中国の太陽光発電産業に「冬の時代」、世界最大メーカーも人員削減にはかなわず―独メディア
20日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、世界最大の太陽光発電パネルメーカーである中国の隆基緑能科技が人員削減を発表したと報じた。写真は太陽光発電。
2024年3月20日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、世界最大の太陽光発電パネルメーカーである中国の隆基緑能科技が人員削減を発表したと報じた。
記事は、隆基緑能が19日にメディア向けの声明の中で「太陽光発電業界は日増しに激化する競争環境に直面している。市場の変化への適応と組織の効率向上を目的として、会社は従業員チームの最適化を進めている」とし、人員削減に乗り出したことを明らかにしたと紹介。前日米ブルームバーグが報じた「隆基緑能は最大約8万人いた従業員の3分の1近くを削減する」という内容については否定し、人員調整の割合が全従業員数の5%になる見込みだと説明したことを伝えた。
そして、中国メディアが隆基緑能の内部関係者の話として「太陽光発電産業は毎年度末に現在や翌年度の生産状況を踏まえて生産ラインの調整や最適化を行う。人員の変動は非常事態ではない」と報じたこと、李振国(リー・ジェングオ)総裁が今年初めに「現在、市場価格が弱含みなために多くの企業が損失を出している。実力ある企業なら現状は乗り越えられるが、負債率が高く特段の技術を持たない企業は持ちこたえられないだろう」との見方を示していたことを紹介。昨年の会計報告を見ると中国の太陽光関連企業は売上高、純利益ともに大きく減少しており、業界アナリストが「産業チェーン全体の生産過剰と、N型太陽光パネルへの移行が急速に進んだことで、業界の再編が予想よりも早くやって来るかもしれない」と指摘したことを紹介した。
記事は、太陽光発電が中国の産業戦略で新エネルギー車、リチウムイオン電池と並ぶ「新三様」と位置づけられており、22年は中国の太陽光発電ユニットが世界の75%、バッテリーセルが80%前後、シリコンウエハーに至っては95%という圧倒的なシェアを獲得するに至ったと紹介。一方で、製品の世代交代の速さ、中小企業の盲目的な生産拡大などさまざまな要因により大規模な生産過剰が発生しており、23年に中国政府が太陽光産業に1200億ユーロ(約20兆円)の補助金を支給したことも生産過剰を起こした理由の一つとの見方が出ていることを伝えた。(翻訳・編集/川尻)
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