【医者が教える】「断食」が「流行の健康法」ではない理由
【医者が教える】「断食」が「流行の健康法」ではない理由
現代人は「慢性的で容赦ないストレス」に押しつぶされ、頭も肉体も、そしてメンタルも疲れ切っている。私たち人間が本来持つ「エネルギー」を取り戻すには、どうすればよいのだろうか? 本連載では、スタンフォード大学で人気講義を担当し、億万長者の投資家、シリコンバレーの起業家、アカデミー賞俳優のコンシェルジュドクターでもあるモリー・マルーフの著書『脳と身体を最適化せよ!──「明晰な頭脳」「疲れない肉体」「不老長寿」を実現する科学的健康法』から人生最高の時期を引き延ばし、生活の質を最大限に高め、幸福度を増し、慢性疾患の発症リスクを下げる「最新の健康法」を紹介する。
Photo:Adobe Stock
人類は歴史の大半で「断食」してきた
ファスティング(断食)という言葉は、強硬な意見を引き出す傾向にある。
ファスティングにはまっている人もいれば、毛嫌いする人もいる。興味はあるが挑戦をためらう人もいる。
間欠的ファスティングは流行の最先端のように見えて、その起源は古代に遡る。
ファスティングは、人間が食べ物とうまく関わり合うために編み出した方法なのだ。新しく感じられる理由は、私たちがあまりに大量かつ頻繁に食べることに慣れ切っているからに尽きる。
人類の歴史の大半の期間、持久運動と断食(ファスティング)は、機能不全のタンパク質やミトコンドリアを除去するために細胞の掃除機能を働かせるとともに、脳細胞の変性を食い止め、問題解決(より多くの食べ物を見つける、危険を脱するなど)能力を向上するために神経発生を増やすことで、細胞のレジリエンスを強化する信号を身体に送る役割を果たしてきた。
糖燃焼から脂肪燃焼・ケトーシスにスイッチを切り替える適応によって、私たちの祖先は食料不足に耐えることができ、生き残るための大きな強みを獲得した。
私たちは、いまもその信号を受け取るようにできている。ただ、いまではほとんどの人が持久運動をすることも、長時間食べずにいることもなくなっただけだ。動かずに食べ続けることで、私たちは健康を増進して健康寿命を延ばす絶好の機会を逃している。
ごちそうも食べるし断食もするのが自然な生活のリズムだ。特別な日に美味しいものをたくさん食べるときもあれば、何も食べずに過ごすときもあるという状態を身体は必要としている。
ファスティングを苦痛に感じる人は多い。それは主にファスティングに慣れておらず、代謝の柔軟性が低いため、身体が糖燃焼から脂肪燃焼へスイッチを切り替えるのに苦労するからだ。
私はジェイソン・ファン博士の『医者が教える健康断食』(文響社)を読んだ後、自分のインスリン抵抗性を改善するためにファスティングを取り入れた。
ファスティングは誰にでも効くわけではないが(生まれつき痩せ型の人には特に効きにくいとみられる)、あなたに代謝機能障害がある場合は、ファスティングが健康状態に大きな違いをもたらす可能性がある。
(本記事は『脳と身体を最適化せよ!──「明晰な頭脳」「疲れない肉体」「不老長寿」を実現する科学的健康法』から一部を抜粋・改変したものです。)
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