【インタビュー】ソ・イングク、念願の悪役「だからこそ演じる楽しさがあった」狂気の役との向き合い方
シネマカフェ2023年4月5日(水)7時45分
フィリピン発、釜山行きの貨物船に乗っているのは、現地で逮捕された極悪犯罪者たちと、彼らを護送する刑事たち。“海上の監獄”と化した船内では、やがて血で血を洗うサバイバルが繰り広げられ…。
容赦ない残酷描写が話題となり、各国のジャンル映画祭でも注目を集めた『オオカミ狩り』に、日本でも人気のソ・イングクが出演。極悪犯罪者の1人であり、刑事たちに牙を剥く男ジョンドゥを嬉々として怪演している。
2012年の初主演ドラマ「応答せよ1997」から「ショッピング王ルイ」「空から降る一億の星」、そして昨年の「美男堂の事件手帳」まで、スウィートな役も哀愁漂う役もユーモラスな役も自在に演じ上げてきた彼は、全身にタトゥーを施した狂気の殺人鬼にどう向き合ったのか。韓国とのリモート画面越しには、柔らかな笑顔のソ・イングクがいるのだが…。
演じたジョンドゥには詳細な設定が「とりあえず内緒」
――ジョンドゥは残虐性の塊のような男ですね。
その通りです。そんな彼を演じるのは、体に電流が走ってゾクッとするような体験でした。役というものは僕自身に似たものもあれば、共通点の少ないものもありますが、ジョンドゥは僕には全くない暴力性や残忍さを持っている役です。とは言え、僕なりの表現を用いて演じることに変わりはありません。与えられた役や物語を上手く表現したい気持ちで彼を自分の中に作っていくのは、とても楽しい過程でした。
――囚人仲間にウィンクをしたり、人を殺すときに軽く笑ったり。ソ・イングクさんのウィンクや笑顔を見て、ときめくのではなくゾッとさせられる日が来るとは…。
リハーサルのときに試してみたところ、監督がすごく気に入ってくれたんです。なので、本番でもやってみました。ウィンクをしたり、笑顔を見せたりしても、キャラクター次第で残忍に見えることもあるんだなと学びましたね(笑)。
――劇中では、ジョンドゥの生い立ちや背景はあまり明かされません。
実は、ジョンドゥの過去については監督の中に詳細な設定が出来上がっていました。彼がどんな人生を送ってきたのか。それを教えてもらった上で演じたのですが、この『オオカミ狩り』が大ヒットしたら、続編で彼の前日譚を語るプランもあって。今は状況を見極めているところですが、続編を作る可能性もなくはなく…。なので、ジョンドゥの過去についてはとりあえず内緒にしておきます(笑)。
細部から徹底した役作り
――これまで様々な役を演じてきた中、決まって実践するアプローチ方法はありますか?
いろいろありますが、まずは台本を受け取った後、監督も交えて細部を入念に話し合います。その人物の行動、習慣、癖、歩き方、話し方に至るまで。例えば、(ナチュラルな口調で)「こんにちは。お会いできて嬉しいです」と話す人なのか、(荒っぽい口調で)「こんにちは。お会いできて嬉しいです」と話す人なのか。話し方1つからいろいろ試し、ディテールを作り上げていきます。
――ジョンドゥはどんな「こんにちは」だったんですか?
これ以上は無理というほど軽いトーンの「こんにちは」です。それでいて、鋭さも含んでいる。ぶっきらぼうでつっけんどんで、無礼な人をイメージしました。
――「僕自身に似た役もあれば、共通点の少ない役も」とおっしゃっていましたが、演じてきた中でご自身に通ずる要素が多い役はどれですか?
あえて1人を選ぶとしたら、「応答せよ1997」のユン・ユンジェだと思います。彼も僕も小心者ですから(笑)。
――キュートなところも共通点ですか?
たしかに、ユンジェはキュートで愛らしく見えます(笑)。ですが、素っ気なかったり、1人であれこれ悩んだり、嫉妬を見せたり、かと思えば周りに愛嬌を振りまいたり。友達に優しく接することもあれば、ふざけて悪戯をすることもある子…と僕は捉えています。
役を選ぶポイントは「楽しめる役かどうか」
――役を選ぶときに大切にしていることは?
