障がい者家族の本音から生まれたグループホーム「にこにこ」創設者・現場責任者が目指す「生きづらさを抱えるすべての人が笑顔で過ごせる世界」とは

2024年6月18日(火)8時10分 PR TIMES STORY

「親亡き後も自分の足で立って暮らせる環境を作りたい」というコンセプトのもと、広島県に障がい者グループホーム「ここにこ」に続き、2023年に東京調布市2024年に横浜に障がい者グループホーム「にこにこ」を開設しました。


ダウン症の妹を持つ障がい者家族である創設者 下原氏と二人三脚で会社を支えるホーム責任者の上原氏の共通の目標は”障がい福祉の枠を超えた「どんなバックグラウンドを持つ人でもやりたいことができる理想の社会作り」”


経営・現場運営のそれぞれの視点から「にこにこ」が目指す未来を語ります。

障がい者グループホームをはじめたきっかけは障がい者を持つ家族ならではの想いがあったから

代表 下原氏と妹さん

現在、広島・東京で障がい者グループホームを運営している2人ですが、ホームを開設するきっかけは創設者 下原氏の家族のためだったそう。

既存のホームを利用するのではなく、新たに自分たちの手でホームを開設することになった理由に障がいを持つ家族ならではの想いがありました。

下原氏:

障がい者を持つ家族が一番に抱える不安が『親亡き後の暮らし』です。

社会的に障がい者の子どもがいるということをあんまり周りには伝えられないとか、家族だけで面倒見ないといけないって空気があるような気がするんです。

私は広島の出身で、小さなころに両親が離婚し母と妹の3人で暮らしていましたが、17歳の時に母が再婚しダウン症の妹が生まれました。

母親は『あんたら(私と長女)2人に迷惑かけられないから』みたいな感じのことを言っていたのですが『それって違うよね』と思って。

例えば、子どもが生まれて親が一生面倒を見たとして、最終的に親が亡くなった後、本人が自分で生活しようと思ってもできない。

親亡き後、わが子がどう生きていくのか?これは障がい者の子どもを持つ親が抱える不安です。私が目指すグループホームは障がい者を持つ家族が安心して任せられる施設にしたいですし、家族も自分の人生を送ってもらいたいと思っています

利用者の自立を助けつつ、お互いが気持ちよく過ごせる「シェアハウス」のような場所でありたい

施設長の上原氏

下原氏とともににこにこをを立ち上げから支え続けてきたのは施設長を務める上原氏。現場の視点からにこにこがどのようなホームなのかを語ってくれました。

上原:

にこにこは障がいを持つ人が自立をし、最終的に一人暮らしができることを目的にしています。

にこにこでは、みんなが気持ちよく過ごせるような基本的なルールを設けていて、たとえば、出かける時や帰宅した時は必ず声掛けをする。1日のスケジュールはみんなが共有できるようにするなどがあります。

共有のリビングルームのボードで1日のスケジュールを共有

無機質な番号ではなく人のぬくもりを感じる部屋のプレートはスタッフのアイデアによるもの

施設のような細かなルールではないですが、利用者さんのことを1番に考え、シェアハウスのようなみんなが気持ちよく暮らせることを大切にしています。

グループホームの運営を通して学んだこと

広島の「ここにこ」東京の「にこにこ」と7拠点のグループホームを運営する中で、下原氏、上原氏をはじめ職員全員が大切にしているのが「利用者と職員の距離感」です。

実際にどうのようなことに気を付けているかを下原氏が教えてくれました。

下原:

あまり近すぎると利用者さんの自立の妨げになるため、にこにこでは必要以上に職員と利用者さんとの距離を縮めない・個別にLINEを教えないなど職員間で徹底しつつ、利用者さんの日頃の様子やちょっとした変化は見逃さないように見守ることを大切にしています。

毎月のミーティングではスタッフ間で利用者さんやスタッフの現状を共有、常にベストな支援を話し合う

また、「利用者だけでなく職員も気持ちよく働ける場所であること」も大切しているそう。特に経営陣・現場職員をはじめ、運営に関わる全員が同じ想いを持つこともホームの運営に欠かせないと上原氏はいいます。

上原:

経営陣と現場との連携を上手く取っていくことが入居さんや働くスタッフにとって大切なことだと思っています。

私たちが障がい者グループホームを立ち上げる際にも、経営陣と現場の連携が取れていなかったばかりに、現場をまとめるリーダーもおらずスタッフが疲弊して辞めていったという話を聞いており、『そこにいる人たち全員が同じ意識を持っていること』がホーム運営に欠かせないことだと感じました。

なので、職員の採用に関しても自分たちと同じ想いに共感してくれる人かどうかを重視するようにしています。

理想は障がいを持つ人も持っていない人も安心して暮らせること

調布市のにこにこ西調布

ホームの運営に関しては利用者、職員以外にも地域住民の理解も不可欠なんだそう。

運営の難しさを知る上原氏はにこにこの開所にあたって大切にしていることをこう語ります。

上原:

