「腰まで雪に埋もれた」北朝鮮で季節外れの大雪
朝鮮半島、中でも北朝鮮の冬は寒く厳しいが、長く続くわけではない。3月の中旬ともなれば、気温が上がり春が訪れる。国営の朝鮮中央テレビは、10日の平壌の最高気温が21.5度まで上がったと伝えた。
一方で、山がちな北部では寒の戻りとなっている。両江道(リャンガンド)では11日から13日にかけて30センチから50センチの大雪となった。また、最低気温も恵山(ヘサン)で氷点下19度まで下がった。
道路事情の悪い両江道では、大雪で道路が寸断されている。
現地のデイリーNK内部情報筋によると、金亨稷(キムヒョンジク)郡では腰の高さまで雪が積もるほどの大雪となるなど、道内各地が大雪に見舞われ、道内の市郡をつなぐ道路が大雪で寸断され、運行途中だったトラックもスタックしてしまっている。
動けなくなったトラックのドライバーは、予備の旅費がないため、飲まず食わずで運転台で寝泊まりして、道路の再開を待っている。
道は凍っていないようで、大きな事故が発生していないのは、不幸中の幸いだ。
一方、金正淑(キムジョンスク)郡では、雪崩が起きて道が埋没。車はもちろんのこと、人も通れなくなり、邑(郡の中心部)の学校に通う、周辺地域の児童、生徒は登校できなくなり、在宅での自習を余儀なくされている。
朝鮮労働党両江道委員会は、道内のすべての企業所、人民班(町内会)に除雪作業に万全を期すよう指示した。それぞれ担当区域が割り振られ、除雪に当たっているが、あまりものドカ雪に毎日除雪を行っても追いつかない状況だ。
そのせいで商売をする時間を奪われた女性たちは、どうやって家族を養うべきか頭を抱えため息を付いているという。
ただ、大雪は悪いことばかりではない。
北朝鮮の電力供給は、水力発電に多くを頼っているが、元々雪の少ない地域で、冬は稼働率が低下、深刻な電力不足をもたらしてきたが、それが改善する可能性がある。また、春先の深刻な日照りで農業に悪影響が出ることが多いが、それもある程度の解消が見込まれる。
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