最も大事なのは、僕自身が楽しめる役かどうかです。楽しんでキャラクターを表現できるかどうか。楽しめなければ、本当の意味で役を演じることもできませんから。
――1つを挙げるのは難しいでしょうが、今までで最も楽しめた役は?
日本のタイトルは…、「元カレは天才詐欺師 ~38師機動隊~」でしたよね? ちゃんと覚えていますよ(笑)。この作品は本当に楽しかったです。すごく挑戦してみたい役柄(詐欺師)だったんですよね。撮影しながら、俳優としての成長を肌で実感することができました。それに、キャストが全員楽しい人ばかりで、現場の雰囲気がすごくよかった。もちろん、他の作品でもいろいろと学びましたし、楽しめましたが、特に印象深い作品の1つです。
――ジョンドゥのような悪役も、挑戦したい役柄だったとか。
「悪役を演じたい」とずっと言い続けていて舞い込んできた役でした。だからこそ演じる楽しさがありましたし、撮影現場自体も明るい雰囲気で。もちろん、安全第一でしたけどね。血糊だらけの船内でしたから、足を滑らせようものなら大怪我に繋がってしまいます。
ただ、この現場の特徴としては、(物語の中で命尽きて)寝転がっている人が終始あちらこちらにいて。彼らが「カット!」のたびに立ち上がり、「あ~、腰が痛い」とぼやいているのがおかしかったです。撮影した映像はとことん残忍ですけど(笑)。
――ソ・イングクさんの出演作には面白いものがたくさんあります。作品を見抜く力もお持ちのようですが、どんな映画やドラマが好きですか?
普段からいろいろな作品を見ますが、最近のお気に入りは『THE FIRST SLAM DUNK』ですね。子供のころに親しんでいた作品なので、あの感動を映画館で味わうことができて嬉しかったです。あと、Netflixの「ウェンズデー」も。登場人物たちがみんな魅力的でしたし、もともとティム・バートン監督の描く作品世界が大好きで。ああいったダークでファンタスティックな世界観にすごく惹かれます。
――では、今度はダークファンタジーにもぜひご出演を!
実を言うと、僕も今それを強く願っているところです!
容赦ない残酷描写が話題となり、各国のジャンル映画祭でも注目を集めた『オオカミ狩り』に、日本でも人気のソ・イングクが出演。極悪犯罪者の1人であり、刑事たちに牙を剥く男ジョンドゥを嬉々として怪演している。
2012年の初主演ドラマ「応答せよ1997」から「ショッピング王ルイ」「空から降る一億の星」、そして昨年の「美男堂の事件手帳」まで、スウィートな役も哀愁漂う役もユーモラスな役も自在に演じ上げてきた彼は、全身にタトゥーを施した狂気の殺人鬼にどう向き合ったのか。韓国とのリモート画面越しには、柔らかな笑顔のソ・イングクがいるのだが…。
演じたジョンドゥには詳細な設定が「とりあえず内緒」
――ジョンドゥは残虐性の塊のような男ですね。
その通りです。そんな彼を演じるのは、体に電流が走ってゾクッとするような体験でした。役というものは僕自身に似たものもあれば、共通点の少ないものもありますが、ジョンドゥは僕には全くない暴力性や残忍さを持っている役です。とは言え、僕なりの表現を用いて演じることに変わりはありません。与えられた役や物語を上手く表現したい気持ちで彼を自分の中に作っていくのは、とても楽しい過程でした。
――囚人仲間にウィンクをしたり、人を殺すときに軽く笑ったり。ソ・イングクさんのウィンクや笑顔を見て、ときめくのではなくゾッとさせられる日が来るとは…。
リハーサルのときに試してみたところ、監督がすごく気に入ってくれたんです。なので、本番でもやってみました。ウィンクをしたり、笑顔を見せたりしても、キャラクター次第で残忍に見えることもあるんだなと学びましたね(笑)。
――劇中では、ジョンドゥの生い立ちや背景はあまり明かされません。
実は、ジョンドゥの過去については監督の中に詳細な設定が出来上がっていました。彼がどんな人生を送ってきたのか。それを教えてもらった上で演じたのですが、この『オオカミ狩り』が大ヒットしたら、続編で彼の前日譚を語るプランもあって。今は状況を見極めているところですが、続編を作る可能性もなくはなく…。なので、ジョンドゥの過去についてはとりあえず内緒にしておきます(笑)。
細部から徹底した役作り
――これまで様々な役を演じてきた中、決まって実践するアプローチ方法はありますか?
