介護事業者の9割「業界全体で働き方改革が必要」――「退職者が多い」「給与面を他産業と同水準に」
介護事業者向け経営支援サービス「カイポケ」を運営するエス・エム・エスは1月11日、「介護現場における働き方改革実態調査」の結果を発表した。
調査は2017年12月14日〜21日の間、同サービス会員の指定介護サービス事業者を対象として実施。304人から回答を得た。
働き方改革の取り組み状況を聞くと、「実施済み」(19.7%)、「取り組み中」(22.7%)、「検討中」(23.0%)と、合わせて66.4%の事業者が何らかのアクションを起こしていることがわかった。
「職員の満足度が上がった」「長時間労働が抑制できた」という効果を実感働き方改革の具体的な取り組み内容の上位項目を見ると、「柔軟な働き方の対応」が50.8%で最も多く、「業務内容の見直し」(46.2%)、「長時間労働の是正」(42.2%)が続いている。
それぞれの取り組み内容をさらに細かく見ると、「柔軟な働き方の対応」では「短時間勤務の導入」(68.3%)、「業務内容の見直し」では「業務プロセスの見直しや簡素化、廃止・統合等」(77.2%)、「長時間労働の是正」では「業務終了時間の設定と帰宅促進」(83.3%)という回答が多かった。
働き方改革を「実施済み」と答えた人に効果を聞くと、「効果があった」という回答が73.3%に上っている。具体的には、「職員の満足度が上った」(45.5%)、「業務効率化・生産性向上ができた」(31.8%)、「長時間労働が抑制できた」(29.5%)などの効果が感じられるようだ。
その結果だろうか。現在の勤務先における1か月あたりの平均残業時間は「0時間」という回答が35.9%で1位となっており、2位の「5時間未満」(19.7%)を引き離している。
人材不足が働き方改革の妨げになっているケースも反対に働き方改革を進める上で苦労している(した)ことがあるかを聞くと、「ある」が67.3%に上った。具体的には、「人材不足による取り組みへのリソース不足」(37.3%)、「現状を変えようという現場職員の意識の低さ」(29.9%)、「多数の関係者や関係機関との調整や働きかけ、意識のギャップ」(29.1%)などが上位にランクインしている。
現在の介護業界全体で働き方改革の必要性を感じるかを聞くと、「はい」の回答が92.4%だった。その理由には、「退職者が多いため」「やりがいのある仕事であることを広めてもらいたい」「給与面を他産業と同じくらいにしてほしい」「介護業界全体が疲弊しているように感じる」などが挙がっている。
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