調整局面を迎えた日本株、NISAで投資するならこの銘柄
All About2024年4月30日(火)6時10分
足元の日経平均は落ち着きを取り戻しつつありますが、方向感には乏しくなりそうです。今年からNISAを通じて投資を行っている方は不安でしょうが、心配いりません。株は上昇、下落を繰り返して成熟していくものです。今の地合いでも投資対象は多々あります。
NISA投資で不安に思っているあなたへ
4月第四週の東京株式市場はようやく持ち直しの動きが見られました。米国ハイテク株が下げ止まったことから、東京エレクトロン<8035>やアドバンテスト<6857>など半導体株が反発したことで、日経平均も3万8000円台を回復しました。今年からNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)を通じて株式投資をスタートさせた方は不安に思ったことでしょう。ですが、NISAでの運用は数年単位の長期投資がメインで考えている投資家の方々がほとんどだと思います。
「つみたて投資枠」で毎月こつこつと株式投資を行っている場合、下落した局面の方がより株数を多く購入することは可能です。1月から3月までの上昇局面というのは、何年かに1度レベルの上昇でしたので、「つみたて投資枠」で運用される際、実はひたすら下落している方が効率はいいのです。結局、資金が必要となる数年後に上昇していればいいわけですから。
下げている背景は確認しておきましょう
株式は5年、10年という長い期間をかけて、上昇、下落を繰り返しますので、今回の下落局面はその一部と捉えれば、気も楽になるでしょう。今回は、米国の金利が上昇したことで、株式市場から債券市場に投資資金が移るといった思惑が先行し、上昇していた米国ハイテク株が下落しました。また、中東情勢という不透明感もネガティブな材料となりました。つまり、日本企業の業績が悪化するといった材料で下落したのではなく、米国や中東といった外部環境によって、東京株式市場が調整した(年初来安値を更新していないので「調整」という表現としています)と考えます。とはいえ、世界は密接につながっていますので、こうした連鎖的な動きが発生するのは仕方ないですが……。ただ、こうした経験を積み重ねることで、投資の「耐性(我慢)」が身につくと思いますし、数十年後に大きな果実(投資に対する利益)が狙えるようになると考えます。
ではNISAを通じて投資をしている場合、どうすればいい?
では、足元の不安定な相場環境のなか、NISAを通じて投資を行っている投資家はどうしたらいいでしょう。「つみたて投資枠」の場合、高配当銘柄やREIT(リート:不動産投資信託)、もしくは、投資信託を積み立てているのであれば、淡々と機械的に購入するパターンが最適と考えます。長期間にわたって上昇局面でも調整局面でもコツコツと決まった金額で買い続ける、まさに「ドルコスト平均法」の実践です。下落局面を生かした投資手法ですので、今のような地合いにはちょうどいいのではないでしょうか。
一方、「成長投資枠」ではこれらの投資信託に加え、個別株にも投資することが可能です。「つみたて投資枠」のようにコツコツと同じ額を購入する使い方もできますが、より短期投資のイメージで、値上がり益を狙うアクティブな手法をとる選択肢もあります。例えば、グロース市場の銘柄などはいかがでしょう。
売り込まれたグロース市場に注目してはいかが?
日経平均株価は調整局面入りで方向感に乏しい状況と考えますが、グロース市場は年初来安値を更新している銘柄が多く存在します。好業績なのに売られている銘柄や、高いテーマを有しているのに売られている銘柄も多くあります。投資家のマインドが悪化しているタイミングで、こうした銘柄にスポットを当てて、大きな果実を狙う戦略も取れます。筆者は、グロース市場の時価総額が大きい「東証グロース市場Core指数」(※東証グロース市場の銘柄群で構成される株価平均方式の株価指数)に注目しています。とりわけ、M&Aに積極的で株式分割を発表したGENDA<9166>や、介護や建設業界など人手不足で引き合いが多い業態向けのサービスを手掛けているトライト<9164>、パーキンソン病専門の老人ホームなどを展開しているサンウェルズ<9229>、国策でもある宇宙事業を手掛けるispace<9348>などは高い関心を持って株価動向をウォッチしています。
文:田代 昌之(金融文筆家)
新光証券(現みずほ証券)やシティバンクなどを経て金融情報会社に入社。アナリスト業務やコンプライアンス業務、グループの暗号資産交換業者や証券会社の取締役に従事し、2024年よりフリー。ラジオNIKKEIでパーソナリティを務めている。
(文:田代 昌之(金融文筆家))
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