中国の婚姻件数が過去10年で初めて増加、専門家は楽観せず―中国メディア
中国では、2023年の婚姻件数が過去10年間で初めて上昇に転じた。しかし専門家からは、「複数の要因が重なった一時の現象」であるとして、楽観はできないとの指摘が出ている。
中国では婚姻件数や出生数が長期にわたり低落していることが問題視されている。少子高齢化の急速な進行が社会に大問題をもたらすと危機感を抱く人も珍しくない。ところが中国政府民生部によると、2023年の婚姻件数は過去10年間で初めて上昇に転じた。「複数の要因が重なった一時の現象」であるとして、楽観はできないとの指摘が出ている。
中国の年間婚姻件数は、13年に1346万9000組のピークを記録した後は、9年連続で減少し続け、22年にはピーク時の約半数の683万5000組になった。しかし23年の婚姻件数は前年比13.36%増の780万組に達した。23年の婚姻件数は、2年前の21年の764万3000組も上回った。
人口専門家で広東省政府参事室の董玉整特約研究員は中国メディアの第一財経の取材に対して、23年に婚姻件数が急増した主たる原因として、22年には、特に第4四半期(9-12月期)に、新型コロナウイルス感染症の影響で、結婚を延期する現象が発生したことを挙げた。
董研究員は、23年の婚姻件数増加は、「先送り効果」による一時的な現象で、新型コロナ感染症の期間中は、恋愛や交友もマイナスの影響を受けたと指摘した。
また、23年の婚姻件数増加には「辰年効果」も関係しているという。中国には「辰年生まれの子は運気が特に強い」との考え方があるためだ。中国では元日ではなく春節(旧正月、24年は2月10日)をもって干支が切り替わるので、董研究員によると、中国各地で春節期およびそれ以降に、出生数の増加が目立つ状態になった。ただし董研究員によると、出生数の増加もやはり一過性の減少であり、若者の結婚や育児意欲を真に高めるためには、積極的かつ健全な出産政策支援システムを重点的に確立し、出産や養育の家庭に対する負担を大きく軽減せねばならない。
董研究員はさらに、23年の状況を見ても、「結婚適齢とされる年代層の減少」「初婚年齢の上昇」「結婚と育児の概念の変化」などの影響は続いており、中国の今後の婚姻件数の動向は、観察を続ける必要があると述べた。
中国国家統計局が発表した「2023年国民経済・社会発展統計公報」によると、23年年末における中国の16-59歳の人口は前年同期比1075万人減の8億6481万人だった。董研究院は、「1年でこれだけ減少した。主に若い世代だ。このことは、結婚する人の数にも影響が出てくることを意味する」と述べた。
また、『中国国勢調査年鑑-2020』によると、中国における2020年の平均初婚年齢は28.67歳で、10年の24.89歳から3.78歳上昇した。中国では晩婚化が進行している。
董研究員は、「結婚や出産についての人々の観念は大きく変化した。結婚や出産を『人生の必修科目』とは見なさない人もいる。さまざまな要因が、今後の婚姻件数に影響することになる」と述べた。(翻訳・編集/如月隼人)
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