北朝鮮の両替商たちを待ち受ける「緩慢な処刑」の残酷な日々
北朝鮮が今年になってから発行した「トンピョ」。かつて発行されていた「ウェファワ・パックン・トンピョ」(外貨と替えた金券)と同じような機能を持っているようだが、かつてとは異なり、北朝鮮の人々からは評判が悪い。
受け取りを拒否したり、額面の半分で値踏みして受け取ろうとしたりする事例が相次いでいる。信用があまりにもないことが理由だが、当局は取り締まりと厳罰で対応していると、デイリーNKの複数の内部情報筋が伝えている。
昨年12月9日から11日の間、平壌、新義州(シニジュ)、清津(チョンジン)など大都市で、「トンピョ流通を妨害した」という容疑で、複数の両替商が逮捕された。いずれに対しても長期の教化刑(懲役)が予想されている。
管理所(政治犯収容所)送りになるよりはマシではあるものの、北朝鮮の教化所(刑務所)の生きて出るのが難しいほどの環境の劣悪さを考えると、事実上の「緩慢な処刑」とも言える。
彼らにはいずれも、額面通りの5000北朝鮮ウォン(約120円)より低い額でトンピョを受け取り、それを使って輸入品、ガソリン、軽油などを購入して、差額を不当に得た容疑がかけられている。
当局は「国が発行した正式貨幣を、米帝侵略者どものドルより低い価値で取り扱い、それを批判なく受け取った」と、逮捕理由を説明している。
このような取り締まりは本来、安全部(警察署)の管轄のはずだが、実際は検察が介入している。先月、平壌の西城(ソソン)区域の市場で、5000北朝鮮ウォンのトンピョを額面の半額で受け取った容疑で両替商が逮捕されたが、最近では検察が直接捜査を行うようになり、中央検察所(最高検)が介入する場合もある。
両替商と安全員(警察官)がグルになったり、癒着関係にあったりするため、ワイロによる減刑またはもみ消しが横行しているためと思われる。
検察所が、区域の人民委員会(区役所)の幹部や両替商100人を集めて行った公開闘争(公開裁判の一種)では、今回逮捕された両替商は無期教化刑(無期懲役刑)に相当する罪を犯したとの発言が出たことから、実際の裁判になれば、無期刑または少なくとも15年の刑が言い渡されるものと見られている。
強制力をもってトンピョを受け取らせるという手法を使っているが、そんなことで信用が高まるわけがない。今後は、下手に関わり合いになりたくないと受け取りを拒否するケースが増え、それに対する取り締まりが強化されるというイタチごっこが繰り返されることになるだろう。
北朝鮮がどうあがこうとも、「米帝侵略者のドル」にはかなわないのだ。
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