米軍と韓国軍が合同演習で対立「文政権への不信みなぎる」
8月に米韓が行った合同軍事演習の際、作戦指揮権を巡って両軍に対立が生まれていたことが、韓国メディアの報道から分かった。
米韓は先月、「後半期連合指揮所演習」を実施した。これは、2020年代半ばに予定されている戦時作戦統制権(統制権)の韓国軍への移管を控え、韓国軍の統制権行使能力を検証するために行われたものだ。
韓国は、朝鮮戦争が勃発した1950年に、統制権を米国のマッカーサー国連軍司令官に移譲した。その後も国連軍司令官を兼ねる在韓米軍司令官が統制権を掌握しており、韓国は戦時に自国軍を指揮できない状態が続いている。
統制権の移管自体は、廬武鉉政権とブッシュ政権の間で合意されている。ただ、政治的には合意されていても、軍の現場ではそう簡単に事は運んでいない。
統制権が韓国軍に移れば、戦時に在韓米軍が韓国軍の指揮を受ける場面も出てくるわけだが、兵士たちの命がかかる場面で、世界最強の米軍が自分より小さくて弱い韓国軍の指揮を甘んじて受けるとは想像しにくい。
今回の指揮所演習に際して生じた対立の構図はやや複雑だ。いちばん要点を突いていると思える報道は、朝鮮日報(日本語版)4日付記事の次の一節だ。
〈韓国政府の関係者は「韓国軍は、戦争が起きたら停戦協定が破棄されたものと見なし、移管された統制権を完全に行使する考え」だとしつつ「逆に米軍は『戦争勃発は停戦協定の破棄ではなく違反と見ることができるので、国連軍司令官の権限が一定の部分存在する』と主張した」と語った。〉
つまりは停戦協定が生きている限り、国連軍司令官(在韓米軍司令官)の役割は残っており、当然、韓国軍の作戦指揮にも関与できる、というのが米国の主張だろう。
いずれにしても、米軍の韓国軍に対する絶対的な信頼がない限り、統制権の移管は上手く行きそうにない。
ところが、韓国による日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄の動きを受けて、米韓関係までが険悪化しているのは周知のとおりだ。
「自主国防」を掲げる文在寅政権は任期中の統制権移管を目指している。しかし朝鮮日報によれば、同政権による拙速な動きにより、きちんとした検証なしに統制権だけが韓国側に渡されることになるのではないか、という不信感が米軍にはみなぎっているという。
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