駐ウラジオストク北朝鮮領事夫人、コロナで死亡
ロシア・ウラジオストク駐在の北朝鮮領事館の領事の妻が、新型コロナウイルス感染症により死亡したと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。
RFAは、現地の高麗人(朝鮮系ロシア人)情報筋の話として、知人から領事夫人のコロナ感染死について聞いたと伝えた。40代前半の領事夫人は、新型コロナが拡散する前の2018年に夫と共にウラジオストクに赴任した。今月初めから高熱、咳の症状が現れ、15日に入院したものの、容態が急変し、ついに死亡したとのことだ。本国の指示に従い、遺体を火葬した上で、先月27日に告別式を行った。
現地のネットニュースサイトVL.RUによると、ウラジオストクを含む沿海州(人口約187万人)では、昨年11月から今年1月、6月中旬以降に感染者が急増し、1日の新規感染者は200人台が続いている。ワクチン接種はあまり進んでいないようで、今月2日の時点で人口の2割に満たない33万人弱にとどまっている。
その理由について情報筋は、ロシア製のワクチンの2回接種を受けるためには、少なくとも190ドル(約2万1000円)もの費用がかかることを挙げている。市場でモヤシ、豆腐、キムチなどを生活費を稼がざるを得ないほど経済的に困窮している領事館関係者とその家族には、手の届かない高さで、今のところワクチン接種の目処が立っていないという。
また、別の情報筋は、具体的にどのような業務を行っているのかは不明だとしつつ、領事の夫人がコロナで死亡したことに触れ、ロシア国内でのワクチン生産量が不足し価格が高騰していることや、今回の死亡を受けて領事館内で繰り返し会議が行われたことも伝えている。
その結果、ロシアに労働者を派遣している貿易会社の幹部に緊急通知文を送り、コロナに対する警戒を強めるよう指示を下したが、これがきっかけで、領事夫人のコロナ死の話が広がったという。
ウラジオストクはロシア国内でも医療費が非常に高く、総合病院で10日以上入院した場合、1万ドル(約110万円)近くの費用がかかる。そのため一般の派遣労働者はもちろん、医療費を一部負担してもらえる領事館員ですら、病気になっても病院に行けないという。また、火葬の費用は1000ドル(約11万円)とのことだ。
医療に多額の費用がかかるのは、ロシアも北朝鮮も同じようだが、ワクチンが手に入り、一般の医薬品は普通に手に入るだけ、ロシアのほうがまだマシと言えるかもしれない。
現在、ウラジオストク駐在の北朝鮮領事館には、総領事、領事、書記官ら5人が勤務している。
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