「幹部が遊びながら殺した女性を焼いた」北朝鮮権力層の猟奇的な実態
北朝鮮の政務と人事の一手に握る同国最強の権力機関、朝鮮労働党組織指導部。そのトップに就任したと報じられ、メディアではよく「北朝鮮のナンバー2」などの呼び方をされる崔龍海(チェ・リョンヘ)党副委員長は、最近、影が薄い。米国や韓国との対話でキーパースンとなっているのは金英哲(キム・ヨンチョル)党副委員長であり、崔氏はどうやら「国内担当」であるためのようだ。
金正恩党委員長が重要な外交で金英哲氏を使い、崔氏を外すのは何故か。一義的には金英哲氏の能力を買ってのことだろうが、崔氏の「前科」のためでもあるのかもしれない。
崔氏は過去、女性スキャンダルでたびたび金正日総書記の不興を買い、権力中枢から遠ざけられていた時期がある。その変態的なエピソードは北朝鮮国内でも広く知られているとされ、当然、米CIAなども承知しているはずだ。
そんな質の悪い幹部を、米国の大統領の前に出すなどみっともなくてできないということだろうか。
しかし、こうした醜聞の主は、崔氏ひとりではない。韓国に亡命した太永浩(テ・ヨンホ)元駐英北朝鮮公使の近著『3階書記室の暗号 太永浩の証言』(原題)によれば、2013年12月に金正恩氏の叔父・張成沢(チャン・ソンテク)元党行政部長が処刑された際、いっしょに粛清された幹部について、次のような情報が出回ったという。
「労力英雄の称号を受けたオボンサン管理所の所長も拘禁された。張成沢が遊び相手にしていて殺してしまった女性たちを、焼いてしまったという嫌疑のためだった」
オボンサン管理所は、火葬場や共同墓地を管理する組織だ。張成沢氏に死刑を言い渡した特別軍事法廷の判決は、同氏が数多くの女性と不倫関係にあり、麻薬を服用していたと指摘していた。「殺してしまった女性たち」というのは、薬物の過剰摂取か何かで死んでしまった女性たちがいたということだろうか。
もっとも、公正な裁判で出されたとは言えない判決を信用するわけにはいかず、太永浩氏の証言も具体的とは言えない。だが、これと似たような話で、かなり具体的なストーリーが伝わっている例もある。
その醜聞の主人公は、ほかならぬ金正日総書記だ。ある有名女優との不倫関係が父・金日成主席にばれるのを恐れ、罪を着せて銃殺してしまったという内容だ。
残忍な粛清では祖父や父にも劣らない金正恩氏だが、今のところはまだ、ここまで醜悪なエピソードは伝えられていない。しかし、絶対的な権力は必然的に腐敗する。彼が父と同様の罪に手を染めるのも、時間の問題ではないだろうか。
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