オリー・アレクサンダー、英で社会現象となったドラマ「IT’S A SIN」から「いい影響を得ることができた」
シネマカフェ2022年1月24日(月)19時0分
80年代のイギリスを舞台にHIV/エイズに翻弄されるゲイの若者たちの10年を描いた海外ドラマ「IT’S A SIN 哀しみの天使たち」。先日発表された英エンパイア誌、英ガーディアン紙それぞれが選ぶ“2021年テレビ作品”第1位となり、米ニューヨーク・タイムズが選ぶ“2021年テレビ作品ベスト10”にも選出されるなど高い評価を獲得している本作から、主演オリー・アレクサンダーが日本のためにオンラインで応じてくれた貴重なインタビューが初公開された。
まずは本作の舞台となる1980年代が、1990年生まれのオリーにとってどのような時代だったか問われると、「90年代から00年代前半に子ども時代を過ごした私個人的には、自分が体験できなかった時代ということもあり、80年代はスーパークール(=とってもかっこいい)だと思っていました。電子音楽やシンセサイザーなどぶっ飛んだ文化が主流でしたし、インターネットが普及する前、本格的なデジタル時代が始まる前ですから、そういった意味でもノスタルジーを感じますし、愛着を感じます」と80年代に対しての前向きな印象を語る。
「英国の80年代といえば、マーガレット・サッチャー(首相)で、彼女は、緊縮財政政策を推し進め、英国社会はその影響を大きく受けました。ですから、国自体は貧しかったのですが、社会的・経済的な活動自体は活発でした」という時代。「ゲイのコミュニティにとって80年代はHIVの蔓延もあって、非常に重要な時代だったと言えます。80年代の当初、HIVという病気に対して一般社会は誤解や偏見を持っていましたし、ゲイやクィアであることの意味を知ったり、彼らに対する理解もまだ進んでいませんでした。“恐れ” が時代を包んでいた、と言えます。LGBTの人々に対する保護というものは殆どありませんでした」と80年代の実状を明かす。
英国で放送開始されてからHIV検査数が記録的に伸び、社会現象を巻き起こした本作。いまの世の中で放送、配信される意味についてオリーは、「社会現象が起こることや、実際に放送される時期に今のようなコロナの状況になっているなんて、撮影段階ではキャスト・スタッフは誰も予想できませんでした。コロナという社会状況があってもなくてもこのドラマが伝える本質は変わりませんが、放送がコロナ禍と重なったことで英国人はこのドラマをより自分事として受け入れることが出来たと思っています。今、皆が死に至るウイルスの蔓延を体験しているからです」と言う。
「このドラマは英国内で大きな反響を呼び、様々な意見も交わされました。HIV検査キットの1週間の注文数が史上最高を記録したり。とにかく、これだけの反響があったというのは、信じられないことですね」と本作がもたらした影響の大きさに自身でも驚きを見せる。
オリーが演じたリッチーという役柄について、「リッチーと私自身は似ている部分が多いと思います。役者を目指している点、18歳の時にロンドンに移住した点、大きな夢を持っている点など、まさにリンクしています。また、リッチーは常に隠し事を持っていて、自分のセクシャリティを家族に隠していたり、HIV陽性診断を受けた時はそれを隠していました。そういった傾向の大きな原因は、自分のセクシャリティに対する恥の感情だと思います。だから、自分をオープンにすることができない。その感情は、私が若い頃に持っていたものと同じで、私自身もゲイである自分が嫌で、自分ではない他の誰かになろうとしていました」と、自身の役柄へ深い共感を寄せた。
また、オリーのソロ・プロジェクトである「Years&Years」の約3年半となる新作アルバム「NightCall」が1月21日より発売されたが、オリーはリッチーを演じた経験を通してアーティスト活動にも影響があったことを明かしている。
「このドラマでリッチーを演じることは、アーティストとして、これまで持っていなかった創作プロセスを与えてくれました。陽気で人生を謳歌したいという彼の役作りは簡単ではありませんでしたが、とても楽しかった。撮影現場では80年代の素晴らしい音楽をよく聴いていたのですが、そこからインスピレーションややる気を得ることができました。このドラマが持つ強力なメッセージ性にも影響を受けましたし、とても素敵な撮影チームや共演者からの影響ももちろんあります。ドラマの様々な要素から、とてもいい影響を得ることができました」と、リッチー役を通して俳優だけでなくアーティストとしても成長したことを明かしている。
