北朝鮮の少年少女が恐れる「少年院送り」…それでも止められない遊びとは
今年4月に開催が決まった南北首脳会談。北朝鮮の国営メディアは今のところ、この件について一切報じていないため、多くの人が知らずにいる。広く知れ渡れば、北朝鮮で様々な期待が高まるのだろう。その一つが「韓流の解禁」だ。
しかし、当局の動きに変化は見られない。それどころか、韓流ドラマを見た学生が次から次へと逮捕されている。
平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、後備隊と呼ばれる思想教育と関連した組織が、韓流の取り締まりを行っている。逮捕された学生は少年教養所(少年院)送りとなり、1年間再教育を受けることになる。
少年教養所では1日中、高強度の労働をさせられた上で、夜には「新世代階級教養」「反帝国主義教養」という思想教育を受けさせられ、教材を暗記させられる。衛生や栄養の状態が劣悪なことは言うまでもないが、それでも成人が入れられる教化所や労働鍛錬隊(軽犯罪者の刑務所)に比べればかなりマシだという。
「南北関係が良くなりつつあるので、しばらくすればマシになるかもしれないが、今のところは韓流はもちろん中国の作品を見ることも禁止されている。韓流を取り締まる109常務が学生たちの動きを注視している」(情報筋)
北朝鮮当局は、時々思い出したかのように韓流の取り締まりを強化する。最悪の場合には死刑にすることもある。例えば、両江道(リャンガンド)では2014年8月、違法映像物搬入罪で夫婦を含む6人が銃殺されている。
金正恩党委員長は今年の新年の辞で「全社会に正しい道徳的紀綱を立て、社会主義的生活様式を確立し、あらゆる非社会主義的な傾向を根絶するための闘いを力強く展開して、すべての人が気高い精神的・道徳的品格をそなえて革命的で文化的な生活を営むようにすべき」と述べている。韓流取り締まりのさらなる強化を予告したものと言えよう。
しかし、厳しい取り締まりの成果は期待できそうにない。少年教養所送りになるかもしれない恐怖よりも、韓流の面白さが勝るのだろう。まさに韓流中毒だ。情報筋も「見ようとする学生は一向に減っていない」と述べている。逆に、厳罰に処すには負担が大きいとの理由で、「初犯」なら見逃されるケースも増えているという。
韓流の流入は1990年代後半から始まっている。当時、北朝鮮に近い中国吉林省の延吉の市場には、韓流ドラマや映画をコピーしたVCDを大量に売る店が軒を連ねていた。北朝鮮に密輸するためだ。北朝鮮当局は取り締まりを続けているが、20年経って根絶はおろか、むしろ当たり前のようになっている。
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