なんとかして!物流業界の過酷労働 「11トンの積み下ろし1人で2時間」はドライバーの仕事ではない
10月31日放送の「ガイアの夜明け」(テレビ東京)で、運輸業界の過酷な労働環境の一部が明かされ、ツイッターユーザーから厳しい批判が上がっていた。
政府は3月の「働き方改革実現会議」で、残業時間の上限規制を厳しくする方針を打ち出したが、運輸業界は人手不足の懸念から猶予期間が設けられることに。これに対してドライバーたちからは、「運輸業界だけ長時間労働やむを得ないではなく、同じレベルに考えていただきたい」と強い抗議の声が上がっている。(文:okei)
「積み降ろしはドライバーの仕事じゃない」一般的な労働時間は1か月約174時間だが、トラックドライバーの労働時間は239〜273時間とはるかに長い。そんな中、人手不足とはいえ規制も見送るとなれば、ますますドライバーを仕事に選ぶ人は減るだろう。
創業51年の運送会社でドライバーを務める33歳のTさんは、妻と3人の子どもと5人暮らし。長時間勤務で「家族との時間がとれない」と悲しげに語った。国が定めるドライバーの拘束時間は13時間だが、超過する日はかなり多いという。
会社としても、少しでも拘束時間を減らすことで、減る一方の人材をつなぎとめたい思いがあり、物流コンサルタントと共に改革に乗り出していた。
長時間労働の原因の一つになっているのが、ドライバーが荷物の積み降ろしを行なっていることだ。Tさんは、1箱10キロのキュウリを全部で1200箱、およそ11トンを農協からトラックに1人で運び込んでいた。毎回1人ではないというものの、この日は1人で2時間13分かかっていた。届け先でも同じように降ろす作業が待っている。
農産物に限らず積み荷が工業製品でもすべてそうだという。恐るべき時間の浪費と労力だ。この日のTさんの稼働時間は14時間7分だった。
「ドライバー本来の仕事に専念できる職場を目指したい」これを、パレットと呼ばれる荷台のままリフトでトラックに運び込めれば、大きな時間の短縮になる。これまで、パレットは荷主のものということで、荷物だけ手作業で移動しなくてはならなかったのだ。今後は自社でレンタルし、パレットのまま荷物の積み替えができるようにする方向になった。ドライバーの勤務管理をしている責任者は、想いをこう語る。
「労働時間を短縮したいのは当然あるが、積み降ろしはドライバーの仕事じゃなくて、預かった荷物を安全にきちっと届けるというのがドライバーの仕事。ドライバー本来の仕事に専念できる職場を目指したい」
もっともな話で筆者も同感だ。たとえ荷物の積み下ろしをしなくてはならないとしても、11トンをたった一人で黙々と運び込む姿を見せられては、この業界に入りたいという若者はいなくなるだろう。
番組を見ていたツイッターユーザーからは、こんな怒りの声が上がっていた。
「ドライバーがいなくなるとか言うくせに何で積み込みまでドライバーがやらなきゃいけないんだよオカシイと感じろよ。ドライバーはドライバーだろそりゃドライバーいなくなるわ」
ドライバーの負担を軽減する努力を惜しんではならない。
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