【インタビュー】バーテンダー&工事現場を経て俳優へ――クリント・イーストウッドの息子スコットのストイックな一面
シネマカフェ2018年4月10日(火)9時15分
『パシフィック・リム:アップライジング』の劇中でジョン・ボイエガ演じる主人公のジェイクが、イェーガー(人型巨大兵器)のパイロット仲間であり、旧知の間柄にあるネイトのことを「あいつはプリティで、ハンサムで、セクシーだから」などとぼやく。そのネイトを演じるのは、スコット・イーストウッド。なるほど。目の前の彼は確かに、ジェイクがぼやくのも納得のハンサムガイだ。「そんな風に言われる男を演じるのは最高! いや、冗談だよ。でも、人に茶化されるようなシーンは意外と楽しいもの。というより、楽しんで演じなきゃ損だよ」と、完璧な笑顔で完璧な回答を口にする。
『パシフィック・リム』の10年後を描いた『パシフィック・リム:アップライジング』で、ネイトは若手パイロットたちの育成に励んでいる。狂暴なKAIJU(怪獣)に立ち向かうヒーローであり、若者にとっての師であり。「ちょっとカッコよすぎるキャラクターだよね」と笑うスコットだが、ネイト役には自然と同化できたそうだ。「彼はパイロットで、僕もパイロットの免許を持っている。だから、通ずるものは感じたよ。ただし、ネイトはすごく厳格で、名誉を重んじること、正義を貫くこと、最後まで戦うことを象徴するキャラクターでもある。逃げ出すことなく、たとえ傷つけられても許し合い、前に進み、力を合わせて戦う大切さを教えてくれる指導者なんだ」。
笑いながら言った「ちょっとカッコよすぎる」は、実は真剣な本音のよう。だからこそ、「最も気をつけたのは、人間臭さを持たせること」だったという。「最終的にカットされてしまったのだけど、ネイトとジェイクの関係性を物語るシーンがもっとあったんだ。そこがあれば、ネイトの親しみやすさがもっと伝わったのかもしれないね。登場人物の多い物語だから仕方がないけど。若い頃のネイトとジェイクには素晴らしい友情があった。けれども、ある出来事があって少し衝突してしまった。そんな2人が再会し、徐々に親友同士に戻っていく。すごく楽しい関係だし、その変化の過程が面白いと思ったんだ」。
本人はやや無念の表情を浮かべるが、案ずることはない。ネイトとジェイクの友情物語は少ないシーンながらも人間味に十分溢れていて、キュートだ。2人揃ってイェーガーに乗り込み、息の合ったアクションを見せるシーンでもそれが分かる。「アクションシーンには長い時間をかけたし、夜の撮影も多かった。だから、ジョンも僕もちょっとハイになってね。フラフラし過ぎて、笑えてきたよ。『ここに敵がいるぞ!』と言われても、撮影のときは何もないし(笑)。でも、スタントチームが作ってくれた美しい振り付けのおかげで、ジョンと僕は息もぴったりのアクションを披露することができた」。
体を張ったアクションの1つ1つを楽しむように、スコット・イーストウッドは自身の俳優人生を一歩一歩楽しんできた。それがここに来て、一気に花開いている。言うまでもなく彼の父親はあのクリント・イーストウッドであり、「映画にとって何よりも大事なのは監督。絶対とは言い切れないけれど、素晴らしい監督は素晴らしい作品を作る。逆に、イマイチの監督はイマイチの作品を作る(笑)」と監督の重要性を語りはするが、父親の威光に頼り切った印象はない。「飛び込んだことのない物語に飛び込みたい」と、ただシンプルな想いを口にする。「僕にとって『パシフィック・リム:アップライジング』は、初めてのSFであることが大きなポイントだった。『ワイルド・スピード ICE BREAK』は初めてのカーアクションだった。いまはスリラーに出たいし(ニック・カサヴェテス監督、モーガン・フリーマン共演のスリラー映画を撮影予定)、『ロンゲスト・ライド』みたいなラブストーリーに戻る日が来るかもしれない。また新たな経験になるだろうから」。
自らを「新しいチャレンジに目がないタイプ」と評し、「でも、まだ身を削るほどのチャレンジにはめぐり逢えていない気がする。もっと、もっとチャレンジしたい」とも語るスコット。「今朝は5時から東京の街を散策した。飛行機で寝てきたし、ジムでワークアウトしたから完璧。起きてすぐ体を動かすと、1日元気でいられるんだ」と明かすほどパワフルな人だけに旺盛なチャレンジ精神にも納得だが、その裏にはもちろん、日々に対する感謝の気持ちがある。「毎日思い出すようにしているのは、この仕事をしている自分がいかに幸運かということ。僕は子どもの頃から映画業界に入ったわけではなく、バーテンダーをしたり、駐車係をしたり、工事現場で働いたりしながら成長してきた。だから、僕の周りにいる家族や友人たちは、映画業界に身を置く人もいれば、そうじゃない人もいる。そんな彼らに共通するのは、みんな素晴らしい人たちで、僕を支えてくれるということ。僕に正しい価値観を示してくれるということ。正しいことをしなさい。他人に親切でありなさい。謙虚でいなさい。仕事を一生懸命しなさい。そう教えられ、僕はここまで来たんだ」。
