米国の中国恐怖症は常軌を逸し、進歩への道を妨げている―米経済学者
米イェール大学の経済学者、スティーブン・ローチ氏はこのほど、香港メディアのサウスチャイナ・モーニング・ポストに「米国の中国恐怖症は常軌を逸し、進歩への道を妨げている」とする文章を寄稿した。資料写真。
米イェール大学の経済学者、スティーブン・ローチ氏はこのほど、香港英字メディアのサウスチャイナ・モーニング・ポストに「米国の中国恐怖症は常軌を逸し、進歩への道を妨げている」とする文章を寄稿した。
中国メディアの環球時報が、要約して伝えたところによると、文章はまず「米国で中国恐怖症が本格的に発生している。私はこの強烈な言葉を軽々しくは使わないが」とした上で、「米国政府は、中国による先端半導体へのアクセスを遮断するために輸出規制した。中国の電気自動車(EV)、建設用クレーンやドック積み込み用クレーン、そしてTikTokの危険性についても多くのことが言われている。恐怖はテクノロジーに限定されるものではない。米国政府は、100カ国余りとの貿易赤字という多国間問題を二国間問題と誤認し、中国に関税を課した。南シナ海と台湾海峡の緊張が高まる中、中国の軍事的脅威をめぐる米国政府の誇張された主張は時としてヒステリー寸前になっていると警告する者もいる」と指摘した。
文章は、中国にも同様に「米国恐怖症」があるとした上で、「この報復の非難合戦にもかかわらず、私の今の主張は違う。米国で制御不能になりつつあるこの恐怖症の悪性度がますます高まっていることを心配するのには十分な理由がある」と指摘。米下院「米国と中国共産党間の戦略的競争に関する特別委員会」の委員長を務めているウィスコンシン州選出のマイク・ギャラガー下院議員が中国に対して行った一連の告発には根拠がなく、同氏は4月に議員を辞職するが、(TikTokの完全禁止につながる可能性のある法案など)同氏が残したものは生き続けるだろうとの認識を示した。
文章は、米国の一連の告発について、「国家安全保障という突き抜けない外套に包まれた証明されていない恐怖の現れだが、中国がますます攻撃的になっていることを示す『決定的な証拠』はない。演繹的推論の紛れもない超党派の政治化が働いている」と指摘。その例として、ジーナ・レモンド米商務長官が、中国製EVについて中国政府からの遠隔操作によって米国の高速道路に大混乱をもたらす可能性を指摘したこと、クリストファー・レイ米連邦捜査局(FBI)長官が、中国が米国のインフラ施設をサイバー攻撃の標的にしていると強い警戒感を示したこと、元米防諜担当官が中国製クレーンのセンサーを「トロイの木馬」になぞらえたことを挙げ、「他にも多くの『もしも』が存在するが、そうした意図や行動に関する確実な証拠はない」とした。
文章は、「中国の何がいったい米国のこのような悪意のある反応を引き起こしたのか」について、「米国は長い間、競合するイデオロギーや代替統治システムに対して不寛容だった。『米国例外主義』の主張は、どうやら私たちに自分の見解や価値観を他人に押し付けるように強制しているようだ。それは冷戦時代にも当てはまり、今日もまた当てはまる。中国に対する過度の恐怖は、米国が自ら招いた問題の多くを都合よく覆い隠してしまう。米国の広範な多国間貿易赤字は、国内の慢性的な財政赤字に起因するところが大きい。同様に、テクノロジーの脅威も、米国の研究開発への投資やSTEM(科学、技術、工学、数学)ベースの高等教育が不足していることを表している」との認識を示した。
そして、「中国恐怖症が自らをむしばむにつれて、恐怖は事実のオーラを帯び始め、中国との偶発的な紛争の危険が激化する。米国は、こうした不安に基づいて行動することで、阻止したい結果そのものを誘発する危険を冒している」とし、フランクリン・ルーズベルト氏が1933年の大統領就任演説で、「われわれが恐れるべき唯一のものは、恐怖そのものだ」と述べたことに触れ、「今日の中国嫌悪の熱狂の中で、このメッセージは覚えておく価値がある」と指摘した。(翻訳・編集/柳川)
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