北朝鮮「謎の熱病」で死者続出、対策は解熱剤だけ
北朝鮮で、「謎の熱病」の感染が広がっている。首都・平壌や北部の両江道(リャンガンド)、平安北道(ピョンアンブクト)などの人が集まる勤労動員の場などで、発熱患者が発生している。
新型コロナウイルスの可能性があるが、金正恩総書記が昨年8月、コロナとの「非常防疫戦」での勝利宣言を行った関係で、医師もコロナとの診断は下せずにいる。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が詳細を報じた。
咸鏡北道(ハムギョンブクト)会寧(フェリョン)の情報筋は、市内の駅前洞(ヨクチョンドン)、鰲山徳洞(オサンドクトン)、仁渓里(インゲリ)、渓下里(ケハリ)、彰孝里(チャンヒョリ)など、各地で原因不明の発熱患者が発生していると伝えた。
会寧市病院には、治療を受けようと患者が大勢やってきているが、病院に行けないまま死亡する人も相次いでいる。5月18日の1日だけで、駅前洞で5人が死亡した。渓下里や渓上里(ケサンリ)でも複数の死者が出ている。そのほとんどは、40代以上で結核などの基礎疾患があり、免疫力の低い人たちで、同じ市内でも中心部より、周辺の農村部の死者が多い。市の病院まで遠く、地元の診療所ではまともな治療が受けられないからだ。
会寧市病院や防疫所は、発熱患者の出た家の家族に隔離を勧告し、解熱剤を処方しているが、それ以外の対策は打ち出せていない。
市内では、また封鎖令(ロックダウン)が敷かれ、また昨年までのような状況になるのではないかと不安が広がっている。
なお、川向うの中国ではコロナの感染再拡大が起きているが、今回の発熱患者急増と関連があるかは不明だ。
咸鏡南道(ハムギョンナムド)の情報筋は、国内第2の都市である咸興(ハムン)や利原(リウォン)、北倉(プクチャン)など道内各地で発熱患者が相次いで発生していると伝えた。咸興市内では、5月1日から24日までの間に、10人が死亡した。
市民の間では「コロナではないか」との噂が広がり、保健当局は、人民班(町内会)を通じて、「国が断言していない確実でないデマを広げ、民心を不安がらせる行為は許さない」との警告を住民に伝えた。
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