もしトラではなくマジトラ! 日本が想定しておくべきシナリオ
マイナビニュース2024年3月12日(火)9時32分
2024年3月5日、米大統領選の候補者指名争いで最大の山場となるスーパーチューズデーにおいて、それまで8連勝と圧倒的存在感を示してきたトランプ氏が14州で勝利し、選挙戦を繰り広げてきたヘイリー元国連大使が選挙戦から撤退した。これでトランプvsバイデンの再戦が確実となったが、これまでのところ多くのメディアがトランプ有利と報じており、日本はマジトラとしてトランプ再選による影響を想定しておくべきだ。
では、第2期トランプ政権となれば、どのようなことが起こるのか?。1つは、米中貿易摩擦の再来だ。トランプ氏は1期目の時、米国の対中貿易赤字を打開するため、中国製品に対する追加関税を次々に発動し、中国も米国製品に報復関税を仕掛けるなど、両国の間では貿易戦争が激化し、日本はその行方を不安に思いながら注視した。それが再び起ころうとしているのだ。トランプ氏は最近も、中国からの輸入品に対して60%の高関税を課すと中国側をけん制したが、中国の経済成長率が鈍る中でも米中の経済力は拮抗し続けており、2期目でトランプ氏はよりいっそう中国への貿易攻撃を強化していくだろう。
また、トランプ氏は日本製鉄のUSスチール買収計画で、「それは絶対に阻止する」と言及しており、日本に対しても貿易圧力を示してくる可能性があろう。近年、日本企業の間では米国企業の買収が活発化しているが、トランプ氏はそれを日本による侵略と位置付け、日本への貿易的敵意を強めてくる恐れもあろう。
一方、緊張が続く台湾情勢も大きな影響を受ける。バイデン政権は台湾情勢を民主主義と権威主義の戦いと位置づけ、台湾への軍事支援を強化してきたが、トランプ氏は「台湾がもっと国防費を費やすべきだ」、「軍事支援を続けてほしければ半導体工場を米国に作れ」などビジネス感覚で台湾にさまざまな要求をすることだろう。
ロシアによるウクライナ侵攻に対し、トランプ氏は同盟国を守らないなどと言及しており、それが台湾情勢も例外ではない。そして、それが中国の台湾侵攻というハードルを大きく低下させる恐れがある。中国が台湾への侵攻で最も懸念しているのは米軍の関与で、バイデン政権はその可能性を排除しない姿勢に撤していたので、そこには一定の抑止力が機能してきた。
だが、トランプ氏が「なぜ米兵が血を流してまで台湾を守らないといけないのか」、「米国は外国の紛争に加担しない」などのような姿勢を強調すれば、それは中国にとってはこの上ない安心材料になってしまい、台湾有事を巡る緊張は飛躍的に高まる恐れがあろう。近年、台湾有事を巡っては日本企業の間でも大きな懸念事項になっているが、トランプ再選のシナリオはその可能性を大きく上昇させる恐れがある。
イルカくん 世界情勢を専門とする研究者・ジャーナリスト。普段世界で何が起こっているかをチェックし、分析記事を執筆している。 この著者の記事一覧はこちら
では、第2期トランプ政権となれば、どのようなことが起こるのか?。1つは、米中貿易摩擦の再来だ。トランプ氏は1期目の時、米国の対中貿易赤字を打開するため、中国製品に対する追加関税を次々に発動し、中国も米国製品に報復関税を仕掛けるなど、両国の間では貿易戦争が激化し、日本はその行方を不安に思いながら注視した。それが再び起ころうとしているのだ。トランプ氏は最近も、中国からの輸入品に対して60%の高関税を課すと中国側をけん制したが、中国の経済成長率が鈍る中でも米中の経済力は拮抗し続けており、2期目でトランプ氏はよりいっそう中国への貿易攻撃を強化していくだろう。
また、トランプ氏は日本製鉄のUSスチール買収計画で、「それは絶対に阻止する」と言及しており、日本に対しても貿易圧力を示してくる可能性があろう。近年、日本企業の間では米国企業の買収が活発化しているが、トランプ氏はそれを日本による侵略と位置付け、日本への貿易的敵意を強めてくる恐れもあろう。
一方、緊張が続く台湾情勢も大きな影響を受ける。バイデン政権は台湾情勢を民主主義と権威主義の戦いと位置づけ、台湾への軍事支援を強化してきたが、トランプ氏は「台湾がもっと国防費を費やすべきだ」、「軍事支援を続けてほしければ半導体工場を米国に作れ」などビジネス感覚で台湾にさまざまな要求をすることだろう。
ロシアによるウクライナ侵攻に対し、トランプ氏は同盟国を守らないなどと言及しており、それが台湾情勢も例外ではない。そして、それが中国の台湾侵攻というハードルを大きく低下させる恐れがある。中国が台湾への侵攻で最も懸念しているのは米軍の関与で、バイデン政権はその可能性を排除しない姿勢に撤していたので、そこには一定の抑止力が機能してきた。
だが、トランプ氏が「なぜ米兵が血を流してまで台湾を守らないといけないのか」、「米国は外国の紛争に加担しない」などのような姿勢を強調すれば、それは中国にとってはこの上ない安心材料になってしまい、台湾有事を巡る緊張は飛躍的に高まる恐れがあろう。近年、台湾有事を巡っては日本企業の間でも大きな懸念事項になっているが、トランプ再選のシナリオはその可能性を大きく上昇させる恐れがある。
イルカくん 世界情勢を専門とする研究者・ジャーナリスト。普段世界で何が起こっているかをチェックし、分析記事を執筆している。 この著者の記事一覧はこちら
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