金正恩が作らせた「幽霊都市」…延々5キロの巨大墓標群
北朝鮮が東海岸に造成中の巨大リゾート、元山葛麻(ウォンサン・カルマ)海岸観光地区。金正恩総書記が自ら旗を振り、2019年の朝鮮労働党創建記念日(10月10日)までに完成させるよう厳命していたが、指示通りに工事が進んでいないことが伝えられていた。
デイリーNK内部情報筋は現場の現状について、次のように語る。
「元山葛麻海岸観光地区はまだ未完工だ。内部はみすぼらしい状態だ。外装工事だけ終わった状態と見ていい」(情報筋)
建物の完成報告も行われておらず、法的に利用できない状態とのことだ。巨大リゾートは、海に沿って約5キロに渡り無人の巨大建築が立ち並ぶゴーストタウン、或いは工事中に命を落とした人々の墓標群のような惨状を呈しているとのことだ。
核開発などに対する経済制裁の対象に含まれない観光を外貨の収入源とすべく、国内各地でリゾート開発を推進していた金正恩氏だが、新型コロナウイルスの流入防止のため国境を封鎖した状況下にあっては、計画を引っ込めるのもやむを得ないことと言える。
ただ、仮にコロナ禍がなくとも、元山葛麻が予定通りに完成したかは微妙だ。
そもそも、2018年1月に始まった建設工事は当初、70回目の建国記念日である同年9月9日までの完成を目標としていたとされる。しかし金正恩氏は、同年5月25日にこの現場の現地指導を行った際、完成目標を翌年4月とするよう指示したことが北朝鮮メディアの報道によって明らかにされている。
さらに、金正恩氏は2018年8月の現地指導に際し、翌年の10月に期限を延長したのだ。長きにわたる制裁で、経済が疲弊しきっていたことがうかがえる。
では、コロナ禍が収束したら、元山葛麻は完成し、大量の観光客を迎え入れることができるのだろうか。ハッキリ言って、難しいだろう。
コロナ禍が去っても、経済制裁で包囲された北朝鮮の状況は何も変わらない。むしろこの間の国境封鎖でいっそう体力を消耗しており、経済をそれ以前の状態に戻すことさえ困難だろう。
医療保健体制の脆弱な北朝鮮は、新型コロナの世界的流行で国家存立の危機を迎えた。国境封鎖は、それを乗り越えるために取り得る数少ない手段のひとつだったのかもしれないが、もしかしたらそのこと自体が、コロナ収束後により本質的な危機を招くことになるかもしれない。
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