飢える国民と「豪華慰安旅行」…金正恩の現実無視
龍門大窟(リョンムンテグル)は1958年に、北朝鮮の平安北道(ピョンアンブクト)の球場(クジャン)で発見された鍾乳洞だ。総延長は5キロに及び、様々な形の鍾乳石が点在、国の天然記念物に指定され、1996年から観光客の受け入れが始まった。
そんな鍾乳洞に、近郊の炭鉱で働く労働者のうち、貢献を認められた人々が旅行に招待されることになったが、当事者からは不満の声が上がっている。一体どういうことなのか、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じている。
平安南道(ピョンアンナムド)の情報筋は、徳川(トクチョン)地区炭鉱連合企業所の傘下の各炭鉱で、龍門大窟ツアーが始まったと伝えた。苦しい条件の中で、石炭生産に従事する炭鉱労働者への朝鮮労働党の配慮だという触れ込みで始まった今回のツアー、日本風に言うと「慰安旅行」と言ったところだろう。
済南(チェナム)炭鉱で選ばれた50人の労働者は、今月3日からツアーに出発した。亨鳳(ヒョンボン)炭鉱の労働者は、それから2週間遅れてツアーに出発するなど、炭鉱ごとに少しタイミングをずらして出発している。
ところが、せっかく選ばれたというのに参加しない人もいる。「党の配慮」と言いつつも、なんと有料なのだ。
情報筋自らも、職場の実績アップに貢献した「革新者」に選ばれ、観光バスに乗って龍門大窟に向かったが、バス代、食費など、1人あたり10万北朝鮮ウォン(約1700円)もの費用が徴収されたという。
コロナ鎖国下の北朝鮮では、餓死者が出るほど食糧状況が緊迫している。これほど多額のツアー費用を払える人が限られていることは言うまでもない。ちなみに龍門大窟の入場料は、国定価格で2000北朝鮮ウォン(約34円)。残りはバスのチャーター代や食費に使われているという計算になる。
別の情報筋によると、今回のツアーの目的は、平壌火力発電所に供給する石炭を生産する炭鉱労働者を激励することで、生産性の向上につなげるところにある。
しかし当の労働者からすれば、下手に選ばれるとツアー費用が重くのしかかることになる。炭鉱労働者の月給は、多い人でも1万北朝鮮ウォン(約170円)だ。これでも一般労働者の3倍にあたるが、ツアー費用は月給の10ヶ月分にもなる。かなりの負担であることは間違いない。
いずれの情報筋も、ツアー開催に至った経緯には触れていないが、中央が地方当局に指示を出したものの、費用の援助を一切行わなかったため、料金を徴収せざるを得なかったのだろう。また、今のように苦しい状況で「慰安旅行」をごり押しできるのは、この企画が、金正恩総書記の「鶴の一声」で生まれた可能性もある。
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