「昇進したくない部下」にうんざりしている上司が見落としているたった1つの視点

2024年8月12日(月)6時0分 ダイヤモンドオンライン

「昇進したくない部下」にうんざりしている上司が見落としているたった1つの視点

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「圧倒的に面白い」「共感と刺激の連続」「仕組み化がすごい」と話題の『スタートアップ芸人 ── お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』著者・森武司氏は、2005年の創業以来、18年連続増収増益を達成し、年商146億円となった。ここまで会社を成長させてきた秘密は何か? 本書からより深い学びを得ようと、インタビュー企画を実施。今回インタビューするのは、FIDIA 広告事業部・サブマネージャーである黒澤辰哉氏。Yahoo・Google・LINE・Facebook・Instagram・X等のプラットフォームでの広告運用を得意としており、本書でもたびたび登場するFIDIA役員 菅良平氏の部下でもある。そんな黒澤氏は、『スタートアップ芸人』をどう読み解いたのか。のべ50人以上の部下の面接やマネジメントを経験した黒澤氏に、組織づくりの極意を聞いた。(ダイヤモンド社書籍編集局)

Photo: Adobe Stock

みんなが早く昇進したいと思う仕組み

――本書ではモチベーションアップの取り組みとして、FIDIA全体で組織図を共有している話がありました。そこで、広告事業部としては、どういう取り組みをしているのでしょうか?

黒澤辰哉(以下、黒澤):新たな評価制度を導入しました。以前は広告事業部自体が少人数だったので評価制度が存在しなかったのですが、少しずつ規模が大きくなってくると、評価制度を整える必要性が出てきたんです。また、目標に対する達成率や自分の成績が可視化できたほうが社員も納得できるというのもあり、毎月の個人の目標値を設定した上で半年ごとに振り返りをする制度を取り入れています。

――評価制度を導入することで、社員の動きや意識に何か変化はありましたか?

黒澤:今まで、自分が本当に評価されているのかという部分を不安に感じていたメンバーが多かったのですが、そこが解消され、働きやすくなったという声を聞いています。

――早く昇進したいと思わせるように、工夫していることや意識していることはありますか。

黒澤:「こういうことができるようになったら、この役職」という基準をある程度明記するようにしました。次の目標に対しての自分の現在地が見える化されたので、次に必要なことが一目瞭然なのがいいと思っています。

今までビジョンが曖昧だったので、目標に向かって次は何を身につけたらいいか、何が足りないのかなどが目に見える形でわからなかった。そこがはっきりしたことで、昇進に対するモチベーションが上がったと思います。

――なるほど。一緒に働いていく中で、違う方向に進みたいといった意見が出てくることはありますか?

黒澤:あります。例えば広告運用という仕事に関しては、かなり向き不向きがはっきり出やすいんです。そういう意味で「合わない」と感じる人は一定数出てきます。広告事業部は以前は3~4名でしたが、今は20名ほどの規模になりました。広告事業部の中でも、さらに色々な業務を担当する部署に分かれています。

仕事が合わないと感じたら、異動を検討したり、相談したりすることができる環境にはなっています。規模が大きくなったからこそ、個々の細かな要望にも柔軟に対応できるようになりました。

「昇進したくない」は果たして悪か?

――逆に、昇進したくない人を尊重する組織づくりとして広告事業部で取り組んでいることはありますか。

黒澤:はい。サッカーにたとえると、チーム内でも「全国制覇を目指したい人」と「とにかく楽しくやれたらいい人」の温度差は一定数あるでしょう。その温度差を無理に引っ張ると、「自分たちのペースで楽しくサッカーをやりたい人」が全員辞めてしまいます。それは、組織としてはすごくもったいないこと。

昇進に興味がない人は、一定数いる。理由は色々ありますが、実は僕自身そういった部分がある。僕は入社した際、「菅をNo.1にする」「広告事業部をNo.1にする」と決めて入社したんです。そういった目標はあるものの、僕自身がどうなりたいかについては「何も考えていない」というのが正直なところ。

僕にとっては「広告事業部がどうやったらNo.1になるか」が大切なんです。ですので、その目標が達成できるなら、別に僕が上に立たなくてもいいと思っているんです。僕より優秀な人が上に立ったほうが広告事業部がNo.1になれるなら、それはそれでいい。そういった理由から、僕は何がなんでも昇進したいと思わないんです。

昇進したくないと思う理由は、悪い理由だけじゃないというのをお伝えしたいです。仕事より優先したいものを持っている人もいるでしょうし。そこを尊重できる組織づくりはとても大事なんじゃないかなと思います。

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