金正恩氏が韓国大統領を連れて行く「恐怖写真」の撮影場所
今年3回目となる南北首脳会談が、18日から北朝鮮の平壌で行われている。今回、金正恩氏は何らかの「サプライズ」を準備しているのだろうか。
韓国の文在寅大統領は板門店(パンムンジョム)で行われた1回目の会談(4月27日)で、「まだ叶えていない夢があるが、白頭山(ペクトゥサン)と蓋馬(ケマ)高原をトレッキングすることです。金委員長がその願いを必ず実現させてくれると信じている」とし、「私が退任したら、白頭山と蓋馬高原の旅行券を1枚送ってくれませんか」と述べた。
韓国人記者らの間では今回の首脳会談開催が合意されて以降、「文大統領が4月の首脳会談で言及した白頭山や蓋馬高原のトレッキングと関連したサプライズイベントが演出される可能性もささやかれている」(the hankyoreh 日本語版17日付)。
そう言われてみれば、思い当たることがある。金正恩氏はこの間、7月上旬と8月中旬の2回にわたり、白頭山の麓にある三池淵(サムジヨン)郡を視察しているのだ。これはもしかしたら、文在寅氏を案内することを想定した上での下見だったのではないか。仮に今回実現せずとも、金正恩氏がいずれ文在寅氏を白頭山に三池淵に招待することは、大いにあり得ることだ。
ただ、三池淵には問題がひとつある。金正恩氏の視察時に公開された写真の中には、深刻な死亡事故を予感させる「恐怖写真」と呼べるものが多数、含まれているのだ。
北朝鮮の建設現場では、安全対策の欠如やムリな工期設定による大量死亡事故が繰り返されているのだが、北朝鮮当局はそのような場所に韓国の大統領を連れて行くことに、抵抗はないのだろうか。
ただ、金正恩氏にも背に腹は代えられぬ事情があるとも言える。周知のとおり、非核化を巡る米朝対話は停滞しており、北朝鮮が待望する経済制裁の緩和もまだ先の話だ。それまでの間、北朝鮮はどうにかして外貨不足をしのがなければならないのだが、どうやらそのための方策として重視されていると思しいのが、観光分野だ。
観光分野は、国連安全保障理事会の制裁決議においても対象とされていない。それもあってか、金正恩氏は最近、観光リゾートの開発に力を入れている。
さらに言えば、2007年に当時の廬武鉉大統領が平壌を訪問して金正日総書記と会談した際には、白頭山観光の実施と、これに向けた白頭山―ソウル直航便の開設でいったん合意した経緯がある。
この合意は、その後の李明博政権により反故にされてしまったが、今回の首脳会談で復活したとしても、何ら不思議ではないと言えよう。
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