海外ドラマ「IT’S A SIN 哀しみの天使たち」はスターチャンネルEXにて全話独占配信中(全5話)。
オリー・アレクサンダーによる「Years & Years」新作アルバム「NightCal」国内盤CDは2月16日(水)より発売、輸入盤&デジタルは発売・配信中。
まずは本作の舞台となる1980年代が、1990年生まれのオリーにとってどのような時代だったか問われると、「90年代から00年代前半に子ども時代を過ごした私個人的には、自分が体験できなかった時代ということもあり、80年代はスーパークール(=とってもかっこいい)だと思っていました。電子音楽やシンセサイザーなどぶっ飛んだ文化が主流でしたし、インターネットが普及する前、本格的なデジタル時代が始まる前ですから、そういった意味でもノスタルジーを感じますし、愛着を感じます」と80年代に対しての前向きな印象を語る。
「英国の80年代といえば、マーガレット・サッチャー(首相)で、彼女は、緊縮財政政策を推し進め、英国社会はその影響を大きく受けました。ですから、国自体は貧しかったのですが、社会的・経済的な活動自体は活発でした」という時代。「ゲイのコミュニティにとって80年代はHIVの蔓延もあって、非常に重要な時代だったと言えます。80年代の当初、HIVという病気に対して一般社会は誤解や偏見を持っていましたし、ゲイやクィアであることの意味を知ったり、彼らに対する理解もまだ進んでいませんでした。“恐れ” が時代を包んでいた、と言えます。LGBTの人々に対する保護というものは殆どありませんでした」と80年代の実状を明かす。
英国で放送開始されてからHIV検査数が記録的に伸び、社会現象を巻き起こした本作。いまの世の中で放送、配信される意味についてオリーは、「社会現象が起こることや、実際に放送される時期に今のようなコロナの状況になっているなんて、撮影段階ではキャスト・スタッフは誰も予想できませんでした。コロナという社会状況があってもなくてもこのドラマが伝える本質は変わりませんが、放送がコロナ禍と重なったことで英国人はこのドラマをより自分事として受け入れることが出来たと思っています。今、皆が死に至るウイルスの蔓延を体験しているからです」と言う。
「このドラマは英国内で大きな反響を呼び、様々な意見も交わされました。HIV検査キットの1週間の注文数が史上最高を記録したり。とにかく、これだけの反響があったというのは、信じられないことですね」と本作がもたらした影響の大きさに自身でも驚きを見せる。
オリーが演じたリッチーという役柄について、「リッチーと私自身は似ている部分が多いと思います。役者を目指している点、18歳の時にロンドンに移住した点、大きな夢を持っている点など、まさにリンクしています。また、リッチーは常に隠し事を持っていて、自分のセクシャリティを家族に隠していたり、HIV陽性診断を受けた時はそれを隠していました。そういった傾向の大きな原因は、自分のセクシャリティに対する恥の感情だと思います。だから、自分をオープンにすることができない。その感情は、私が若い頃に持っていたものと同じで、私自身もゲイである自分が嫌で、自分ではない他の誰かになろうとしていました」と、自身の役柄へ深い共感を寄せた。
また、オリーのソロ・プロジェクトである「Years&Years」の約3年半となる新作アルバム「NightCall」が1月21日より発売されたが、オリーはリッチーを演じた経験を通してアーティスト活動にも影響があったことを明かしている。
「このドラマでリッチーを演じることは、アーティストとして、これまで持っていなかった創作プロセスを与えてくれました。陽気で人生を謳歌したいという彼の役作りは簡単ではありませんでしたが、とても楽しかった。撮影現場では80年代の素晴らしい音楽をよく聴いていたのですが、そこからインスピレーションややる気を得ることができました。このドラマが持つ強力なメッセージ性にも影響を受けましたし、とても素敵な撮影チームや共演者からの影響ももちろんあります。ドラマの様々な要素から、とてもいい影響を得ることができました」と、リッチー役を通して俳優だけでなくアーティストとしても成長したことを明かしている。
海外ドラマ「IT’S A SIN 哀しみの天使たち」はスターチャンネルEXにて全話独占配信中(全5話)。
オリー・アレクサンダーによる「Years & Years」新作アルバム「NightCal」国内盤CDは2月16日(水)より発売、輸入盤&デジタルは発売・配信中。
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