「副業の疑問」に税理士が答えます 第4回 副業と経費の問題 - 税務調査を解説

12月31日(月)11時0分 マイナビニュース

前回、確定申告に当たって一番大切なのは利益の計算であること、税金をセーブしたいのであれば経費をきっちり計上することが大切であることについて触れました。

実際、副業やフリーランスの方から相談を受ける内容は「これって経費になりますかね?」といった話がほとんど。そこで、まずはその部分をもう少し考えていきましょう。

○「経費で落ちる」ってどういうこと

確定申告について話をしていると「キャバクラ代を全部経費で落としていますよ」「ブログ写真で着ている洋服は、衣装代として経費で落とせますよね?」というような話題がよくでます。

ここでいう「経費で落ちる」というのはどういうことか。あらためていうほどでもないですが、確定申告の際に経費として処理をして問題ないということですね。

ではその「問題ない」というのは誰が判断するものなのでしょうか。

前回の「経費になるかどうかは個人の主観」という考え方を踏まえ、本人が経費と判断してから先の流れをご紹介します。

(1)事業主本人が「これは経費だ!」と判断して確定申告上経費処理をする
(2)税務署の窓口が受け取る
(3)納付、還付が粛々と行われる

ここまでで一連の流れは終了。(1)はまあ良いですよね。意外に思われるかもしれませんが、税務署の窓口は書類を受け取って収受印を押すだけで中身など見ません。

納付、還付までの流れも特段の不備がない限りはスムーズに行われます。つまり、経費が妥当かどうかを税務署サイドがチェックするような局面はなく、本人が申告したとおりに処理が行われることになります。
○税務署のチェックが入るのはいつ?

では、「これってホントに経費?」と税務署から指摘が入る局面はいつなのか。それは税務調査が入ったとき。そのときになって初めて処理の間違いの指摘や経費計上の妥当性についての質問を受けることとなります。

しかし、税務調査は1〜2日で概ね完了します。そのなかですべての取り引きをチェックするのは無理ですから、担当者は気になったところを中心に調査をします。

その結果、その対象とならなかった多くの領収書、レシート類に関しては確認もされずスルーされるわけです。もちろん担当者は経験豊富ですから怪しいところはちゃんと指摘しますけどね。
○先輩は正しいか、考えてみましょう

このことを踏まえて考えてみましょう。皆さんが事業をやっている先輩にこう言われたらどうですか?

先輩A
「うちは友達と行ってるキャバクラ代も全部経費にしてるけど、申告書は普通に受け取ってくれてるよ」

先輩B
「自宅でも仕事をしているから家賃の1/3は経費で落としてるけど全然何も言ってこないよ」

先輩C
「うっかり自宅の電気代を経費にして申告しちゃったけど、税務調査では触れられなかったからそれくらいやっちゃって大丈夫だよ」

まずはAさん。これはもう論外です。窓口は受け取るのが仕事。どんなに不備があったってとりあえず受け取ります。中身がどうかなどはまったく関係ありません。

そんなこともわかっていない先輩の言うことなど一切聞いてはいけません。

次にBさん。税務調査でもない限り、税務署は申告書の内容を個別にチェックなどしません。ということは、この段階でもまだ経費で問題がないかどうかはわかりません。

先輩は単にセルフジャッジを貫いているだけ。それをまねて大丈夫な保証はまったくありません。

最後にCさん。これはもうラッキーだっただけですね。処理としては間違えているわけですし。もちろん税務署がそれを認めてくれたわけでもありません。

運が良い人にはあやかりたいところですが、ここはやめましょう。

というわけで、3人の先輩のアドバイスはどれをとっても税務署のお墨付きがあるわけではなく、次に調査が入ったら否認されてしまうようなものです。

ですからこういった経験を根拠に「オレは大丈夫だったからお前もそうやっちゃって大丈夫だって」ともっともらしいことを言う先輩は信じちゃダメですよ(税金の面では)。
○個人事業主に税務調査って入る?

何かが発覚するのは税務調査のときとなるわけですが、個人事業主に、しかも副業程度の方のところにも税務署はやってくるのでしょうか。統計資料を見ると次のような数字が確認できます。

個人事業主の数 198万人(総務省統計局 平成28年経済センサスより)
実地調査の件数 6万6,016件(国税庁 平成28事務年度 所得税及び消費税調査等の状況より)

割合に直すと個人事業主の3%ほどの方に税務調査が入っていることになります。その中には本業でガッツリやっている方も含まれますので、副業の方のところまで税務調査がくる可能性は相当に低いといえます。

しかし、可能性がゼロではない以上、きたとしてもおかしくはありません。可能性が低いからといって甘く見ず、いざというときにもしっかり説明ができる申告書作りをしたいところです。

ちなみに私のクライアントの会社員兼個人事業主(まあ副業ですね)は今まさに税務調査中です。今までの税務調査では指摘されることのなかった飲食代が論点とされ、クライアントはご立腹です。

前の調査ではスルーされていたのに。こういった事態も少なからずあるということは覚えておいて下さい。
○税務調査についての都市伝説

ちなみに、税務調査が入りやすいのは前の年と比べて急に金額や比率(原価率などです)に変動があった年という都市伝説があります。そういった場合には例年以上に慎重になった方が良いかもしれませんね。あくまで都市伝説ですけど。

都市伝説といえばもう一つ。税務調査がきたら調査官に何らかの修正点をお土産に持たせなければいけないというものがあります。

これは真っ赤なウソですからね。修正する必要がなければもちろん手ぶらで帰っていただくことになります。当たり前です。

ですが、統計的には8割以上が何らかの誤りを発見されていますので、税務調査が入ったら多少の犠牲は覚悟する必要があるかもしれませんね。

○著者プロフィール: 高橋 創(たかはし はじめ)
専門学校講師、会計事務所勤務を経て2009年に新宿二丁目で高橋創税理士事務所を開設。新宿ゴールデン街のバー「無銘喫茶」、YouTube「二丁目税理士チャンネル」の運営なども行う。著書に『税務ビギナーのための税法・判例リサーチナビ』(中央経済社)、『図解いちばん親切な税金の本18-19年版』(ナツメ社)がある。『フリーランスの節税と申告 経費キャラ図鑑』(中央経済社)が近日発売予定。

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