

 またキノドンの母親が十分な量の母乳を出したり、子育てができた可能性は低いだろうとも推測されている。

 これらのことから、キノドン類の生殖は爬虫類のそれに近かっただろうことが窺える。

 これまで発見されてきた化石の研究では、キノドンが子育てをしたのではという説も提唱されていた。したがって、化石の解釈を改めて検討する必要が生じている。


・5. 四足類の謎

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image credit:Illustration by Maggie Newma

 6月、南アフリカで新種の両生類の化石が2種発見されたと発表された。

 これは「四足類」という、アフリカ大陸を4本足で暮らした最古の生物の証拠で、魚と両生類と爬虫類との間に存在したミッシングリンクを埋めるものだ。

 歴史的に四足類の研究はアフリカ大陸を見過ごしてきた経緯がある。今後、生物が海から陸へ進出してきたプロセスを解明するため、アフリカにも熱い視線が注がれることになるだろう。

References:Five reasons why 2018 was a big year for palaeontology/ written by hiroching / edited by parumo

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