北朝鮮の貿易関係者、米朝首脳会談を巡る動きにハラハラ・ドキドキ
トランプ米大統領は24日、いったんは米朝首脳会談の中止を通告したが、その翌日に「開催はありうる」と述べ、実現に向けた両国間の協議が活発化している。中国に駐在する北朝鮮の貿易機関の幹部たちは、ジェットコースターのような展開を、ハラハラ、ドキドキしながら見守り続けている。
中国の丹東に駐在するた北朝鮮貿易関係者は、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に次のように語った。
「6月12日に予定されていた朝米首脳会談を米国が中止すると発表したとき、われわれ貿易関係者は本当にショックを受けた。しかしその後すぐに、米国の大統領が朝米首脳会談の開催は可能だと言った報道を見て、息苦しさが一気に解消したような喜びを感じた。
情勢が次から次へと変わるため、今後何が起こるかわからず不安だったが、4月26日に板門店で元帥様(金正恩氏)と南朝鮮(韓国)の大統領が会って会談したというニュースを見てから、ようやく貿易が再開できると希望を持つようになった」
最近、何人かが集まれば情勢の話ばかりしていると語ったこの関係者は、中国の税関は造花用の針金ですら制裁対象であるとして北朝鮮への輸出を許さず、没収するような状況であり、それを打開するには米国の動きを待つしかないと切実に感じていたという。
中国のデイリーNK情報筋は今年3月、4月15日の太陽節(金日成主席の生誕記念日)用に北朝鮮の貿易会社が中国から造花の材料を輸入しようとしたところ、「材料に含まれる針金が軍事用に転用される可能性がある」との理由で、丹東税関に没収されてしまったと伝えている。
中国税関は、今年初めから対北朝鮮貿易に対する取り締まりを緩和しており、今では海産物の正式通関が認められるようになっている。それでもなお、中国から北朝鮮への輸出は厳しく制限されているようだ。
丹東郊外の東港に駐在する北朝鮮の貿易関係者は、政治情勢関連の情報は、北朝鮮領事館や平壌から送られて来る資料や、領事館で毎週土曜日に行われる政治講演会で得ることになっているが、「悠長にそんなものを待っていたら商売にならない」と述べた。
そのため、貿易関係者や常駐代表は、刻々と変化する情勢をインターネットで調べることが日常となっている。
情勢の変化が激しい状況では、北朝鮮から派遣された保衛員(秘密警察)による監視が厳しくなるが、その目を欺いてまでネット検索をしているのは、米朝首脳会談が成功しなければ、北朝鮮の貿易に未来がないという切実な思いからだ。
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