金正恩氏の無茶な要求に「登校拒否」で抵抗する北朝鮮の子供たち
北朝鮮の学校に通う生徒たちは、大きな負担を伴う「課題」に苦しんでいる。課題と言っても、日本の学校で言うところの宿題や自由研究ではない。労力(勤労)動員と物資供出のことだ。しかし中には、これに抵抗する生徒たちもいる。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が実態を報じた。
生徒たちにとって最も辛いのは、新年に行われる「堆肥戦闘」、つまり肥料に使う人糞を集める作業への動員だろう。膨大な提出ノルマを押し付けられ、寒風の中を人糞を求めてさまよい歩くのだ。
課題はほかにもある。
咸鏡北道の情報筋によると、当局は「社会動員課題」と称して、「工業用の油が必要だ」との理由で大麻とトウゴマを植える作業に清津(チョンジン)市内の各学校の生徒たちを動員している。生徒たちは授業そっちのけで、学校や鉄道の線路の周囲に大麻畑やトウゴマ畑を造成する作業に追われている。
それだけではない。大麻とトウゴマの種、養蚕に使う蚕棚を購入する費用を「忠誠の子ども資金」として、1人あたり1500北朝鮮ウォン(約195円)を納めることを強いられている。先月も「学校と村の美観事業を行うため」として、その費用を払わされた。
大人の言いなりになっているように見える北朝鮮の子供たちも、心の内では従順なばかりではない。
中には覚せい剤を使いながら「不純異性交遊」に走り、社会問題を引き起こす少年少女たちもいる。
親たちも、わが子が好き勝手に酷使されるのを傍観してはいない。ただでさえ暮らしが苦しいのに、次から次へと押し付けられる「課題」に耐えかねて、親は子どもを登校拒否させるというサボタージュに乗り出した。
両江道(リャンガンド)の情報筋によると、政府が推進している三池淵(サムジヨン)郡の建設事業にも生徒たちが多数動員されており、これに対する恨みの声が上がっている。
「ただでさえ普段から労力(勤労)動員ばかりなのに、大がかりな建設事業にまで動員し、『忠誠の子ども資金』まで搾り取っている。さすがに、生徒たちは登校を拒否するようになった」
北朝鮮の建設現場では大規模事故が繰り返し起きており、その危険度の高さは国民なら誰もが知っているのだ。
このような課題は、金正恩氏が政権についてから増えており、1カ月平均で10中国元の国家対象建設資金の徴収のみならず、ウサギの皮、古鉄、ゴム、古紙の供出を求め、現物を出せない生徒には現金を支払うように強いている。
そんな学校へ行くのを嫌がり、登校せずに自宅でカツラや帽子を作る内職をする生徒が増えているというのが情報筋の話だ。
北朝鮮では本来、幼稚園から大学に至るまですべての教育が無料で受けられることになっている。しかし、現実は違う。教科書も、制服もすべて有償で、それらもまともに配給されない。
こんな北朝鮮の現状を嫌い、家庭教師や塾で教育を受ける生徒もいれば、脱北して韓国で教育を受けようとする人も増えている。
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