北朝鮮、民間人も軍人も「非核化には興味なし」
北朝鮮当局は24日、咸鏡北道(ハムギョンブクト)吉州(キルチュ)郡の豊渓里(プンゲリ)にあった核実験場の爆破する式典を行った。国営メディアはその様子を報じたが、北朝鮮の一般国民も軍の関係者も、非核化にあまり興味を持っていないようだ。(丹東=カン・ナレ記者)
兵士たちの「カラス飯」
「核実験場の爆破をテレビで見た」と語った北朝鮮の国境地域に住む情報筋は、「海外ではどうかわからないが、ここ(北朝鮮)では私も他の人々も核実験場の廃棄にさほど興味を持っていない」と述べた。
「核実験場を爆破しても核兵器を放棄するわけではないので、寿命を終えた建物を吹き飛ばしただけに感じた。最近の情勢変化と核実験場の廃棄を結びつけて見ている人は、誰もいないようだ」(情報筋)
人々は、核実験場の廃棄に象徴される非核化方針より、中国との関係改善に関心があるようだ。金正恩党委員長の訪中後に中朝貿易が以前より拡大していることもあって、「わが国(北朝鮮)が貿易大国になる」というプロパガンダの方が一般国民に人気だという。
金正恩氏の訪中後、鉱物資源と海産物、薬草などの貿易、そして労働者の派遣が再開され、昨年より取引規模が大きくなっており、国民はそれを金正恩氏の外交力の成果として評価し、非核化とは別のものと考えているというのが情報筋の説明だ。
一方、朝鮮人民軍の関係者は「非核化だろうが貿易大国だろうが、兵士たちは何の興味も持っていない」「トウモロコシの粉に少しだけコメを混ぜたものを食べて糊口をしのいでいる有様で、それを『カラス飯』と呼んでいる」と述べた。カラス飯とは、カラスが羽ばたけばコメ粒が飛んでいくほどスカスカであるとの意味だ。
核実験場がなくなろうが、中朝貿易が拡大しようが、兵士たちがカラス飯から解放されるわけではないため、何ら興味を示さないというのだ。
「軍の後方総局は、上着など一部の物品を除き、兵士たちへの物資供給がほとんどできない状態にある。だから兵士たちは家族からの仕送りで生活必需品を買い、栄養失調にならないように1日1回は外食している」(軍関係者)
この関係者は「中朝貿易の活性化で一般国民の金正恩氏への支持は高まっていることは事実」としつつも、「兵士たちは中央政府への不満が大きい」として、「世界は朝鮮人民軍兵士の不満が爆発し、北朝鮮の体制が崩壊することに備えるべき」だと主張した。
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