貿易再開を前にして携帯電話の取り締まりを強化する北朝鮮
永遠に終わりの見えないイタチごっこがまた繰り返されている。
中国との国境に接する北朝鮮・咸鏡北道(ハムギョンブクト)の会寧(フェリョン)。市民の多くが貿易や密輸、違法送金に携わって生計を立ててきた。それに欠かせないのが、国外との通信が可能なチャイナ・テレコムなど中国キャリアの携帯電話だ。
当局は、携帯電話を通じて国内情報が海外に漏れ、海外情報が国内に流入するとして、過去10数年にわたり根絶を目指して取り締まりを繰り返してきたが、一向になくなる気配はない。最近になって、また取り締まりが強化され、逮捕される人が続出している。現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。
韓国や中国に住む脱北者からの送金を、北朝鮮に住む家族に届ける送金ブローカー業を営んできたAさんは先月中旬、保衛部(秘密警察)に逮捕された。
Aさんは、「内陸に住む家族に送金したい」という脱北者の依頼を受け、その家族と通話したのだが、その2日後、保衛部が自宅に踏み込んできた。
「すべてお見通しだ、中国の携帯電話を差し出せ」という保衛部に、Aさんは「自分は無実」だと訴えた。しかし、脱北者家族と通話した録音を聞かされ、もはや言い逃れができなくなったという。
保衛部は、容疑者に盗聴した通話内容の録音を突きつけ、ぐうの音が出ない状態に追い込んだ上で逮捕し、押収した携帯電話の通話記録から、他の顧客を摘発している。4カ月前にAさんを通じて送金したことが明らかになった脱北者家族も、保衛部に連行され取り調べを受けている。
保衛部による盗聴はかなり前から、外国製の高性能電波探知機を使って行われてきた。しかし、最近の盗聴は送金ブローカー、密輸業者、脱北者家族のみならず、市民全体を対象にして行われている。違法行為で生計を立てている市民の割合が非常に高い国境沿いの地域の特性上、自然なやり方とも言えよう。
取り締まり強化のきっかけは不明だが、会寧に程近い羅先(ラソン)の税関が業務を再開し、会寧税関の再開の可能性も考えられることから、当局は合法的な貿易と共に、密輸が増えると予想しているのかもしれない。
極端なゼロコロナ政策で鎖国状態となり、現金収入を絶たれた市民の間では、国に対する強い不満が渦巻いているが、当局はそういうときほど締め付けを強化する傾向にある。住民がいつ不満を爆発させるかわからないからだ。
しかし、締め付けを強めるほど不満も高まる。2009年に行った貨幣改革(デノミネーション)により経済的混乱が広がった時には、暴動が発生した前例もある。
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