「韓国は腹立ちまぎれに自害した」米国から絶妙な指摘
韓国の文在寅大統領は米ニューヨークで開かれる国連総会に出席するため22日から訪米し、現地でトランプ米大統領と首脳会談を行うという。
韓国紙・東亜日報などの報道によれば、当初、今年の国連総会には大統領ではなく、李洛淵首相や康京和外相の参加が検討されていた。それが変更になったのは、米国と北朝鮮の実務協議が9月下旬に見込まれるなど、非核化などを巡る米朝対話がにわかに動き出したからだ。
米朝は非核化の進め方を巡って対立しながらも、トランプ氏と金正恩氏の個人的な信頼関係を軸に対話のラインを保ってきた。最近、北朝鮮が忌み嫌う強硬派のボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)をトランプ氏が解任したことで、こうした米朝対話の形はいっそう強固なものになっていく可能性が高い。
こうした米朝関係と対照的に、見るも無残な状態にあるのが南北関係だ。北朝鮮は、韓国からの対話の呼びかけにまったく答えようとしない。それどころか、文在寅氏に情け容赦ない「口撃」を加えている。金正恩氏と文在寅氏は、昨年だけで3回も首脳会談を行っているにも関わらずだ。これは、首脳会談での約束を守れない文在寅氏を、金正恩氏が「個人的に」切り捨てているためと思われる。
文在寅氏はもちろん、このままではいられない。トランプ氏との会談をテコに、もう一度朝鮮半島情勢の中でのプレゼンスを確保したいものと思われる。
しかし、そんなに上手くことが運ぶだろうか。韓国政府は今や、米国との間にも大きな不協和音を抱えている。米朝関係や米軍駐留費の負担問題などもあるが、いま最も敏感なのは、韓国が日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄を宣言した問題だろう。
GSOMIAは韓国や日本よりも、米国のミサイル防衛に資するところの大きいものだ。それを知ってか知らずか、日本の輸出規制措置への報復のつもりで破棄を決めてしまった韓国の行動は、米国にとって理解しがたいものだろう。
実際、ワシントンDCのシンクタンク、民主主義防衛財団(FDD)のデビッド・マクスウェル主任研究員は韓国紙・中央日報とのインタビューで「GSOMIA中断の決定は(韓国が)腹立ちまぎれに自害した格好(Cutting off the nose to spite the face)だ」と語っている。なかなか絶妙な表現と言える。
トランプ氏は、韓国のGSOMIA破棄について特段の発言をしていないが、首脳会談では文在寅氏に再考を促すこともあり得る。それを断ったら米国がいっそう腹を立てるのは確実だが、文在寅氏がこれもまでも、米国との間で「コミュニケーション障害」を起こしている。反日で凝り固まった同氏が、状況を客観的に見ることができているかどうか心配だ。
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