医者芸人・しゅんP「基準値内だから安心」というのは実は危険かも…健康診断の結果に一喜一憂する前に考えたいこととは

2024年5月10日(金)6時30分 婦人公論.jp


(写真提供:Photo AC)

厚生労働省が行った「令和4年 国民生活基礎調査」によると、40〜69歳のがん検診受診者の割合は、過去2年間で約4〜5割だそう。そのようななか、異色の医者芸人・しゅんしゅんクリニックPさんは「不調と向き合わず、健康なふりをして生活するアラフォー世代が急増している」と警鐘を鳴らします。今回は、医療とお笑いに精通した、しゅんPさんならではの健康アドバイスを自著『40歳を過ぎるとなぜ健康の話ばかりしてしまうのか?』より、一部お届けします。

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「数字」に振り回されてきた人生


健康診断や人間ドックで僕たちを一喜一憂させるのが「数値」や「判定区分」です。

数値をなんとか基準値に収めるため、そしてA判定を勝ち取るために、検査の1週間前から禁煙・禁酒をしたり、数日前から食事量を減らしたり、前日にいきなり筋トレをしたりと、ついついやってしまいがちな悪あがき。

それもこれもすべて「数字」のため……。

思えば僕は、昔から「数字」とともに歩んできた、いや、数字に振り回されてきた人生でした。

受験生時代には「偏差値」が勉強する上でのモチベーションでした。上がったらうれしいし、下がったらひどく落ち込みました。

高校3年生になると偏差値をひとつでも上げるため、睡眠以外の16時間はすべて勉強の時間。食事も部屋に持ってきてもらって、いつでも暗記できるようにトイレにも紙を貼って……と絵に描いたような受験生時代を過ごしました。

そんな努力のかいもあり、偏差値は65から70ぐらいをキープ。自分に合った勉強法を見つければ確実に結果が出るというゲーム性も相まって、ますます偏差値にのめり込んでいったのです。

YouTubeの「数字」


そして今はYouTube公式「しゅんしゅんクリニックPチャンネル」を開設し、医療関連のネタ動画などを主に毎週水曜と日曜に投稿しています。

僕はここでも、動画の再生数を見比べるようにしています。


『40歳を過ぎるとなぜ健康の話ばかりしてしまうのか?』(著:しゅんしゅんクリニックP/ヨシモトブックス)

見てくれている人のほとんどは、医療関係者や年齢層が高めの人たち。だからなのか、「ヘイヘイドクター」のような歌ネタ動画だけでなく、「医者・医療従事者あるある」のいくつかは再生数が100万オーバーです。

コロナ禍で一時期、劇場や営業など芸人の仕事がなくなり、“医者芸人”じゃなくて、ただの医者の時期がありましたが(笑)、ここからまた芸人活動も強化していかねば。

ということで、よろしければチャンネル登録をお願いしまシュッ!

検査結果に一喜一憂する前に考えるべきこと


こんな感じで、僕にとって客観的な指標としての数値やデータ、そこから導き出されるエビデンスは大事なのですが、そこで注視しなければならない点は医療の現場における「基準値」ってどうやって決めているのかということ。

全国健康保険協会の資料によると、基準値とは、20〜60歳くらいまでの“健康な人”の検査結果をもとに、そのうち上限と下限の2.5%を除いた残りの95%の人たちの数値。

でも“健康な人”の定義ってなんでしょう?

しかも、従来の健康の基準値はたびたび見直されていて、その度にこれまで病気だとされてきた人たちが健康体と見なされたり、逆に基準値に収まっているから健康体だと思っていたのに、いきなり病気予備軍になってしまったり。

患者さんにとっては一大事ですよね。

ヨシモト∞ホールにも、ネタバトルによるピラミッド型のランキングシステムがあり、かつて僕も出ていました。吉本の社員さんや作家さんら審査員からの高得点を獲った芸人はピラミッドの上の層に上がっていき、MCの仕事が増えたり、TV番組のオーディションに行けたり、作家さんに覚えてもらえたりします。

当時は上の層に行けるよう周りの芸人たちとしのぎを削っていたわけですが、今振り返ると、どんな審査員に当たるか、どんなお客さんが観覧されるかは運でしかなかった部分もあると理解しています。

今の僕であれば、点数の割り出し方のエビデンスを求めたり仮説を立てるので、あの時のように数字の上がり下がりに振り回されることもなかったなぁ、なんて。

それほどに数字とは、確かなものであると同時に、エビデンスがはっきりしなければ曖昧さもはらんでいるものだと僕は思っています。

だから検査結果で基準値範囲内であっても、慢心せず、気になることがあるなら病院に行くのが手っ取り早い。

一喜一憂させる判定区分


そして、基準値とひもづいて僕たちをホッとさせたり、がっかりさせたりもするのが「判定区分」です。

A異常なし
B軽度異常
C要再検査・生活改善
D要精密検査・治療
E治療中

いつも思うのですが、検査結果の表現ってなんだか物々しくないですか?

「異常なし」だとしても「異常」の2文字のインパクトが強すぎますし、「再検査」などいやが応でも不安をあおられてしまいます。

しかも医者目線で言うと、C判定でも検査項目によって“深刻度”に違いがあります。

どう受け止めたらいいかわからない! ということで、最後に、僕なりの表現で検査結果を実際に患者さんに説明するようにかみくだいてみました。

笑いの処方せん
結果表だけでどこまで信じるか、信じないかはあなた次第でシュッ!

※本稿は、『40歳を過ぎるとなぜ健康の話ばかりしてしまうのか?』(ヨシモトブックス)の一部を再編集したものです。

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