北朝鮮、中国のスマホ利用者を「見せしめ処刑」か
中国から列車に乗り、国境にかけられた橋を渡って北朝鮮に入国すると、すぐに新義州(シニジュ)駅に停車する。多くの人はそこで、北朝鮮では使えないはずの自分の海外キャリアの携帯電話が、電波をキャッチしていることに気づくだろう。
中国側の岸から新義州駅までは1キロちょっとだ。通話やモバイル通信ができるほど電波は強くないが、仮に使用しすれ違法行為となる。2017年に改定された刑法には、違法な国際通信を禁じる項目があるからだ。
だが、北朝鮮の国境沿いの地域には、あの手この手で監視の目を避けて、中国や韓国と携帯電話を使ってやり取りしようとする人が存在し、当局がいくら取り締まっても根絶できていない。
平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、国家保衛省の電波探知局が先月、新義州(シニジュ)に人員を送り込み、1カ月にわたり集中的に中国との通話を行った者の割り出しを行った。
彼らは違法携帯電話ユーザーを「毒草」と呼び、移動式電波探知機を使って通話をしている現場を押さえて捕まえたり、秘匿された電話機を金属探知機で探し出したりするなどして、12人を逮捕した。うち1人は、北朝鮮国内の状況を中国人に話したとの理由で処刑される可能性があると、情報筋は伝えた。
逮捕容疑として適用されたのは、違法な国際通信を禁じた刑法222条で、最高刑は5年以下の労働教化刑(懲役刑)だ。しかし、刑法63条の国家反逆罪を適用すると死刑にすることも可能ではある。ただ、国内の状況を外部に漏らしただけで祖国に反逆した、裏切った行為とみなすことは難しいが、見せしめとして処刑することは十分有り得ることだ。
これ以外にも、当局は体制を引き締め、思想の緩みを防止するために反社会主義・非社会主義連合指揮部なる組織を立ち上げ、主に中国との国境に接した地域で、大々的な取り締まりを行っている。だが、彼らがターゲットとする行為は、密輸に収入を依存する地域の人々の生業そのものだ。取り締まりの長期化に伴って、国境沿いの地域は疲弊しつつある。
新義州でも取り締まりの期間中には皆が息を潜め、通話は行わないようにしていたが、今月初めに取り締まり班が撤収するや否や、あっという間に元の木阿弥となった。現在では通話が活発に行われているという。結局、「捕まった人だけが運が悪かった」(情報筋)ということだ。
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