いろいろありますが、まずは台本を受け取った後、監督も交えて細部を入念に話し合います。その人物の行動、習慣、癖、歩き方、話し方に至るまで。例えば、(ナチュラルな口調で)「こんにちは。お会いできて嬉しいです」と話す人なのか、(荒っぽい口調で)「こんにちは。お会いできて嬉しいです」と話す人なのか。話し方1つからいろいろ試し、ディテールを作り上げていきます。
――ジョンドゥはどんな「こんにちは」だったんですか?
これ以上は無理というほど軽いトーンの「こんにちは」です。それでいて、鋭さも含んでいる。ぶっきらぼうでつっけんどんで、無礼な人をイメージしました。
――「僕自身に似た役もあれば、共通点の少ない役も」とおっしゃっていましたが、演じてきた中でご自身に通ずる要素が多い役はどれですか?
あえて1人を選ぶとしたら、「応答せよ1997」のユン・ユンジェだと思います。彼も僕も小心者ですから(笑)。
――キュートなところも共通点ですか?
たしかに、ユンジェはキュートで愛らしく見えます(笑)。ですが、素っ気なかったり、1人であれこれ悩んだり、嫉妬を見せたり、かと思えば周りに愛嬌を振りまいたり。友達に優しく接することもあれば、ふざけて悪戯をすることもある子…と僕は捉えています。
役を選ぶポイントは「楽しめる役かどうか」
――役を選ぶときに大切にしていることは?
最も大事なのは、僕自身が楽しめる役かどうかです。楽しんでキャラクターを表現できるかどうか。楽しめなければ、本当の意味で役を演じることもできませんから。
――1つを挙げるのは難しいでしょうが、今までで最も楽しめた役は?
日本のタイトルは…、「元カレは天才詐欺師 ~38師機動隊~」でしたよね? ちゃんと覚えていますよ(笑)。この作品は本当に楽しかったです。すごく挑戦してみたい役柄(詐欺師)だったんですよね。撮影しながら、俳優としての成長を肌で実感することができました。それに、キャストが全員楽しい人ばかりで、現場の雰囲気がすごくよかった。もちろん、他の作品でもいろいろと学びましたし、楽しめましたが、特に印象深い作品の1つです。
――ジョンドゥのような悪役も、挑戦したい役柄だったとか。
「悪役を演じたい」とずっと言い続けていて舞い込んできた役でした。だからこそ演じる楽しさがありましたし、撮影現場自体も明るい雰囲気で。もちろん、安全第一でしたけどね。血糊だらけの船内でしたから、足を滑らせようものなら大怪我に繋がってしまいます。
ただ、この現場の特徴としては、(物語の中で命尽きて)寝転がっている人が終始あちらこちらにいて。彼らが「カット!」のたびに立ち上がり、「あ~、腰が痛い」とぼやいているのがおかしかったです。撮影した映像はとことん残忍ですけど(笑)。
――ソ・イングクさんの出演作には面白いものがたくさんあります。作品を見抜く力もお持ちのようですが、どんな映画やドラマが好きですか?
普段からいろいろな作品を見ますが、最近のお気に入りは『THE FIRST SLAM DUNK』ですね。子供のころに親しんでいた作品なので、あの感動を映画館で味わうことができて嬉しかったです。あと、Netflixの「ウェンズデー」も。登場人物たちがみんな魅力的でしたし、もともとティム・バートン監督の描く作品世界が大好きで。ああいったダークでファンタスティックな世界観にすごく惹かれます。
――では、今度はダークファンタジーにもぜひご出演を!
実を言うと、僕も今それを強く願っているところです!
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