「あなたも、わたしも、聖徳太子」ってどういうコト? 生誕1450年の企画展「たいしたもんだよ、お太子さん」が気になりすぎる
2023年12月31日(日)18時0分 Jタウンネット
聖徳太子というとどんなイメージをお持ちだろうか。
「一万円札」を思い浮かべる方は、昭和世代かもしれない。福沢諭吉の前は、聖徳太子だったからだ。
筆者は彼のことを、どこか謎めいた存在だと感じている。たまに身近に現れたとしても、すぐにどこかへ去っていってしまう、幻の存在。そう、まるで「〇〇仮面」のような......(エッ、筆者だけ?)。
さて、そんな聖徳太子は2024年に生誕1450年を迎えるらしい。キリがいいのか悪いのか微妙なところだが、兎に角これを記念して1月1日〜2月4日に、こんな展示が行われる。

四天王寺宝物館(大阪府大阪市天王寺区)の聖徳太子生誕1450年企画展「たいしたもんだよ、お太子さん!」である。
タイトルに惹かれたJタウンネット記者は、この企画展について、主宰する四天王寺を取材した。
子供のすがたの聖徳太子像が一般的?
四天王寺は、西暦593年(推古天皇元年)に聖徳太子によって建立された。
蘇我馬子と物部守屋の間で合戦が起こった際に、蘇我氏についていた聖徳太子は四天王像を彫り、「この戦いに勝利したら、四天王を祀る寺院を作り、人々の救済につとめる」と誓願した。その誓いを守るために作られたのが、この寺なのだという。
「聖徳太子創建の四天王寺にとって、太子生誕1450年というのは記念すべき年となります」
四天王寺勧学部・文化財係の担当者はそう語る。記念すべき年が来ることを機にに、人々に聖徳太子の魅力を知ってもらおうと企画したのが「たいしたもんだよ、お太子さん!」だ。
「本展は、聖徳太子没後の太子信仰のなかで、聖徳太子がどのようなかたちであらわされ、どのような広がりをみせたのかご紹介するものです」(四天王寺担当者)
今回の企画は、研究者・学者だけではなく、一般の人にもわかりやすい展示を目指している。「たいしたもんだよ、お太子さん」というくだけたタイトルも、より多くの人に親しみを持ってもらえるように、という狙いがあるそうだ。

ところで「たいしたもんだよ、お太子さん!」というタイトル以外にも、非常に気になるフレーズがある。
チラシ裏面の、「あなたも、わたしも、聖徳太子!?」だ。どういう意味だろう。あなた(読者)も、わたし(記者)も、聖徳太子、なのだろうか? 私のほうでは自覚はないが......。
担当者にこのセリフの意味を聞くと、こう答えた。
「チラシには、2歳の『南無仏太子像』と35歳の『聖徳太子勝鬘経講讃像』がこのセリフを発しているようにデザインいたしました。
意図としては、現代では『聖徳太子勝鬘経講讃像』のような大人のすがたの太子像が一般的なイメージであるのに対して、『南無仏太子像』のような子供のすがたの太子像が存在していることをお示しし、年齢は異なるけれどどちらも聖徳太子であって、むしろ中近世においては子供のすがたの太子像が一般的であった、ということの意外性をみなさまにお伝えしたく、このようなコピーにいたしました」(四天王寺担当者)
子供の像も、大人の肖像画も、聖徳太子、という意味だった。
また、現代のわれわれには「冠位十二階」や「十七条憲法」などを制定した"政治家"としてのイメージが強い聖徳太子だが、中近世においては、それに加えて、日本に仏教を広めた"宗教家"としての側面や、超人的・聖人な人物像が流布していた。
これまで、「聖徳太子」はどのように表現されてきたのか。人々にどんな存在だと思われていたのか。
「たいしたもんだよ、お太子さん!」に行けば、あなたが持っている聖徳太子への印象が変わるかも?
今まで興味があった人も、そうではなかった人も、生誕1450年を記念して、足を運んでみては?