ロシアを「絶対支持」の北朝鮮、ウクライナ侵攻で経済的打撃
国連総会は今月2日、ロシアのウクライナ侵攻を非難し、軍の即時撤退をロシア政府に求める決議を賛成多数で採択した。193加盟国のうち141カ国が賛成する一方、反対したのは当のロシアや北朝鮮など5カ国だけだ。
北朝鮮はまた、外務省報道官がロシアによるウクライナ侵攻の原因は「他国に対する強権と専横をこととしている米国と西側の覇権主義政策にある」との立場を明らかにするなど、プーチン支持を鮮明にしている。
だがその一方、ロシアに対する国際社会の経済制裁は今後、北朝鮮にも着実に影響を及ぼすものと思われる。
すでに、その兆候は見え始めている。
北朝鮮は、国連安全保障理事会の制裁決議の網をかいくぐる形で、数万人の労働者を海外に派遣し、貴重な外貨獲得源としている。その派遣先のひとつがロシアだ。
米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)はサンクトペテルブルグの高麗人(朝鮮系ロシア人)情報筋の話として、ロシアの通貨ルーブル暴落の影響を伝えた。ルーブルの為替レートは、世界各国の制裁により大暴落している。
北朝鮮人労働者は、毎月約700米ドル(約8万1000円)の国家計画金、つまり上納金を納めなければならないが、ドル建てで計算されるため、侵攻前は約6万ルーブルだったのが、為替レートの暴落により8万ルーブル前後になってしまったのだ。いかなる理由があろうとも未納は許されず、当局側に、額を一時的にでも減らそうという動きはない。
ルーブル暴落に慌てた派遣元の北朝鮮の貿易会社は、まず労働者の食費を減らすことから手を付けた。また、派遣先から得た給料から仲介手数料、国歌計画金、労働者の生活費などを差し引いた額を労働者に支給しているが、現状では労働者の食費を賄うのがやっとで、月給を支払う余裕もないと、情報筋は伝えた。
ちなみに、サンクトペテルブルグとモスクワ周辺では、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)傘下の未来建設会社と対外建設指導局建設会社、国家保衛省(秘密警察)傘下の大宝(テボ)建設会社が、2〜30代の労働者3000人を働かせているとのことだ。
極東・ウラジオストクの高麗人情報筋も、現地の北朝鮮労働者の苦境を伝えた。彼らは朝7時から夜11時まで働いているが、ルーブルの暴落により、月給が半額になってしまったという。ウラジオストク近辺で働く北朝鮮労働者の数は約2万人に達するという。
現在は、ルーブル暴落分の損失を北朝鮮当局が労働者に押し付けてしのいでいる状況だが、それにも限界がある。
ただでさえひっ迫している北朝鮮の外貨事情は、様々な形でウクライナ侵攻の影響を受けていくはずだ。
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