『パシフィック・リム』の10年後を描いた『パシフィック・リム:アップライジング』で、ネイトは若手パイロットたちの育成に励んでいる。狂暴なKAIJU(怪獣)に立ち向かうヒーローであり、若者にとっての師であり。「ちょっとカッコよすぎるキャラクターだよね」と笑うスコットだが、ネイト役には自然と同化できたそうだ。「彼はパイロットで、僕もパイロットの免許を持っている。だから、通ずるものは感じたよ。ただし、ネイトはすごく厳格で、名誉を重んじること、正義を貫くこと、最後まで戦うことを象徴するキャラクターでもある。逃げ出すことなく、たとえ傷つけられても許し合い、前に進み、力を合わせて戦う大切さを教えてくれる指導者なんだ」。
笑いながら言った「ちょっとカッコよすぎる」は、実は真剣な本音のよう。だからこそ、「最も気をつけたのは、人間臭さを持たせること」だったという。「最終的にカットされてしまったのだけど、ネイトとジェイクの関係性を物語るシーンがもっとあったんだ。そこがあれば、ネイトの親しみやすさがもっと伝わったのかもしれないね。登場人物の多い物語だから仕方がないけど。若い頃のネイトとジェイクには素晴らしい友情があった。けれども、ある出来事があって少し衝突してしまった。そんな2人が再会し、徐々に親友同士に戻っていく。すごく楽しい関係だし、その変化の過程が面白いと思ったんだ」。
本人はやや無念の表情を浮かべるが、案ずることはない。ネイトとジェイクの友情物語は少ないシーンながらも人間味に十分溢れていて、キュートだ。2人揃ってイェーガーに乗り込み、息の合ったアクションを見せるシーンでもそれが分かる。「アクションシーンには長い時間をかけたし、夜の撮影も多かった。だから、ジョンも僕もちょっとハイになってね。フラフラし過ぎて、笑えてきたよ。『ここに敵がいるぞ!』と言われても、撮影のときは何もないし(笑)。でも、スタントチームが作ってくれた美しい振り付けのおかげで、ジョンと僕は息もぴったりのアクションを披露することができた」。
体を張ったアクションの1つ1つを楽しむように、スコット・イーストウッドは自身の俳優人生を一歩一歩楽しんできた。それがここに来て、一気に花開いている。言うまでもなく彼の父親はあのクリント・イーストウッドであり、「映画にとって何よりも大事なのは監督。絶対とは言い切れないけれど、素晴らしい監督は素晴らしい作品を作る。逆に、イマイチの監督はイマイチの作品を作る(笑)」と監督の重要性を語りはするが、父親の威光に頼り切った印象はない。「飛び込んだことのない物語に飛び込みたい」と、ただシンプルな想いを口にする。「僕にとって『パシフィック・リム:アップライジング』は、初めてのSFであることが大きなポイントだった。『ワイルド・スピード ICE BREAK』は初めてのカーアクションだった。いまはスリラーに出たいし(ニック・カサヴェテス監督、モーガン・フリーマン共演のスリラー映画を撮影予定)、『ロンゲスト・ライド』みたいなラブストーリーに戻る日が来るかもしれない。また新たな経験になるだろうから」。
自らを「新しいチャレンジに目がないタイプ」と評し、「でも、まだ身を削るほどのチャレンジにはめぐり逢えていない気がする。もっと、もっとチャレンジしたい」とも語るスコット。「今朝は5時から東京の街を散策した。飛行機で寝てきたし、ジムでワークアウトしたから完璧。起きてすぐ体を動かすと、1日元気でいられるんだ」と明かすほどパワフルな人だけに旺盛なチャレンジ精神にも納得だが、その裏にはもちろん、日々に対する感謝の気持ちがある。「毎日思い出すようにしているのは、この仕事をしている自分がいかに幸運かということ。僕は子どもの頃から映画業界に入ったわけではなく、バーテンダーをしたり、駐車係をしたり、工事現場で働いたりしながら成長してきた。だから、僕の周りにいる家族や友人たちは、映画業界に身を置く人もいれば、そうじゃない人もいる。そんな彼らに共通するのは、みんな素晴らしい人たちで、僕を支えてくれるということ。僕に正しい価値観を示してくれるということ。正しいことをしなさい。他人に親切でありなさい。謙虚でいなさい。仕事を一生懸命しなさい。そう教えられ、僕はここまで来たんだ」。
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