豪華客船「タイタニック号沈没」を予言した小説の真相とは?!

2023年12月29日(金)16時0分 tocana



 20世紀初頭に建造された当時世界最大の豪華客船「タイタニック号」は、1912年4月14日、イギリスからニューヨークへ向かう航海中、北大西洋で氷山に衝突して沈没した。2200人ほどの乗客や乗組員のうち1500人を超える乗客や乗組員が亡くなり当時の海難事故としては最大の死者数となった大事故となった。 映画にもなり世界的に知られるこのタイタニック号沈没事件である が、 なんとこれを予言したのではないかと言われる小説が存在するのだ。
 タイタニック号沈没から遡ること10年以上前の1898年。 小説家モーガン・ロバートソンの短編小説『愚行』が出版された。この小説は、絶対に沈まないとされた巨大客船が、 ニューヨークからイギリスへ向かう処女航海の途中に、氷山と衝突し多くの死者を出すという大惨事を描いた物語となっている。このあらすじを読んでもお解りの通り、 実際のタイタニック号沈没とかなり酷似しているのである。何より、小説の中に登場する豪華客船の名前は「タイタン号」であり、実際タイタニックという名はギリシア神話に登場する巨人族「ティタン Titan」を形容詞化した名前であったため、ここでも共通点が見受けられるのだ。
 また、両者はこれ以外にも共通点が非常に多いという。船籍は共にイギリス、スクリュー数は3、事故発生は4月、この他にも、排水量がタイタン号7万トン・ タイタニック号6万6千トン、救命ボート数がタイタン号24・ タイタニック号20、客船の全長がタイタン号244メートル・ タイタニック号269メートルなど一部を除き多くの部分で近い数 値となっている。これらにより、短編小説『愚行』 はタイタニック号沈没を予言し、 作者ロバートソンは小説の形で警鐘を鳴らしていたのだと言われる ようになった。
 だが、果たしてこれが予言であるかについては疑問視する意見もある。実は、1892年9月17日付の『ニューヨーク・タイムズ』 にて、ホワイトスター社が大手造船会社ハーランド& ウルフに蒸気船の建造を依頼したという記事が掲載されていた。この両社は、 タイタニック号のそれぞれ発注に関わった会社である。「ジャイガンティック」と名付けられたというこの船については、大きさや時速などの情報も掲載されており、これを参考にして物語の客船に設定として適用させることは十分可能なのだ。
 実は、作者のロバートソンは元船乗りでもあり、そのような人物であれば記録破りの大きさである豪華客船について、与えられた実際の情報から作中にイメージ・適用させることは、 なんてことないのである。氷山についても、大型船を沈めることができる要素としては真っ先に可能性として考えられるものであった。事故が発生した4月は、北極の氷が溶けて南下してくる時期でもあるのだ。さらに、当時は巨大客船に対して大きさを誇示するような名前を付けること がよく見られており、「ジャイガンティック」も「巨大」 の意味を持っていることから、タイタンの名が使用されるのも候補として考えられなくはないのである。
 つまり、小説『愚行』 がタイタニック号沈没を予言したということは、きわめて考えにくいと言えるのだ。これは、あくまで既存情報などに基づいたまさしく偶然の一致と見た方が良 いと言えるだろう。因みに、タイタニック号沈没直後、『愚行』 はタイトルを『タイタン号の遭難または愚行』と改められ、内容も一部加筆されていたという。このため、 実際のタイタニック号沈没に合わせて書き直された部分もあったの ではないかと言われている。


【参考記事・文献】
タイタニックの沈没を予言していた奇妙な小説の話
「タイタニック号」はやはり必然的だった!? 14年前すでに予知していた謎の小説とは?
大事故は14年前に予知されていた?「タイタニック号の予言」


【本記事は「ミステリーニュースステーション・ATLAS(アトラス)」からの提供です】




【文 ナオキ・コムロ】

tocana

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