ラニーニャ現象続く 春にかけても続くのか
気象庁は、12日「エルニーニョ監視速報」を発表しました。昨年夏からラニーニャ現象が続いているとみられます。今後、春にかけて、ラニーニャ現象が続く可能性と平常の状態になる可能性は、同程度と見込んでいます。
12月の実況
気象庁は12日、エルニーニョ監視速報を発表しました。
12月のエルニーニョ監視海域の海面水温は基準値より低い値で基準値との差は−0.9℃、ラニーニャ現象発生の判断に使用している5か月移動平均値の10月の値は−1.0℃でした。太平洋赤道域の海面水温は中部から東部にかけては平年より低く、西部で平年より高くなりました。海洋表層の水温は中部から東部にかけて平年より低く、西部で平年より高くなりました。太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年より不活発で、中部の大気下層の東風(貿易風)は平年より強くなりました。このような海洋と大気の状態はラニーニャ現象の特徴を示しており、昨年夏からラニーニャ現象が続いているとみられます。
今後の見通し
太平洋赤道域の中部から東部に見られる海洋表層の冷水が冬の間は東進し、東部の海面水温は平年より低い状態が継続すると考えられます。エルニーニョ予測モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温は、春にかけて基準値より低い値か基準値に近い値で推移すると予測しています。以上のことから、今後、春にかけてラニーニャ現象が続く可能性と平常の状態になる可能性が同程度(50%)となっています。
西太平洋熱帯域 及び インド洋熱帯域の状況
西太平洋熱帯域:12月の西太平洋熱帯域の海面水温は、基準値より高い値でした。今後春にかけて基準値より高い値か基準値に近い値で推移すると予測されます。
インド洋熱帯域:12月のインド洋熱帯域の海面水温は、基準値に近い値でした。今後春にかけて基準値に近い値か基準値より低い値で推移すると予測されます。
ラニーニャ現象とは
ラニーニャ現象が発生している時は、太平洋赤道域で吹く東風が、平常時よりも強くなります。その結果、太平洋赤道域の西部では、強い東風によって吹き寄せられる「暖かい海水の層」がより厚くなり、インドネシア近海の海上では、積乱雲がより盛んに発生します。
一方、太平洋赤道域の東部では、冷たい水の湧き上がりが、平常時より強くなります。そのため、太平洋赤道域の中部から東部では、平常時よりも海面水温が低くなるのです。
このラニーニャ現象が発生すると、世界中の天候に影響を及ぼします。日本付近では、冬は、北日本の太平洋側で日照時間が多くなる傾向があります。春は北日本の太平洋側で日照時間が少なく、西日本で多くなる傾向があります。
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