弊社の理念に『関わる人がみんなにこにこ笑顔で』というのがあって、利用者さんはもちろん、職員、地域の方みんなが気持ちよく過ごせることを一番に考えています。

にこにこを東京 調布に開設したのは、代表の下原が看護師時代にお世話になった場所というのもありますが、施設のオーナー様や周囲の方の理解があったことも大きいです。

調布市にあるアパートタイプのにこにこ国領

「障がい者施設を開設する時に一番難航するのが『地域住民の方の理解』です。

障害を持つ人が身近にいないと『怖い』『どう接したらいいのか分からない』という不安を持たれるのは当たり前だと思っていて、ホームの作る前には必ず丁寧な説明が必要だと思っています。

小さいお子さんがいらっしゃる親御さんだと『もしも子どもに何かあったら』と心配されるかと思います。そういった場合、実際の他のホームの利用者さんを呼んで実際にお話ししていただく機会を作るなど、こうしたホームを作る時は知っていただく機会を設けることが大切なんじゃないかと思っています。

横浜のにこにこ菊名

今後、東京、横浜以外の地域にもホームを開設していく予定ですが、地域の方に安心して受け入れてもらえるよう、丁寧な説明を心掛けていきたいです。

環境は違えど生きづらさを抱える人に寄り添いたいという気持ちは同じ

幼い頃一人親で育ったことや障がいを抱える家族を持つなど、自身のバックグラウンドに縛られない生き方を探してきた下原氏。対して生きづらさを抱える人と友人や山谷地区のホームレスへの支援などの社会的に弱い立場の人たちとの交流を深めてきた上原氏。二人の互いの目標は、「生きてきたバックグラウンドは違えど、どんな環境の人でも活躍できる場をつくること」

バックグラウンドは違えど、同じ目標を持つ理由をそれぞれに聞いてみました。

下原:

うちは母子家庭で子どものころから育った家庭やバックグラウンドに縛られない生き方をしたいと思っていました。そんな中、中学・高校と大きくなるにつれて家庭の環境によってできること・できないことがこうも違うんだと感じて、自分の力で環境を変えたい・起業したいという思いが強くなっていったように思います

上原:

私の友人の何人かが日常生活で人と上手くコミュニケーションが取れず、生き辛さを抱えていることがあり、「心が疲れてしまった」という話を耳にする機会が多かったのが今の仕事に付いた原点です。

その後、日雇い労働者の方が集まる山谷地区でホームレスの方の支援をしていた中で、「努力はしているけれど、環境が原因で今の生活になってしまった」という話を聞いて、(決して生き辛さや生活困窮が)本人のせいじゃないことに気付いたんです。それがなんかもったいないなと思って。

シンプルに誰かが悲しんだり、苦しんだりしているよりもみんな幸せに暮らせるほうがいいなって思うようになったんです。

そんな時に代表の下原に出会って、バックグランウドに囚われない場所を自分たちで作りたいという思いに共感し、そこから経営は下原、現場は私。という役割分担で事業に携わるようになりました。

2人の目指す夢は「障がいやバックグラウンドの縛りに囚われない世の中を作ること」

障がいや環境によって生きづらさを抱えている人たちが活躍できる場を作るべく、グループホームの運営を行っている二人ですが、まだまだやりたいことはあるそう。



下原:

2拠点運営により事業の幅は広がってきましたが、本質的にやりたいことはまだできていないと感じています。

実は起業した時、いろんなバックグラウンドを持っている人を採用して、各個人が活躍できるようにといろいろなことをやっていたのですが、取引先の企業の期待を超えることは難しかった。

ただ、私としては『いろいろなバックグラウンドを持った人を社会で活躍させていたい』という思いがあるので、会社の収益関係なくどんな環境の人でもやりたいことに挑戦できる場を作りたいと思っています。


例えば、家庭の環境のせいで学びの機会が少なかった人たちに寺子屋のような学びの場を作ったり、無報酬で転職の支援をしてあげたりみたいな感じです。

そのためにも会社として体力が必要になるので、事業を大きくしながらさまざまな人たちが活躍できるお手伝いをしていきたいと思っています。

上原:

まずは手の届く人たちを助けられるようになって、それを広げていきたいですね。

そのために職員の質を高めること、助けられる場所を増やすこと。ゆくゆくはグループホームだけではなく、就労支援や作業所、訪問看護など幅広く展開できればと思っています。

そのためには運営を軌道に乗せることはもちろんですし、地域の方に安心して受け入れてもらえるように自分たちの活動を知っていただくことにも力を入れていきたいですね。


■障がい者グループホーム にこにこ(https://niconico-gh.com/chofu/


事業内容

 障がい者グループホームの運営

・基本方針

 自立した生活を実現できるよう支援します。

 心身共に健康で安心できる場を提供します。

 様々な関連機関と連携し入居者へのサービス向上に努めます。

・拠点 

 にこにこ国領

   東京都調布市国領町五丁目49番2号リバーモガミ308号室

  TEL・FAX:042-458-2624

 にこにこ西調布

   東京都調布市下石原2丁目17番地2

  TEL:042-426-9927 FAX:042-633-4815

 にこにこ菊名

  神奈川県横浜市鶴見区上の宮2-17-38グリーンウッド菊名201

  TEL:045-710-0186 FAX:045-710-0187


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