マイナス金利が解除されたけれど、今後どんな影響がある?
All About2024年3月27日(水)19時30分
みなさんから寄せられた投資や経済ニュースに関するさまざまな疑問に、ファイナンシャルプランナーの深野康彦さんが答えてくださいました。今回は「マイナス金利が解除され、今後どんな影響があるか」についてです。
みなさんから寄せられた投資や経済ニュースに関するさまざまな疑問に、ファイナンシャルプランナーの深野康彦さんが答えてくださいました。
今回は、マイナス金利解除で、今後どんな影響があるのかについてです。
住宅ローンに関していうと、固定金利はすでに緩やかに上がっていて、今後もその傾向が続くと思います。一方で、借りている人が多い変動金利については、すぐに金利が上がるというよりは、日銀の政策金利が0.1%くらいになると、徐々に上がってくる可能性が高いでしょう。
ただし、変動金利が上がっても、0.1〜0.2%くらいの範囲だと思います。仮に3000万円の住宅ローンを借りていた場合、0.1%金利が上がると年間で3万円、月額では2500円の負担増になるくらいです。
過度に心配するほど、急ピッチで変動金利が上がることはないと思いますので、メディアの情報に影響を受けて、あまり浮き足立たないようにしてください。
そして、為替についてですが、これまで日本はマイナス金利を続けていたのに対し、米国は2022年3月から継続的に利上げを行なってきました。それによって、日米の金利差が生じ、円が売られて円安になっていましたが、日本が利上げして金利差が縮まると、今後は徐々に円高になることが予想されます。
また、マイナス金利解除後の値動きが注目されていた株式市場については、前日の終値(2024年3月18日)より値上がりする結果となりました。今後の株価への影響としては、日銀がどのくらいのペースで利上げをするかといったところが、一つポイントになると思います。
ちなみに、3月は日本特有の“年度末”となるため、相場が調整されやすくなります。最近は株価が上がって、債券の価格が下がっていますので、債券で損が出ている分を株の利益で相殺し、リバランスする動きが活発になりがちです。
そうすると、株を買いたいという人よりも、売りたい人の方が多くなる可能性があり、需給のバランスはあまり良いとは言えません。こういった点も少し注意して、株式市場の動向を見ておいた方がいいと思います。
教えてくれたのは……深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など
(文:All About 編集部)
今回は、マイナス金利解除で、今後どんな影響があるのかについてです。
Q. マイナス金利が解除されたことで、今後どのような影響が考えられますか?
「17年ぶりにマイナス金利が解除されましたが、今後どういった影響があるのでしょうか。家を買おうかと検討していることもあり、特に住宅ローンの金利がどうなるのか。また、投資もしているため、今後の為替や株価への影響も気になります」(なないろさん/会社員/40代前半)A. 「預貯金や個人向け国債の金利は上昇、住宅ローン金利も緩やかに上がると思います。為替や株価については、様子見が必要といったところでしょうか」(深野さん)
マイナス金利が解除されたことで、預貯金の金利や個人向け国債の利率は上がるでしょう。長期金利の指標となる日本国債(10年)の金利も、いま大体0.7%台後半くらいですが、今回の政策変更によって1%くらいまで上昇するのではないでしょうか。住宅ローンに関していうと、固定金利はすでに緩やかに上がっていて、今後もその傾向が続くと思います。一方で、借りている人が多い変動金利については、すぐに金利が上がるというよりは、日銀の政策金利が0.1%くらいになると、徐々に上がってくる可能性が高いでしょう。
ただし、変動金利が上がっても、0.1〜0.2%くらいの範囲だと思います。仮に3000万円の住宅ローンを借りていた場合、0.1%金利が上がると年間で3万円、月額では2500円の負担増になるくらいです。
過度に心配するほど、急ピッチで変動金利が上がることはないと思いますので、メディアの情報に影響を受けて、あまり浮き足立たないようにしてください。
そして、為替についてですが、これまで日本はマイナス金利を続けていたのに対し、米国は2022年3月から継続的に利上げを行なってきました。それによって、日米の金利差が生じ、円が売られて円安になっていましたが、日本が利上げして金利差が縮まると、今後は徐々に円高になることが予想されます。
また、マイナス金利解除後の値動きが注目されていた株式市場については、前日の終値(2024年3月18日)より値上がりする結果となりました。今後の株価への影響としては、日銀がどのくらいのペースで利上げをするかといったところが、一つポイントになると思います。
ちなみに、3月は日本特有の“年度末”となるため、相場が調整されやすくなります。最近は株価が上がって、債券の価格が下がっていますので、債券で損が出ている分を株の利益で相殺し、リバランスする動きが活発になりがちです。
そうすると、株を買いたいという人よりも、売りたい人の方が多くなる可能性があり、需給のバランスはあまり良いとは言えません。こういった点も少し注意して、株式市場の動向を見ておいた方がいいと思います。
教えてくれたのは……深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など
(文:All About 編集部)
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